真田丸感想42話「味方」③家康と秀忠の姿勢


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前回、幸村は他の者との諍いの元になってはたまらないという事で結局ひとり部屋から相部屋へと自ら移りました。

駿河駿府城
家康が「真田が」と言い立ち上がります。
正純は「去る九日、僅かな手勢と共に大阪城に入ったとの事でございます」と幸村が大阪城に入ったことを報告します。家康はふらふらとそのまま倒れ込むように障子に手を突いてかろうじて体を支えます。そのまま家康は障子が揺れるほどの荒い呼吸をして「それは父親か、息子か」と正純に聞きます。正純は「安房守は既に死んでおります」と述べます。
それを聞いた家康は呼吸が収まり「前にも聞いたな」と言いようやく落ち着いた様子を見せます。正純は「不覚でございました。なんとか入城する前に手を打って置きたかったのでございますが」と反省の弁を述べますが家康は「まあ、入ってしまったものは仕方あるまい。次の手を考えるより他なかろう」と力なく足を引きずるように歩きながら自分がいつも座る位置に落ち着くように座ると脇息に手を置きますが、ここで気付いたかのように「戦支度じゃ。出陣を早める」と決断します。正純は「畏まりました」と早速、命令遂行の為に走ります。
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傍に控えていた阿茶局は「左衛門佐如きで天下の大御所様がうろたえてどうされます」と意見します。家康は腕組をしながらも痛い所を突かれたのかばつが悪そうにしながら「何も分かっておらん者が口を挟むな」と言い返して自分の髭を撫でます。阿茶局は家康を宥めるように「失礼致しました」と言うと、先ほどから煎じていた薬を差し出します。家康はそれを受け取ると「儂は真田と言う名を恐れて居るのだ」と言うと口を薬に近付けますが、匂いに思わず口元にあった茶碗を離して小声となって「日に日に増えておる」と言うと阿茶局は「では、良い事をお教え致しましょう。大御所様は、日に日に、年老いていかれているのでございます」と言うと家康は薬の入った茶碗を下に降ろして顔を背けますが阿茶局は構わずに「この戦、大御所様にとっては最後の戦となることでございましょう」と煎じ薬を作るつもりなのか何かの植物やら乾燥したトカゲだかヤモリだかをすり鉢ですりおろし始めます。家康は「分かっておる」と苦い顔で言いますが「日の本中の大名を率いるのでございます。一気に攻め滅ぼしてしまわれませ」と阿茶の局は言いながら丹念に薬草をすり潰します。
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家康は「そう気安く申すな。向こうにはお千がおる」と言います。それを聞いた阿茶局は手を止めて「豊臣家はどうするお積りで」と聞くと「うん」と小さく頷くと目を泳がせながら「どこか遠国に追いやって、そこで大人しく暮して貰うよりなかろう」と自分の言葉にやはり小さく頷きます。阿茶局は「あ~」とわざとらしく大きな声で嘆くと「そのような生温い事を」と言うと乾燥させたトカゲを取り上げると「先々の不安の芽は摘んでおくに限ります。千姫様のことはどうとでもなります。姫を返せば秀頼の命は助けると伝え、姫様を取り戻したら討ち滅ぼしてしまえば良いのです」と剣呑な考えを述べる姿に家康は驚きの表情を浮かべながら「怖いおなごじゃ」と言いますが、そこで阿茶局は急に家康に向き直ると「殿。かようなことで悩まれますな。信長公も、秀吉公も、もっと酷いことをしてこられました。それが乱世というもの」と家康に豊臣を滅ぼす決心を促します。阿茶局は家康の腕を掴むと「そして大御所様が、その乱世を終わらせるのです」と家康に自分の役割を自覚させようとします。
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そして阿茶局は「でも、その前に、失礼致します」と言うと家康の手に置かれた煎じ薬の入れられた茶碗を取り上げると家康の口に運び無理矢理中身を飲ませます。家康はむせますがそんな事を阿茶局は意に介しません。
阿茶局は漢方薬の如き女であると思います。

