真田丸感想34話「挙兵」③三成の退出


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前回、利家が亡くなった事を切っ掛けに武断派七将が三成襲撃に立ち上がり、三成は避難します。

三成は伏見の宇喜田屋敷に匿われます。
幸村は清正たちが三成の潜んでいそうな場所を片っ端から探っていることを報告します。それを聞いた秀家は「おのれ、返り討ちにしてくれる」と脇息を叩きます。それを見た三成は「決め申した」と言うと伏見の治部少輔丸に立て籠もる事を決めます。
武断派大名達も秀吉の築いた城に攻め込む事は出来ないだろうという見立てです。
秀家もこれに納得して家臣の明石全登(てるずみ)を護衛に付けます。
伏見へと向って屋敷の廊下に出た所で三成は振り返ると幸村に「お前はここまでじゃ」と言うと幸村を置いて行きます。

三成の隠れた気遣いが出た場面であったと思います。秀家の屋敷を出たのは秀家と武断派大名が正面からぶつかっても豊臣方の兵が消耗するだけなので喜ぶのは家康だけです。そして幸村を置いて行ったのは幸村と距離を置く事で幸村までもが武断派のターゲットとなることを避けたのだろうと思います。単純に生き残りを考えるなら自分を守る人間が多いに越したことはないのですから。

翌朝、三成は無事に治部少輔丸に到着し厳戒態勢で立て籠もります。
それを外から幸村が見ていると長束正家が幸村に「加藤たちが治部殿を差し出せと息巻いている。何とかしてくれんか」と助けを求めます。幸村は「いや、私如きではどうにも・・・」と断ろうとします。
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が、気付けば幸村は武断派大名の居並ぶ前に一人座り正則から「なぜ分からん。石田治部を引き渡せば収まる事ではないか」と恫喝されています。どうも幸村は中間管理職のような役回りを負う運命にあるようです。
幸村は「石田様をどうされるお積りですか」と問い掛けます。
正則は腹を切らせると息巻きますが幸村の「何の咎で」との問いに答えが詰まります。そこに加藤清正が「あいつは己が分際も弁えずに殿下が亡き後の政を意のままに操ろうとした」と入り、それに乗じて正則は「徳川内府様のお命も狙った。天下を騒がす大罪人じゃ」と誰の家臣なのか分からなくなる理由を述べ立てると再び勢いに乗ります。

