真田丸30話感想 「黄昏」①昌幸の背中

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前回では昌幸がようやくやる気を出して伏見の普請に取り掛かりだしたのですが、慶長伏見地震によって全て崩れてしまいました。

秀吉は伏見城の北にある木幡山に避難所を設けて仮の宿としました。
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三成と昌幸、幸村は城の普請について打ち合わせを行います。
三成は「新たな城は処を移し、ここ木幡山に築くと殿下がお決めになった」と現状を説明します。それを聞いた幸村は思わず笑顔を浮かべ「父はこの木幡山こそが伏見を守る最も相応しい場所と、ここに出城を築く積りでおりました」と言い、昌幸は「木幡山に目を付けられるとは、流石は太閤殿下」と自分と同じ見方をしている人間がいた事と、尚且つそれが天下人秀吉であった事に喜びます。
しかし三成は戦う為の城作りを取り止める事となり、住まいとしての城作りを優先させる事となり昌幸は城作りから、堀の普請へと役回りが変更される事を伝えられます。
それを昌幸は黙り思い悩みながら聞きます。

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伏見の真田屋敷に戻ると昌幸は一人焚き火をします。
昌幸の普請の経緯を聞いた信幸は「そもそも堅固な城作りを命じられたのは殿下ではないか」興奮した様子で幸村に言います。幸村は項垂れて聞き、それに気付いた信幸は怒りを収め「父上がお気の毒でならぬ」と言います。幸村も此度の築城に掛けておられましたからねぇ」と父の寂しそうな背中を見ます。

慶長伏見地震によって昌幸の情熱の炎が掻き消されてしまったように見えます。小さく灯る焚き火を消すまいと小枝を燃やす昌幸の姿は自らの炎を消すまいと足掻いているようにも見えます。

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情熱を注いだ仕事を奪われた男が何をするかと言えば、酒か女か賭け事というのが定番です。昌幸もご多分に漏れず捌け口を求め、選んだのは女でした。再び太夫遊びを再開します。
昌幸は太夫に「太閤殿下と儂とどっちが良い」等と膝を撫でながらベタなことを聞きます。「やぼなこと」と太夫は流しますが「どっちが好みじゃあ」と追求します。
太夫は「殿下はとんとご無沙汰。どないしてはるんやろう」と躱します。まぁ確かに秀吉は死にそうになっているので太夫遊びをしている暇があるなら他にやる事がいくらでもあるだろうという状態です。
そこで太夫は気付いたように昌幸の子供である幸村が馬廻衆である事を言って秀吉の事を聞いてきます。が、昌幸は「殿下の話はもうよい」と言って太夫の肩を抱きます。

そんな所に昌相が襖を開けて御免と入ってきます。太夫は昌幸から身を離して身繕いをします。昌幸は「どうした」と聞くと「本日の仕事は終わったとの事」と答えると昌幸は「おう、もうそのような時分かぁ、続きはまた今度」と言って立ち上がり出て行きます。昌相が太夫を見やると上目遣いで見返し微笑みますが表情を変えることなく出て行きます。

流石の昌幸も薫にあれだけ追及されてヒステリックに喚き続けられて懲りたのか普請の仕事終わりの時間に合わせて家に戻るようになったようです。本妻の説得は意味を持っていたようです。

そして昌幸は屋敷で幸村が信幸に秀吉が自分の足で立ち歩くことはもうないと告白するのを背中越しに聞きます。

この頃になると真田家運営の大部分は後継者である信幸に引き継がれていたと言われています。確かに以前であればこういった重要な報告を受けるのは昌幸の役目であり、その傍には昌相が控えていた筈と考えると真田家の世代交代も順調に進んでいるようです。
大体に於いて権力に縛られて権限委譲を果たすことが出来ずにいると内乱へ繋がったり、北条家のように滅びへと繋がってしまう等のように衰退へと繋がるのですが真田家に関しては心配する必要はなさそうです。

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昌幸は太夫遊びへと再び訪れます。
そこで昌幸は太夫の着物に片袖を通して纏い酒を飲みながら太夫に「どうやら殿下は危ないらしいぞ」と話してしまいます。
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太夫は驚いた表情を浮かべて聞くと「ごゆるり。じきにもどります」と座敷を離れようと襖を開けると、そこには着物をたすき掛けにした昌相が立っていました。それを見た太夫は「まぁ」と微笑み掛けて手を帯に掛けようとしますが、昌相は太夫の肩を掴んで引き寄せると短刀で一突きにします。
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倒れ臥した太夫の右手には苦無が握られていました。
昌幸はこの出来事に驚き立ち尽くしていると昌相は「この女は忍びだと」告げ、佐助を呼ぶと「本物の吉野太夫は京の廓におりました」と報告します。
昌幸は「よう気付いたのぉ」と言うと昌相は太夫の苦無を回収して立ち上がり「同類は目を見れば分かる」と言い佐助に目で指図すると佐助は太夫に布を掛け、昌相は人目に付かぬよう襖を閉めます。

その後、太夫に化けていた忍びの死を知らされた正信は「役立たずが」と呟き忍びの死を知らせる紙を握り潰すのでした。

昌幸は屋敷の縁側で中庭を眺めています。
そこへ薫が「お呼びで御座いますか」とやって来ます。昌幸は自分の隣をトントンと叩き、隣へ座るよう指図します。薫が昌幸に向いて座ると薫の肩を抱き寄せます。薫は昌幸に理由を聞こうとしますが「何も聞くな」と黙ります。
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そうしているとおこうが信幸との子である赤子の仙千代を連れてやって来ます。昌幸はその子を抱きます。すると今度は稲が赤子を連れてやってきます。これは薫が抱いてあやします。
昌幸も孫に囲まれるようになったのです。
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妻を大事にし、孫に囲まれる昌幸に以前のような表裏比興の者と謗られ野望を燃やしていた姿は見えません。秀吉の世になり戦が無くなり軍略の天才と謡われた昌幸に力の振るい所はなく、かと言って権力を手放せない愚かさも持ち得ない昌幸は己の存在意義を見つけられずに諦めようとしているように見えてしまいます。当時の血で血を洗う戦国の世の最前線を生き抜いただけでなく、おまけに孫を設けて囲まれるというのは望んでも手に入らない幸せと言って差し支えない筈なのですが、その姿を見て一抹の寂しさを感じてしまうのは自分だけでしょうか。

続きます。
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