真田丸感想32話「応酬」①家康の決意

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冒頭では家康暗殺に失敗した昌相について昌幸と信幸、幸村で話し合います。
結局、昌相は佐助が付いて有馬で養生する事となりました。
昌幸が信幸に「死ぬか?」と聞くと信幸は「何とも言えませぬ。身体中にかなりの火傷を負っています故」と答えます。どうやら逃げるとき最期に煙玉を投げつけた際、既に昌相は身動きが取れなくなっており、煙に紛れた昌相を佐助が助け出したようです。その代わりに昌相は火薬によるダメージを身体で受け止める格好となったようです。
幸村は家康の命を狙った理由を尋ねます。昌幸は三成に頼まれたと答え、信幸は「世が乱れれば我等真田の出番もあると父上はお考えなのだ」と父の真意を説明します。昌幸は「信濃、信玄公の御領地をこの手で取り戻す。その為には一度、乱世に戻すしかない。しかし、その夢も露と消えたぁ」と語り、その姿を幸村が淋しそうに見ていると、きりが「源次郎様、急ぎお城へお越し下さい」と呼びにやって来ます。

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雨が降り続ける徳川屋敷では家康が外を眺めながら額の汗を拭っていると、正信が傍にやって来ます。家康は「何処の者か分かったか」と刺客について聞くと「何一つ手掛かりも残さずに、消えてしまいました」と答えます。更に「殿。どうせ命を狙われるのなら思い切って天下をお取りになってしまうというのでは如何でしょうか」と唆すと、家康は口を開けたまま雨を眺めると広げていた扇子を勢いよく畳み横に立つ正信に「くどい」と言うと奥へと向かってしまいます。その様子を正信は微かな笑みを浮べ眺めると自分も何処かへと向かいます。
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幸村はきりと共に大阪城に着くと二人早足で歩きますが、その途中できりが茶々の姿を見つけ立ち止まり、その様子を伺います。幸村もきりの視線の先に居る茶々に気が付くと、そこへ向かおうとしますが、その腕をきりは掴まえ止めようとします。しかし幸村はきりの手からすり抜けると茶々の元へと向かいます。
幸村が茶々に「お察し致します」と声を掛けると、雨を眺める茶々は息をふっと吐き出すと「そう長いことはないと思っていましたからね」と言い「お傍に居て差し上げないのですか」と幸村が問うと茶々は口角を上げると「居たところで蘇る訳ではありませんから」そう言うと降る雨を眺めます。
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秀吉の死体の傍では寧々が付き添います。寝室に続く間の隅では正則が涙に暮れており、他には三成と且元、幸村ときりが控えます。
幸村は秀吉の死に際した且元に秀吉最期の様子を聞くと且元は「まるで眠るように、すっとお亡くなりになった」と答えますが「長年仕えた助作に手ぇ握ってもらえて、殿下もきっと喜ばっせたに」と寧々が言うと、秀吉臨終時に眠りこけて、それに気付く事の出来なかった且元は胃の辺りを手で押さえます。
三成は立ち上がり幸村と且元に呼び掛け部屋の隅に固まって集めると「殿下が亡くなられた事は暫く伏せておく。伝えるのは五人の老衆および奉行の面々。その他は、ごく内々に止める。ご遺骸は甕に入れて塩漬けにする」これが聞こえた寧々は顔を上げ、きりは怪訝そうな表情を浮かべます。しかし三成は気付かずに「一番奥の蔵に目立たぬように・・・」と続けようとしますが、そこで耐えかねた寧々が「私に聞こえんところで話してくれんかね」と制止を掛けます。これに三成は「失礼仕りました」と頭を下げると奥の間へと場所を移し、寧々は顔に布の掛けられた秀吉を見詰めます。

秀吉の死を嘆き悲しむ正則は豊臣政権主要人物の一人です。そんな人物を脇に置いて無視して行われる三成等の打ち合わせは明らかに異常です。
豊臣政権内の正則を含んだ軍務を担った武断派と三成を含んだ政務を担う文治派が対立したと言われており、今回はその表れの一つであるのだろうと思います。
また、秀吉の死を悲しむ寧々の前で秀吉の死を隠す打ち合わせはやはり心配りを欠いていると言わざるを得ず、ここには事を急ぐ三成の焦燥のようなものが表れているのだろうと思いました。

