真田丸感想39話「歳月」⑤穏やかな日々の終わり

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前回、ため息の尽きない幸村でしたが、今回はそんな幸村に珍客が訪れます。

豊臣秀次の娘、たかが九度山の真田屋敷へやって来ました。
秀次事件の折に幸村の計らいによって、たかは幸村の側室となって呂栄(ルソン)へ渡っていました。
そんなたかをきりと春の二人が先ずは応対します。
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きりは笑顔で迎えますが、春の表情は強張り決してたかと目を合わせようとはしません。そんな所へ遅れてやって来た幸村を見たたかは「Magandang hapon(こんにちは)」と挨拶します。幸村も「お元気そうで何よりです」と、たかの変わりように戸惑いながら挨拶します。
目の前に腰を下ろした幸村にたかは「日本に帰って何よりお会いしたかったのが左衛門佐様。方々、捜しました」と言います。これに春は目を見張り「私はよく存じませぬが、どういう間柄ですの」と二人の関係を幸村に聞きますが、これにたかが「側室です」と笑顔で答えます。春は先程よりも更に大きく目を見開いてたかの方を向きますが「形だけだ。秀次様の妻子。お身内は皆、死罪となったので、こちらを助ける為に方便として側室にした」と慌てて早口で経緯を説明します。この慌てように春は満足した表情を浮かべますが「でも、側室は側室でございますよ。マハルキタ」と言って幸村にたかは抱きつき押し倒します。
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春は無表情のまま火箸を逆手に持ち立ち上がり、それに気付いたきりが春を取り押さえて火箸を取り上げます。そしてどうにか、幸村はたかを自分の体から引き剥がすと「アナタ、ソウイウヒトデハナカッタ」と何故かカタコトになって言うと「長年、向こうに居たので私なりに色々なことがあった訳ですよ」と答えます。これに春も同情する所があったのか腰を下ろします。きりは「今は何を」と聞きます。
たかは現在、呂栄に渡る手引きをして貰った呂宋助左衛門の教えで呂栄を拠点にして商いを行っていると答えると、お土産を持って来たと荷物を取りにその場を離れます。が、その間、春はたかと決して目を合わせようとはしません。
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たかが各地の土産を並べると、好奇心旺盛なきりが珊瑚を手に取るときれいだと褒めます。たかは「それは崑崙の珊瑚ね、お安くしとくよ」と説明すると「お金取るんですか」と驚きます。春も物珍しさに負けたのか香炉を手に取り「これは何ですか」と聞くと「お客さん、お目が高い。それはシャムの香炉です」と春とたかで言葉を交わします。
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幸村は紐を手に取り子細に眺めます。その様子を見たたかは「それはネエパラの紐。差し上げます」とプレゼントしてくれます。それを聞いた幸村は「ネエパラ」と口にしながら早速、畳まれていた紐を伸ばします。無料と聞いた瞬間に紐を伸ばし始める辺りに幸村の生活苦が見えて少し切なくなります。
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春は「どこにあるの」と珍しく敬語を使わず幸村の膝に手を置きもたれ掛り、たかに見せ付けます。普段と違う春に慌てた幸村は「どこにあるんですか」とネエパラの場所を尋ねます。これにたかも怒りを滲ませながら「天竺の北の方らしいね」と教えると、伸ばされた紐の片方を持ちながら「サナールっていうんだけど、すごく頑丈なの。何でかって言うと伸び縮みしないから」そう言いながら紐を辿り段々と幸村に近付きますが、眼前に迫ろうという所で春が横からたかを突き飛ばします。
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幸村は尚も紐を注視しますが、気付いた所があるのか、きりに紐を見せて「いくつもの糸が縦横きっちりと織り込まれている。何かを思い出さないか。真田の紬だよ。アレもこんな織り方だった気がする。思い付いた事がある」と話します。
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そして、幸村はきりと春の三人で話し、きりと春の二人でサナールを手本にして紐を編むこととなりました。
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夕陽の差し込む中できりと春の二人で紐を編み始めます。
春は「あの人は、ずっとここにいらっしゃるおつもりなんでしょうか」ときりに話すと「さあ」と気のない返事をしますが春が感情に任せて織っているのを見て「目が粗くなってる。仕事は丁寧に」と注意すると春はすみませんと謝ります。
「私、一先ず、お暇しようと思ってますんで」ときりが言うと、春が驚いた顔できりを見て「旦那様に言われたのですか」と理由を聞きます。「私の考え、居てほしくないんでしょ」と答えると「思った事もありません」と春は言い「自分に正直にならないと損するよ」と諭します。ついでに春の編み方の粗くなっている箇所を指摘すると急いで春は直し始めます。「みんな貴方に気を遣ってるの。分かってる、おかしな話よ。子供三人も作っておいて、白状しますけど、私だって、そりゃ源次郎様のお子が欲しいと思った事ありましたよ。でも遠い昔の話。だからね、余計な事、考えない。あの人にとっては貴方が一番なんだから」と胸中を告白します。春はきりの話を黙って聞いていると、やがてきりの織っていた紐が完成します。出来上がりを確かめる為に紐の端を春に持たせると紐を引っ張り丈夫さを確かめます。お互いに紐を引っ張り合っていると春は「きりさん、何処にも行かないで下さい。私の為に」そう頼むと紐を力一杯に引っ張り「ちょうどよい具合ね」ときりが返事をしないままに言うと、春は紐をきりごと手繰り寄せるときりの両手を両手で包むと微笑みかけます。
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きりはやや引き気味になりながらも、手を握られたままにやはり笑うのでした。