しかし清正は三成のことになると妙に勢いがありません。茶々と幸村が噂になった時には問答無用で裏の井戸に幸村を放り投げようとしていたマッドドックの面影が見えません。やはり三成との友情が清正の矛先を鈍らせているのでしょうか。
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幸村は何れ清正達を抑えられなくなると考え、大阪城に向い寧々に清正たちとの仲裁を頼もうとしますが、侍女のわくさに「もう政には口を挟まぬと堅くご決心されたのでございます」と丁重に断られ寧々と会う事すら出来ません。
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次に幸村は幼き秀頼公の命によって清正達を引き下がらせようと頼もうとしますが、これを大蔵卿局は「為らぬものは為りませぬ」と反論すらせずに断ります。この騒ぎを聞きつけたのか茶々が現れます。幸村の話を聞いていたのか「秀頼殿が言えば治部は助かるのですか」と言い、重ねて「それは秀頼殿の為になりますか」と問い掛けます。幸村は三成が豊臣家になくてはならぬ人物であると答えます。すると茶々は幸村の前に腰を下ろして向き合い
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「徳川内府と治部は犬猿の仲。秀頼殿が板挟みにはなりませんか。秀頼殿の為になりますか」と再び問い掛けます。
これに答えられない幸村に「お帰りなさい」と茶々は命じます。
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そして幸村は吉継に相談します。
病床に伏している吉継は言います。
「後は頼れるのは残り一人だけ」
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その言葉に従い幸村は伏見の徳川屋敷へ向います。
家康と面談することの出来た幸村は清正達を鎮めるように頼みます。
しかし家康は「じゃがなぁ、今は合議で全てを決する事になっておる。わし一人がしゃしゃり出る訳にはいかんのじゃ。先ずは老衆と奉行達を集めて・・・」とはぐらかそうとします。
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その後、家康は畳まれた扇子で首を叩きながら「どうしたものか」と呟き悩みます。正信は「事を起こした七人をまとめて処分してしまう手もございますな」と言います。家康は「加藤、福島あたりは、まだ使い道がありそうだ。そう焦ることもなかろう。石田治部は頭の切れる男ではあるが、勿体なかったのう」と言うのでした。
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しかし、幸村に頼まれた家康はてっきりはぐらかして何もしないままでいる積りかと思ったのですが、あの後、幸村にそれでは集めましょう。秀家様と奉行衆には私から声を掛けておきますとでも言われたのでしょうか。そうなると今度は武断派大名達が私怨によって動く文字通り不届き者となり、武断派との関与を疑われる家康は疑念を晴らす為、積極的に自分の兵を動かさなくてはならなくなる。
正信もその点は承知していて、その前に世間を騒がせた罪として彼等をまとめて切腹させようとでも考えていたのでしょうか。それに対して家康は彼等に三成の息の根を止める以外にも使い道があると思っているという事なのでしょう。石田治部をもったいなかったと過去形で語るのは、この時点で家康は三成に対しの生殺与奪権を完全に掌握しており、残りは、自分に対して如何に利益の多い形で三成征伐を遂行するのかを検討するだけだという段階に移っているという事なのかもしれません。
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家康は七将を呼び出します。
家康に待たせられる七将達、中でも正則はいつまで待たせるのかと声を荒げますが、これを忠勝が睨みを利かせることで黙らせます。
遅れてやって来た家康は七将達に「此度は君側の奸、石田治部少輔討伐。誠にご苦労でござった」と彼等の苦労を労います。つまり三成討伐は完了したという事です。
どうやら家康は彼等を手駒として残すことに決めたようです。
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家康と七将が話す間、幸村は別室に控えて結果を待ちます。
正信が話し合いの結果を伝えます。
七将が引き下がることになった事。三成は蟄居とする事。
再び三成は政の舞台から降りなければならない事が伝えられました。
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そして幸村は三成の元を訪れると蟄居のことを伝えると「ここは従いましょう。先ずは騒ぎを収める事が肝要です」と三成を説得します。
これに三成は小さく何度か頷きますが「なぜだ」と掠れた声で言い「殿下に全てを捧げ、殿下亡き後は豊臣家の為に全てを投げうって、ここまでやってきた。何故、私が伏見を追われなければならぬ」と涙を流し嘆きます。
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これに幸村は答えます。
「太閤殿下は分かっておられます。石田様は誰よりも豊臣家の事を考え、秀頼様の事を思われておりました。太閤殿下は全て見ておられます」
これを聞いた三成は流れた涙を落ちるままに任せますが新たな涙はなく「一つだけ頼みを聞いてくれ、虎之助に会いたい」と頼みます。
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治部少輔丸ではやり切れない表情をした島左近達が柵や防塞を撤去しています。その背後にある通路を幸村の先導によって長束正家、加藤清正等が通り三成のもとへと向います。
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正家は三成へ「治部少輔三成。国元にて蟄居を命じるものなり」と書かれた文書を読み上げ通告します。三成はこれを受け入れます。
正家は三成の耳元で「お察し致す」そう言うと立ち去ります。
残された三成は清正を呼びます。清正は三成の前に相対して座ると、三成はその耳元で何事かを囁きます。それを聞いた清正は驚いた表情を浮かべて三成の顔を見ます。更に三成は小声で何事かを伝えます。
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そして三成は「参るとしよう」と声を掛けると立ち上がります。先に清正が退出し、それに三成も続きますが、幸村の前に来ると立ち止まり三成を見上げる幸村に「今生の別れだ」とやや芝居掛かった声で告げると三成は退出します。
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そうして三成が伏見を立った三日後、家康は居を伏見城へと移しました。
家康は伏見城の天守閣へ登ると城下を見下ろし高らかに笑うのでした。
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真田丸感想34話「動乱」続きます。
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