その後、秀吉は甕の中に塩漬けにされて運ばれます。きりと幸村はそれを先導して歩ききりは「殿下はいつになったらお墓に入れるの」と幸村に聞くと「暫くはこの中で我慢して頂くしかない」と幸村は答えます。きりは「そんなに好きなお方じゃなかったけど、何だかお可哀想。壺の中で塩漬けって」と言うと後ろから運ばれる壺を見やります。
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奥の蔵へと秀吉の入った甕が運ばれます。
正則は運ばれた甕を一人で持ち上げて移動させようとします。幸村が手伝うと声を掛けますが「これは俺の仕事だ」とこれを拒絶して一人で動かします。暗く薄ら寒い蔵の中に安置された甕を幸村は暫く見詰めます。

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伏見 治部少輔丸にいる三成へ幸村は秀吉の入る甕が安置された事を報告します。
それを聞いた三成は「ご苦労であった下がって宜しい」と声を掛けると横の机に向いて作業を始めますが、幸村は下がりません。それに気付いた三成は「何だ」と聞くと幸村は「昨夜、徳川屋敷に賊が入りました。賊は徳川内府暗殺にしくじった様子」と言い、それに三成は「聞いておる」と答えると幸村は「御免」と下がろうとしますが三成が「左衛門佐」と呼び引き止めます。そして三成は作業を続けながら「お主の今後だが、殿下の馬廻りであったお主の任も終わる。改めて秀頼公の馬廻りに任ずる事も出来る。どうしたい」と聞くと「私が決めても宜しいのですか」と幸村は聞き返し「望みがあるなら申してみよ」と三成が返すと「石田様の下で働きとう存じます」と言います。それを聞いた三成の筆を動かす手が止まります。幸村は続けて「もう暫く、治部様の下でお手伝いをさせて頂けませぬか。今こそ殿下にご恩を返す時と心得ます」と言うと三成は筆を硯の上に置くと幸村へと向き直り「私は殆ど間違える事がないが、ごくたまに誤った決断をする事がある。そんな時は、遠慮のう教えてくれ。豊臣家の正念場だ」と頼むのでした。

なぜ幸村が真相を知った上で三成に家康襲撃事件の事を尋ねたのかと言えば、幸村は三成が家康を暗殺してまでして倒そうとしている差し迫った状況の中にある事を知っていると伝えました。次に三成は幸村の任を解く事が可能である事を伝えました。三成は幸村に家康を倒す為に協力してくれるのかどうかを確かめる為、家康打倒に参加しなくても良いという選択肢を提示しました。幸村はこれに三成の手伝いをする。つまりは家康打倒の手伝いをすると答えたのが今回のやり取りだったのではないかと思います。

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そして家康にも正信の口から秀吉の死が伝えられます。
それを聞いた家康は無言で考え込んだ後に秀忠を呼べと正信に命じます。
正信が秀忠を呼びに向かうと、家康は縁側に立ち空を見上げると目を瞑り合掌して祈ります。両の掌を合わせる力は強く体が僅かに揺れる程に集中したものです。
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やがて呼ばれた秀忠が現れます。
家康は外を眺めたまま「正信から聞いておるか」と聞くと秀忠は「はい」と答え、家康は「直ぐに江戸へ戻れ」と命じます。秀忠は「かしこまりました」と答えて下がろうとします。家康は外を眺めやったままですが、いつの間にか呼吸は荒くなり肩が上下する程のものになっています。
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そこへ秀忠は戻り家康に「何故」と聞きます。家康は呆然としてように振り返ると「たまには頭を働かせろ」と秀忠を怒鳴りつけるのでした。

この後に昌幸が秀忠が江戸に帰った理由を述べますが、織田家が滅びた訳は本能寺の変において信長の世継ぎであった信忠も共に討たれた為です。家康はその二の舞を避ける為に秀忠を江戸に帰しました。つまりは家康が襲撃される恐れのある行動を取ると決めた事を意味します。

遂に家康が天下取りを決めました。