真田丸感想50話最終回感想⑨愛する人の姿


2017-03-14 22.23.30

千姫を大坂城から脱出させたきりは大坂城の人々の命乞いを家康にするため茶臼山を進みます。その道中に馬の走る音を聞き麓を覗くと馬を駆ける幸村の姿が見えます。きりは「源次郎様・・・」とその名をひとり言のように呟き見詰めます。
2017-03-14 22.20.09
この時、幸村は自分が陣を敷いていた茶臼山が制圧され隊を休める場所が無くなり松平忠直と再び相見え戦いへと及んでいる所でした。しかし、通常の戦いは隊列を組んでの動きとなり、幸村隊は父である真田昌幸が武田信玄公から受け継いだ風林火山の動き、風が如き速さを以ってして林の如き静けさで動き、火の如き激しき攻撃と山の如き揺るがぬ防御は一糸乱れぬ隊列運動によって再現していました。それは幸村隊に本陣を急襲された家康を心の底から震え上がらせた筈です。戦上手で鳴らした家康が唯一と言って良い程の惨敗を喫し、糞便を漏らすまで追い込まれた三方が原の戦いの記憶をまざまざと蘇らせました。
しかし隊列運動を取ることが出来なければ、その強みは消え去ります。今は兵達が各個で戦っている状態です。そうなった場合に勝つのは兵数の多い側です。そして、幸村隊は相次ぐ激戦により疲労した上に当初三千五百の兵数を大きく減らしていますが忠直隊は当初一万五千の兵を持ち未だ多くの兵を擁しています。従って勝敗の帰趨は決まっており幸村は最後の決断として家康の首を狙うべく駆け出しています。
この時の幸村は云わば撃ち放たれた弾丸です。則ち、相手を死に至らしめてその命を終えるか、相手の命を奪うことなく力尽きるかの何れかしかないという事です。
写真 2017-03-15 0 19 42
遠くから見るきりはそれを知っていました。自分が千姫を連れて家康の本陣に向っているという事は既に豊臣方が勝利する可能性が潰えたという事です。そして今回の戦に幸村は自らの身命を賭しています。従って豊臣の敗北は彼の死に直結します。しかし、その中に在っても懸命に戦場を駆ける幸村は生きています。例えその姿が蝋燭の炎が燃え尽きる最後の輝きであったとしても強い光を放っています。己の才を活かすことが出来ず自分を抑え続けてきた挙句、九度山に押し込まれ長い年月と共に打ちひしがれてゆく姿を本人以上に忸怩たる思いをして見詰め続けたきりだからこそ、今の幸村が感じる充実と喜びを見て取ることが出来ます。
きりは幸村の背中を見送ります。

真田丸50話最終回感想つづく。
真田丸感想一覧