前回の徳川家での信幸と稲の縁談がまとまり、再び大阪城へと舞台が戻ります。
大阪城に戻ると、
平野が清正に幸村と茶々が蔵に入った噂を実しやかに話しています。
それを聞いて清正は野郎とでも言いたげな表情です。幸村は今度こそ本当に井戸に放り込まれてしまうかもしれません。
今度は加藤清正が蔵の件を且元に伝えます。
且元はやはり噂は本当だったのだなと納得します。
「殿下にはおまえからお伝えしてくれ」
どうやら平野→清正→且元→秀吉のラインがあるようです。
清正は「許さん、真田源次郎」と一言。
しかしいきなり井戸に放り投げようとするのかと思いきや諜報戦を仕掛けて来る辺り、やはり油断できませんね。
さっそく且元同席の上で秀吉に噂の真偽を問いただされる幸村ですが、
秀吉は幸村を信じると伝えます。
且元は叱りつけられ、さてはオマエ、茶々に惚れているな。と言われる始末。
追加でやきもちを焼いたんだろうと言われます。
結局、秀吉に「早く下がれ」と言われ逃げるように且元は出ていきます。
幸村はそこで殿下の傍で仕えたいと役割の変更を願い出ます。
「もう少し茶々の傍に居てやってくれ。あれはさびしいおなごなのだ。話し相手になってやってほしいのだ。な?」と幸村の申し出を断ります。
しかし噂とは言え秀吉が目を掛ける茶々と噂を立てられた時点で、これを許せば秀吉の名に傷が付きます。少なくとも幸村の役目変更を行われて然るべき所を放置されるというのは違和感があります。
幸村は詰め所に戻りますが、その廊下でも茶々と幸村の噂がされているという始末です。
詰め所に戻ると「災難だったなぁ」と抜け抜けと平野は幸村に言います。
「だから言ったろう。茶々様には気を付けろ」と言っている所にタイミングよく幸村を呼びに来る大蔵卿局。
慌てて起立する平野。
この場面から茶々の権力の強さが伺えます。茶々は実権を持ってはいませんが秀吉を通して権力を行使できます。従ってお付の女御から平野が敵であると伝えられた場合に処罰が下されることになるのを恐れたのでしょうね。
大蔵卿局は幸村に伝えます「姫様がお呼びです」
幸村は再び茶々のところへと移動します。
平野の顔を見る限りまだまだ油断できそうにありません。
茶々の待つ中庭へと場所を移します。
茶々は問いかけます。「花のことは詳しい?」「全く詳しくありません」と素気無い幸村に「これは山吹。母上様が大好きだった花」
そして茶々自ら手折った花を幸村に贈ろうとします。
「頂けません」
「花くらい良いでしょう」
その時、清正が!!
