真田丸感想28話「受難」④すれ違いの果てに


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今回は秀次が高野山の青厳寺へと向かった先から始まります。

青厳寺は秀吉の母親でもある大政所の菩提寺でもあります。信幸が一緒に付いて来ました。

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秀次は青厳寺の縁側に立ち「叔父上に振り回されてここまでやって来た。面白い人生と言えるかもしれない。しかし、生まれ変わるなら、もう二度と叔父上の甥にはなりたくない」と独り言のように語ります。
後ろに控えた信幸が言います。「殿下とは比べものになりませぬが、私も振り回されてここまでやって参りました。余りに大きすぎる父、私の声だけが聞こえぬ祖母。病がちなのかどうかよく分からない最初の妻。決して心を開かぬ二度目の妻。そして、余りに恐ろしい舅」
それを聞いた秀次は信幸の方へと振り返り「それは、難儀であったのう」と言い、信幸は「振り回されながら生きているのは殿下一人ではありませぬ」と答え、秀次は笑顔を浮かべます。
気が晴れた。私のことは心配いらぬと秀次は言いますが、信幸は弟が参りますのでと断ります。

確かに秀次は秀吉の為に人質生活を送ったり、関白になったりと翻弄され続けた人生であったと言えますが、信幸もまた政治的な都合によって徳川の家臣にさせられたり、無理やり嫁と別れさせられて新しい嫁を取らされたりと翻弄されています。秀次、信幸の二人はともすると主体性に欠けているようにも見えるのですが、秀次は秀吉に集中している関白としての役割を取り戻そうと足掻き、信幸は官位叙任の件では他者の影響に左右される事はしたくないと怒りといったように、主体性の芽生えとして、それを阻害する要因を取り除く為に懸命に踠いている点が共通しているように思えます。

そして秀次は官位のことを信幸に聞きます。信幸は平伏して官位のことは自分自身の詰まらぬ見栄と意地であり、お忘れ下さい。と言い。秀次は「よもや返上したりはせぬな」と確認すると「勿論でございます」と信幸は答えます。秀次は小さく頷くと官位叙任の件を「あれは、私が関白として行った、数少ないことの一つじゃ」と言って外の景色を眺めます。
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大阪では秀吉が光成から秀次が高野山へと向かった報告を受けます。秀吉は「折角、内々で済ませてやろうと思っておったのに」と頭を抱えます。

秀次の件については、
・ 高野山へは秀吉の命によって蟄居した事にする
・ 蟄居の理由は謀反の疑いがある為
・ ひと月経過の後に疑いが晴れた事として連れ戻す

以上の内容が決定されました。

秀次は謀反の疑いを持たれる事を恐れたのですが、それが取り繕いの表面上としてではありますが、周知されるといういうのは皮肉な結果だと思います。

高野山へ使者を出して秀次へ打ち合わせの結果が伝えられる事となりました。

光成はその場を辞して残された秀吉は、落ち着かない困惑の表情を浮かべます。
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ある意味で秀次の高野山行きというのは自己主張の一つであり、反抗期という成長の一過程とも取れると思うのですが、悲劇の要因は秀次が関白という重要な役職がそれを許さなかった事と、父親役に当たる秀吉とは物理的、心理的に距離が出来ていた。
つまり秀次は一人で立つ事を望んだが、秀吉はそれを最後まで理解することが出来なかった。それが一連の悲劇に繋がっているように思えます。

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京の徳川屋敷には秀次が高野山へ蟄居を命じられたことが伝えられます。
家康は「面白くなってきた」と言い、正信も「面白くなってきました」と言う横で息子の本多正純は「面白くなって参りました」と言います。
家康は正純を「誰に似たのか、喰えぬ面構えをしておるのう」と評します。
そこに家康の嫡男である秀忠が現れます。
家康は正信を知っているだろうと紹介し、正信はご無沙汰致しております。と頭を下げると秀忠は頭だけをこくりと下げます。
家康は「ちゃんとせい」と注意します。
次に正純が「お初にお目に掛かります。佐渡守が嫡男。弥八郎正純にございます」と平伏すると、秀忠も同様に平伏にて応えます。正純が頭を上げると秀忠は平伏したままであり、それに正純は驚き再び平伏します。家康は秀忠の傍の畳をを扇子で軽く叩き「もう良い」と声を掛けて、ようやく秀忠は頭を上げました。家康は頭を上げた秀忠に「下がれ」と言い、秀忠はその場から下がりますが、部屋を出る際に振り返り頭を下げるではなく、外側に頭を下げて出て行きました。
家康は「お互いに跡継ぎがいることは有り難い事じゃ」と取り繕うように言うと扇子を開き扇ぎ、正信と正純はお互いに顔を見合わせます。

秀忠は凡庸と評されることもありますが、一方で凡庸なのは表面的に演じただけで徳川の支配体制を固めた人物と評価する声もあります。今後どう描かれていくのか気になる人物です。

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そして幸村は高野山に到着して秀次と対面し、明朝に秀吉からの使者が来る事を伝えますが、秀次は「大阪へは行かん。もう豊臣の世に私の居場所はない」と言います。
幸村は秀吉と対面して心の内を話すべきだと説得を続けますが、秀次は「使者は追い返してくれ」と言います。幸村は納得せずに説得を続けます。やがて秀次は口元を緩め、頷きます。

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その夜、幸村と信幸は酒を酌み交わします。
幸村は信幸に秀次に付いてくれた礼を述べ、信幸は自分も家臣だからだと言い、腹を割って話を出来たと言います。幸村はどんな話をしたのか聞きますが、信幸は「内緒じゃ」と答えます。
そして信幸は官位叙任の件について幸村に礼を述べます。
幸村は「兄上と共に官位を授かり、私は鼻が高うございました」と言い、信幸は「俺もだ」と応えます。真田兄弟の二人は和解することが出来ました。

秀次への使者として福島正則がやって来ました。
秀次はそれを信幸から聞き「市松が参ったか」と言います。正則は秀吉の母の妹の子で親戚となり、豊臣内では加藤清正と共に武断派とされる人物です。
秀次は「叔父上は私を油断させて捕らえる腹か」と言い、信幸は「いささか深読みされ過ぎでは」と宥めます。秀次は笑顔を浮かべ「いつからか人を信じぬようになってしまった。悪い癖だな」そう言うと手元にある二枚の板絵を手に持ち眺めます。初めは一枚目の聖母マリアの絵を、やがて二枚目のキリスト磔刑の絵に視線が移り留まります。
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秀次はその絵を包み信幸に長持ちにしまってくるように頼みます。
信幸はそれを受け取るとしまいに向かいます。

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誰もいない部屋に残された秀次はやや上を見上げます。やがて笑顔の様な表情を浮かべますが、頬を痙攣させて開いていた唇を閉じると、それは消えています。唇はやや吊り上ったままとなり、やがて漂わせていた視線は一定となり、その目に溜まっていた涙が一粒流れ落ちます。息は肩が微かに上下する程でしたが、真正面を向いて座る姿は、とても静かなものに見えます。
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幸村は正則と座して対面して条件を聞き安堵し、正則は詳しいことは直々に申し上げると笑顔を浮かべて告げます。
正則は秀次のもとへ向かおうと立ち上がり「孫七郎は気が優しすぎるんよ。儂は関白ようやっておったと思うなぁ」と言って廊下に出た所へ信幸が走りやって来ます。信幸は何も言うことが出来ず強張った表情を浮かべています。
三人は急ぎ秀次のいる間へと向かいます。

そこには切腹によって果てた秀次がいました。

続きます。

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