前話では幸村が氏政に最後の説得を行う為に小田原城に潜入するも、降参反対派の兵多数と対峙する事となり、そこから逃げる際に姉の夫である茂誠に助けられたのでした。
今回は茂誠に連れられて幸村は蔵に避難します。
幸村を助けた茂誠曰く「騒ぎに駆けつけてみたら知った顔が逃げて来るので驚いたよぉ」との事です。
幸村は非常に危なかったと思います。茂誠が新しい嫁さんでも貰って出世に狂っていたら、目の前に飛び出してきた狼藉者を見つけて、鴨がネギ背負ってやって来やがったぜ。と言わんがばかりに首を撥ね飛ばされていた可能性を否めません。
幸いにして新しい嫁を貰った様子も出世に狂った様子も見えず。どちらかというとうだつの上がらない流れ者の土方で錦糸町辺りにいそうな雰囲気を醸す茂誠ですが、それでも「真田源次郎信繁」と呼び捨てたのは、首を取ってしまおうという気持ちの表れであったと考えるのは、きっと邪推だと思います。
まぁ、そんなこんなで再会を果たした幸村と茂誠です。
茂誠は「お館様が密かに開場の談判を始めたと耳にした」と言っており、兵士の末端部分にまでそれが伝わっているとなると、同じ北条でも全員が死ぬまで戦うという気概を持つとは考え辛いので、やはり同じ北条の中でも開城派と継戦派での対立が起きているようです。
しかし前話で江雪斎が氏直に「北条家の当主は氏直様です」と氏政を無視して当主の権力で強行採決を唆す場面がありましたが、氏直は氏政に忠誠を誓う臣下に取り押さえられる可能性を憂慮したと考えると、依然として継戦派が優勢であり、氏政の権力は依然として強いものであるとも考えられそうです。
話は戻り、幸村は「兄上は北条の家臣になられたのですか」と質問すると幸村を城内の兵士が探す声が聞こえてきた為、説明はかいつまんでと注文を出します。すると茂誠は適当なものに腰掛けます。話し込む気まんまんです。
座り込んだ茂誠は案の定ですが当時の心情も含めて語り出すのですが、要約すると
・ 腹が減って里におりた
・ 小山田一族は北条とも縁が深い
・ 小田原に行けばなんとかなると思った
以上の経緯で小田原に来たらどうにかなったそうです。
話が長いのは茂誠自身も気が付いたんですかね?
「長かった?」と幸村に聞きます。
幸村はうんと小さく頷いてから「実は兄上にお伝えしておかなくてはならないことがあるんです」
「何だろう?いいことかな?」
「途轍もなく」
茂誠を急がせた割に長話をされた仕返しなのか幸村も勿体ぶった話をします。
そんなことをしていると突然、扉が開かれ江雪斎が現れます。
幸村は「危ない所を救っていただきました」と茂誠のことを伝えます。
江雪斎は「ようやった、さぁ参ろう」と幸村を促します。
幸村は「大事な要件を仰せつかっておりますのでこれで」と後にしようとすると「途轍もなく良い事って何かな?」と茂誠は食い下がります。「長くなりますから、ここで待っていて下さい」と言うと「気になるなぁ」と食い下がる茂誠を残して江雪斎と氏政のもとへと向かってしまいました。
その間、茂誠は倉庫で悶々としながら待つ事が決定しました。
この場面は幸村も「姉上が生きていました」の一言だけでも言って安心させてやれば良いのにと思いもするのですが、驚異的な粘り腰を発揮する茂誠に対して同じく中々焦らし上手な幸村さんという好カードでもありました。
続きます。