もう何だか軽くストーカー状態です。
それを見た幸村は黙って花を受け取り頭に飾ります。
道化を演じることで逃れようとしたんですな。
すると茶々は幸村の頭から再び山吹の花を取り「よく母上が押し花にして書物の間に挟んでいました。私もやってみます」と伝えます。
流石は茶々先輩です。女子としては完璧と言って良い返し技です。が、それも清正にさえ見られていなければの話です。これで幸村が深夜に井戸へダイビングすることになったのは決定したと言って差し支えないでしょう。
そして場面は移り、殺されちゃたまらんと、幸村はきりに相談します。
「源次郎様にも落ち度があったんだと思う」
「ない」
「隙があったんだと思うなぁ」
「ない」
「だけど、あれだけきれいな方だし一日中一緒にいる訳だから少しはやましい気持ちになることもあったでしょう」
「ない」
「責めているわけじゃありませんよ。少しはそういう気持ちになっても、そりゃあ男なんだもん。私は仕方ないと思う」
「まぁ、少しは」
「ほらほら、それを言ってるのよ!!男なんて所詮、そんなものよね」
見事な誘導尋問です。
しかし凄いトラップです。責めないからと言いつつ完全に責めています。仕方ないなんて微塵も思っていませんよw
しかし幸村が殺されちゃたまらんと次はきりの仲立ちによって秀次に相談を持ち掛けに行きます。
秀次は惚れたのなら仕方ないと伝えますが、幸村は惚れておりません。と答えます。
「だとしたら、おまえに隙があったのだ」
「不徳の致すところです」と仕方なく答える幸村。
大人って大変ですよね。
そして清正の誤解を解いてほしいと頼むと
「とらのすけは厄介だぞ。一度こうだと思い込むと考えを改める事はないから無理だな」
図らずも清正が豊臣家のマッドドッグ、狂犬ポジションにいることが判明しました。
ここで更にきりが頼み込み、今度は石田三成に頼むと良いと秀次から三成へ文を書いてくれます。ついでに秀次は女に弱いということが判明しました。良いことです。
そして今度は石田三成へと相談します。
「お主に隙があったからこういう事になったのだ」
「はい。そうです。私に隙がございました」という言葉が幸村は流れるように出て来るようになっています。素晴らしい!!気が付けば筆者まで幸村に隙があったのではないかと思う程です。
しかし三成。これ以上秀吉の近くで不審死が増えてはならないと手を貸してくれると言ってくれます。
きっと井戸水が飲めなくなると困るとでも思ったのでしょう。
加藤清正を九州征伐に向かわせて関わる暇もなくなるように手配をしてくれることになります。
そして近くにいた大谷吉継に堺に行くと伝えて出て行きます。
幸村は「ありがとう存じます」とそれを見送ります。
その後に幸村に経緯を聞いた吉継は「加藤殿が九州に行くことは以前から決まっている」としれっと教えます。
更に九州平定後にはそこから明国へと攻め込むという言葉に再び幸村は呆然とします。
既に天下統一は目前となり戦のない日本になろうとしています。しかし戦がなければ手柄を立てることが出来ません。ですが明との戦があれば手柄を立てて出世する事が出来ます。九州平定戦に参加していない幸村にとって、この知らせは望外の喜びだったのではないでしょうか。しかし為政者側としてはこういった家来の要望に応えて褒章として与える土地を増やすための領土拡大も目的であったというのは皮肉な話でもあります。
そして大阪城から完成した聚楽弟へと舞台は移ります。幸村も井戸に飛び込むことなく無事に日々を過ごすことが出来たようです。
聚楽弟の蔵の並ぶ場所が話題に上り、茶々が嬉しそうに「また蔵を見に行きましょう」と幸村に言います。
いきなり口を滑らせる茶々。
「京が政の要となる訳ですね」
それを受けて誤魔化そうと頑張る幸村
「御所も近いので何かと都合が良い」
と以外にも付き合ってくれる三成。
「殿下はますますお忙しくなられますね」
と茶々も加わっての連携プレーです。
まぁ、誤魔化せないんですけどね。
「茶々、またとはどういう事だ」
「え?」
「今またと言った。以前にも源次郎と蔵を見に行ったことがあるのだな」
「私、また何て言っておりません」
「言った(ややくい気味に)」
「源次郎」
そして武具の蔵を見に行ったことを白状させられる幸村
そして皆を下がらせて叱責するのかと思いきや、秀吉は語り出します。