慶長十九年(1614)十月十一日
家康が阿茶局にまたトカゲの乾燥した奴を煎じた苦い薬をまた飲まされてはたまらないと思ったがどうかは知りませんが、手勢を率いて駿府から大阪に向けて出立しました。
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江戸城
秀忠は家康から文を受け取ると中身を確認して家康が大阪に向けて出立したことを知りため息を吐くと「我等が駿府に行くまで出陣は待つと言う約束であったのに」と嘆きます。
その傍では正信が居眠りをしています、秀忠がそれを咎めると、正信は慌てて起きます。
正信も御年七十七前後といった所ですから無理もありません。
秀忠は家康の文を前に投げるように置くと「大阪の事が不安なのは分かるが総大将は儂だ。いつまでも己が徳川の要のように思われてはかなわぬ」とこぼすと正信は「この戦、大御所様はご自分のお仕事の総仕上げじゃと考えておられる」と言いますが、秀忠は煩そうに手を振ると「父上の思惑など関わりない」と言います。いい加減、父とは関係なく己の采配を振るいたいという鬱憤があるようです。
そこへお江が大阪と戦が始まると聞いて来たと言いますが秀忠は正信と大事な話があると言って下らせます。
お江が下ったのを見計らって正信は秀忠の耳に何事かを入れようとしますが秀忠は「今すぐ戦の支度じゃ」と正信の様子に気付きません。秀忠は続けて「遅れれば、また父上に嫌みを言われる。関が原の二の舞は御免じゃ」と述べます。正信は諦めて「畏まりました」と命令を受け入れると秀忠は「この十余年。儂は政の要としてそれなりに仕事をしてきた。そうだな」と正信に同意を求めると「はい。左様でございます」と正信は答えると「今度は戦場で父上に儂を認めさせる。これは父の総仕上げではない。儂の総仕上げじゃ」と覚悟を語ります。正信は「大御所様にお伝え致しましょう」と家康に秀忠活躍の場を作らせるよう図ろうとしますが秀忠は「伝えんでよい」と声を荒げます。正信は驚いた表情をしますが、やがて秀忠の気概の方が嬉しかったのか笑顔を浮べて頷きます。
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正信は場から下ると廊下を渡る途中で秀忠の話が終わるのを待つお江を見つけ「終わりましてございます」と伝えますが、お江は何も言わずに秀忠の方へと向います。
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しかし正信も随分と歳を取ったようです。いつの間にか歩くのに杖をつくようになり、秀忠に献策を聞くこともされず、お江は相手にしていないというのは見ていて淋しいものがあります。しかし、お江と別れた後の去り際に見えた僅かな苛立ちの表情を見ると、このままでは終わって欲しくないと思います。
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お江は秀忠のもとを訪れると大阪城にいる姉である茶々と千に危害が及ぶことはないかの確認を取ると「あとはどうぞ気兼ねなくおやり下さいませ」と言います。秀忠はこれに勿論じゃと頷きます。お江は更に「豊臣の者達は何も分っておらぬのです」と言うと秀忠に近付き「既に世は徳川の者。いまさら大阪城に立てこもってどうなるというのです」と述べると秀忠は片頬を上げて「捻り潰してくれる」と言って不敵な笑みを浮べます。
そこへ信之がやって来たことが傍の者より報告されると「おう」と答えて迎えに行きます。
秀忠を甘やかし過ぎたと後悔したのか、操縦法を練り直す必要を感じたのか後に残されたお江は考え込みます。
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秀忠は信之達の待つ間へと向かうと病により戦に参加する事の出来ない信之の話を聞きます。信之は「本来ならば私自ら軍勢を率いるべきところ情けなき限りでございます」と謝ります。信之は「いや無理はするな、ゆるりと養生せよ」と同じ恐妻家であることの親しみなのか「いや、無理はするな、ゆるりと養生せよ」と寛容な態度を見せます。
信之は秀忠に「有り難きお言葉」と礼を述べると、今回の戦は息子二人が参軍すると嫡男信吉と次男信政を紹介します。これを受けた秀忠は「親父殿の分までしかと働くが良い」と激励するのでした。

家康は敵を恐れ阿茶局の尻に敷かれながらも苦い薬と意見を呑む。
片や秀忠は正信の献策を聞くこともせずに敵を侮っている。
やはり両者の間にはまだ越えられぬものがあるように思えます。

真田丸42話「味方」感想つづく
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