今度は大阪城から駿府城に場面が移ります。
信幸と信尹が駿府城の廊下にて徳川の下に真田がつくのは悪くないと話しています。
信尹「徳川から責められることはもうない」
そして黙って頷きます。
この辺は頭では理解していても、なかなか素直に喜ぶというのは難しい所なんでしょうね。
「城(駿府城)の作りは手堅いが賎機山から城内が丸見えじゃ、もし儂が攻めるなら、ここに陣を敷くな」
それを聞いて満足そうに聞いて言う信尹
徳川との戦いを既に想定している昌幸と、その想定を嬉しそうに聞く信尹とのやり取りを驚いたように見つめる信幸。
昌幸と信幸では役者が違うということなんでしょうね。信幸は当面の敵である徳川との戦いを避けた上で与力となったので安心している節があります。それに対して昌幸は依然として真田と徳川との戦いを想定しています。
つまりは徳川との交渉に於いて昌幸は徳川を裏切るという選択肢を残しています。
しかしおっさん密度が高くなって一気に脂っぽくなりましたね。
そして場面はまた移って、部屋で一人外を眺める松。
その部屋に「姉上」と呼び掛けて入る信幸を見て「源次郎」と応える松。
「源三郎です」と信幸。
それを誤魔化す為か「申し訳ないけど、あたし、このお城のこと全く思いだせないの」
「姉上、ここは初めてくる城です。信濃に戻る途中に立ち寄ったのです」
なんだ~と信幸を突き飛ばす松。完全におばちゃんですね。
信幸も「今のは実に姉上らしゅうございました」と喜びファミリードラマの空気を醸し出します。
松が今後にどう絡んでいくのかは気になる所です。
そして今度は徳川家康と本多忠勝との相談場面です。
徳川家康は本多忠勝に「真田の動きが知りたい」と相談しています。
「奴が何を考えているか逐一わしに知らせる者が欲しい」
「間者でございますか」
ここで思いついたように
「先だって会ったお主の娘は」
「名は何と言ったかなぁ」
「稲でございますか」
「あれを儂にくれ」
「真田と縁組みをする」
「稲を真田に送り込むのだ」
「相手は?」
「安房守(昌幸)の嫡男、信幸」
思わず涙する忠勝には同情を禁じ得ません。
愛する娘が、よりによって憎き真田のあの小僧にやらねばならんのか!と言った気持ちなんでしょうね。
この漢の涙には徳川も家康も思う所があったのでしょう。ですが、それでも家康が言った言葉は「折れてくれ」でした。
この忠勝の説得シーンは家康のたぬき具合が発揮されています。
通常こういった相談は参謀である本多正信にする筈です。それを忠勝にしている時点でおかしい。
その上で、そういえばさぁからの娘をよこせですからね。
家康も秀吉同様、単に上からモノを言うではなく家臣に気を遣った上で命令する人物だということが伺えます。
そして、家康の眼は確かです。昌幸が駿府攻めの想定をしている姿を見る限り昌幸は信用しない方が良いのは間違いないようです。
秀吉が徳川に真田を与力として付けたのは単なる真田家への嫌がらせではなく徳川への楔としての効果も期待した筈です。しかも秀吉の肝いりとなると真田を簡単に成敗する事も出来ない。
従って秀吉は徳川と真田との仲違いによる徳川の消耗を期待した面も大きかったのではないでしょうか。
初め、秀吉の命で小憎たらしい真田が配下として従えられる喜ぶ
途中、秀吉の肝いりなので成敗できないどころか獅子身中の虫になり兼ねないことに気付く
結果、稲を嫁がせる事で血縁関係による信頼構築と間者を兼ねさせることで監視下に置く
以上のような流れを取らざるを得なかったのは家康の苦渋であるとも言えます。
真田というと忍者。真田に仕える出浦昌相は忍びの統率をする人物でもあるので、いくら徳川が服部半蔵を擁しているとは言っても間者としての行動を許すかどうかを考えると分が悪いと言わざるを得ません。従って稲を間者として使わざるを得ないというのは家康も苦しい所です。
結局、秀吉が悪いんですけどね。
と、19話の感想は次に続きます。