茶々に美しいものだけに囲まれて欲しかったが故に蔵に近づけなかった事。天下統一について、そして茶々を側室にすることが告げられます。
天下を語る秀吉
そこから更に茶々へと跪いて懇願するように側室になってくれと口説きだします。
茶々の「北の政所さまが聞かれたらお怒りになります」に対しては「夫婦というか戦仲間みたいなものだ」と、どこかで聞いたことのあるベタな口説き文句を展開します。
そして茶々を抱きしめる秀吉
そして忘れられる幸村
「この日の本一幸せな女子でした。この儂が言わせて見せる」
再び幸村のアップ
叱責すると思わせておいて、己が天下人である権勢を改めて示し幸せにしたいと口説きます。
更に茶々には幸村を庇わなければという思いもあった筈です。
(秀吉を謀ったとなれば通常であれば切腹でしょう)
それらの要素を加味した上で側室になることを求めるのですから、これ以上ない位のタイミングです。
茶々と噂の立った幸村の役目をそのままにした理由もようやく分かった気がします。
桜が喜び舞い踊る中を秀吉が寧々のもとへと走ります。
寧々に茶々が側室になることを報告です。
どうやら茶々が側室になることを了解した様子です。そして同じく喜んでくれと寧々を抱きしめます。
寧々の複雑な感情が伝わってきます。
茶々の部屋に場面が移り、茶々は外を縁側に立ちながら秀吉の側室になる申し出を受けたことを伝えます。
大蔵卿局「日の本一口の上手い男ですよ」と考え直すことを伝えます。
そこで茶々は秀吉の口は見え透いていた事。
しかし、その秀吉が若者のように自分を口説いた事
押し倒そうとすれば出来るがしなかった事。
日の本一幸せな女子でしたと言わせると約束した事
「言ってみたいと私は思いました」と答えます。
そこに喜びの色は見えません。
大蔵卿局も何事かを読み取り「姫様」とだけ答えます。
今度は幸村に茶々の側役がお役御免となったことを伝えます。
併せて秀吉から幸村がお役替えを申し出たことを聞いたと伝え「かっこわるい」と一言。
少しのやり取りをした後に幸村に近づき言います。
「おかしなことを言います。私と源次郎は不思議な糸で結ばれている気がするのです。離れ離れになっても、いつかあなたはまた戻って来る。そして私たちは同じ日に死ぬの」
幸村は「遠い先であることを祈っています」と答えます。
茶々は取り出した懐紙を幸村に渡します。そこにはいつかの山吹の押し花が一つ収められています。
「大切に致します」
「下がりなさい」
秀吉の申し出を受ける一連の出来事は彼女に決意のようなものを齎したのではないでしょうか。幸村が立ち去る方向を茶々が目で追い掛けて見ているのが後ろ姿から分かるのが別れの惜しさを物語っているように見えます。
この時に激しく舞い落ちる桜は彼女自身が散る様であったのではないでしょうか。
その後に幸村ときりが中庭で話します。
きりが茶々と離れる事が出来て良かったと語り掛けます。
返事もせず幸村は渡された押し花を見つめ続けています。
そして、きりはその押し花を取り上げて口の中に呑み込んでしまいます。
急いで幸村はきりを押さえますが、たぶん取り出せなかったんだろうなぁ・・・。
補足説明をすると山吹の花言葉は「気品」「崇高」「待ち焦がれる」です。茶々から幸村に宛てた隠れたメッセージが込められているのでしょうか。この辺は想像してみると面白いかもしれませんね。
そして雷雨によって桜が打たれるなかで茶々は正室な側室となり、石田三成と幸村の見送られる中で自らの居場所を重き扉の向こうへと移します。
この時の様子はまるで刑務所の中にでも閉じ込められるように見えてしまいます。
茶々を見送って三成は誰にでもなく言います。
「茶々様を側室に迎えるということは、殿下が信長公を呑み込み、超えるという事。このさき殿下は何処に向かわれるのか。・・・独り言だ。聞き流せ」
最後にナレーションの、それは間違いなく秀吉政権が崩壊に向かう最初の一歩であった。という部分がこの先を明示しています。
この時、茶々は何を見て、何を思ったのか?と考えずにはいられません。
真田丸19話「恋路」感想終了。
どうにか20話放送前に終える事が出来ました。
19話はやたらと密度が高く山場の連続でした。
しかし思い返すと冒頭の蔵のシーンから最後、
茶々に始まり、茶々で終わった回だったなぁと思います。