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結局、たかは祖母の居る京の端龍寺に行き、祖母に会った後は呂栄へ戻ると言います。
「助けて頂いた命、必ず大切に使います。サラマッポ」とたかは幸村に礼を述べます。幸村はサラマッポの意味を聞きますがたかは「教えない」そう言うと幸村に抱きつくのでした。

幸村「ああ・・・」

幸村「ああ・・・」


因みに「サラマッポ」の意味は(丁寧な)ありがとう。という意味なのだそうです。たかは幸村を想い続けた末に九度山に来たのではないでしょうか。しかし既に春が正室として存在しており、幸村がたかの奔放な想いと春の嫉妬との板挟みになっていると考えれば、やはり自分が身を引かざるを得ない。その決意が「サラマッポ(丁寧なありがとう)」という言葉だったのだと思います。そして意味を教えなかったのは幸村に自分が「愛している」と思い続けて欲しかったのではないかと思います。自分がけじめとして残した言葉はありがとうですが、胸の想いは愛しているだった筈です。幸村も自分の想いに気付いているならば、そういった意味であると予想して記憶の片隅に残り続けるかもしれない。そして、いつか幸村が本当の意味を知った時にがっかりして欲しいというささやかな復讐も込められているのかもしれないと思いました。
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その後、幸村は完成したサナール紐ならぬ真田紐を佐助に渡して頑丈さを試させます。
一緒に居るきりが「春様と私で作ったの」と言うと春は「かなり大変でしたね」と言って二人は顔を見合わせて笑い合います。
その様子を見た幸村も微笑みます。どうやら幸村の思惑通り、二人は仲良くなったようです。
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佐助は真田紐に鉤をつけて天井の梁に引っ掛けると真田紐に手を掛けてするすると登っていきます。紐は千切れることなく佐助の体重を支え切りました。その頑丈さに驚いた佐助は「一本おいくらですか」と聞くほどに気に入ったようです。
縄を持ち歩くとどうしても嵩張ってしまいますが真田紐なら懐に収まる大きさに折り畳めて携帯性に優れるという点で縄に勝るのでしょうね。

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その後、幸村は村長に真田紐を皆で作り売り歩くことを提案します。真田への報酬は手付けとして銭五貫、売上の一割。そして名称は「真田紐」とする事。これを条件として提示し、村長はその条件に頷いたようです。
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真田紐によって儲かった真田家の食卓は豪華なものとなりました。
遅れて食卓に着いた内記は「鯛を口にするのは何年ぶりですかな」と口にして喜びます。
しかし大助は食卓にまだ現われません。内記は「儂に十五連敗したのが、よほど悔しいのでしょうな」と白髪頭を撫でながら笑って言います。
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幸村は大助の様子を見に向います。大助は一人碁石を撫でながら盤面の前で考え込んでいました。
幸村は「お前のじじ様は、戦が始まる前はいつも内記と碁を打っていた。気持ちを落ち着かせるのに丁度良いらしい。私はやらないので分からないが、そうなのか」と聞きます。大助は「さあ・・・」と答えに詰まり、幸村と大助は会話に詰まります。
幸村は盤面の前に移動して大助と向かい合うと「父に教えてくれ」と囲碁を教えるように言います。
大助はいつか内記に教わった通りに囲碁のことを教えます。幸村は「お前の話は分かり易いな」と褒めると大助は更に教えを進めていきます。
教えを聞き終わった幸村は「やってみよう」と言います。
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二人は昌幸が生前に腰掛けていた場所の前で囲碁を打ち始めるのでした。

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その後に戻った二人はご馳走に舌鼓を打ち真田家は久方振りの宴会騒ぎを楽しみます。
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幸村が庭に抜け出し柿の木から実を捥ぎ騒ぐ家族たちを眺めて感慨に耽っていると、風が強く吹き、空は雲が流れ月を隠します。
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暗くなった空を眺めると一人の笠を被った一人の男が佇んでいることに気付きます。
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男は「真田左衛門佐信繁様でございますね」と聞き、幸村が「何者だ」と尋ねると男は歩みを進め真っ赤な紅葉の葉が敷き詰められた上に立つと笠を脱ぎ「元宇喜田秀家家臣、明石掃部頭全登(あかしかもんのかみてるずみ)。左衛門佐様をお迎えに参りました」と告げます。
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真田丸39話「歳月」感想おわり
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