真田丸感想42話「味方」④作兵衛の出立


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江戸 真田屋敷

信之の前に江戸屋敷にいる真田一族の者達が集まり、嫡男信吉より将軍家に従って大阪へ向かうことが報告されます。

稲は信政に信吉を助けるようにと言います。信政は信吉の顔を見ます。信吉はそれを意識はしますが目を合わせずにいます。信政は「畏まりました」と言います。

それを見た信之は大阪に同行する茂誠に「二人をよろしく頼みまする」と頼みます。「心得た」と茂誠はこれを引き受けます。続けて信之は「三十郎もな」と茂誠の隣に座る三十郎に言うと「身命を賭してお守り致します」と三十郎も引き受けます。

松は「皆、けがのないようにね。危うい時はなるべく後ろの方にいて声だけ出しなさい」となかなか役に立ちそうな具体的なアドバイスをすると信之がこれを嗜めます。稲とおこうはこれを苦笑いと言った風情で受け止めます。茂誠は笑いを噛み殺し、三十郎は平静な表情で、信政は呆れたように、信吉は唇の端にだけ笑みを浮かべて受け止めます。

慶長19年(1614年)10月11日
秀忠は五万の軍勢を引き連れて江戸から大阪に向けて出立します。

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その後に信之の元へ文が届けられます。

それを見た信之は「不味いことになった」と言います。傍に控える綱家が「左衛門佐様は何と」と文の内容を聞くと「源次郎が大阪方についた」と呆然として言います。目の前に控える佐助に信之は「このような大事な文。もっと早く届けんか」と激昂して言います。「申し訳ございません」と佐助は謝りますが「それが分っていれば病を押してでも儂が行っておった」と言い届けられた文を丸めます。信之は江戸に残った事を航海しますが綱家が「殿は江戸に居られた方が・・・」と言うと信之は丸めた文を「うるさい」と一喝して綱家に投げ付けます。丸めた文は綱家の前歯の辺りに当たり綱家がうずくまると「すまん」と信之は謝ることで落ち着きを取り戻し「お前も昔のように風よりも早く走ることは出来ぬという事か」と言うと、佐助は悔しそうに自分の足を叩きます。「真田同士で戦うことにもなりかねませんな」と綱家が心配すると「それだけではない。源次郎が大阪方に付くことで烏合の衆であった敵が一つにまとまる。それが怖い」信之は憂慮して投げた文を拾い上げてくしゃくしゃになった文を広げ「弟は名を変えた。真田左衛門佐幸村」と言いながら文に書かれる名を改めて確認すると「儂が捨てた「幸」の字を拾いおった。奴は本気じゃ」と幸村の覚悟を見て取ると「この戦、長引くぞ」と戦の見通しを大きく変えます。

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佐助は信之の前を辞した後に作兵衛を訪ねると幸村が作兵衛を味方にしたいと希望している事を伝えます。作兵衛は「それにしても、よくご決心なされたのう。徳川は亡き殿の仇敵。源三郎様の御立場も分るが、せめて源次郎様はと思って居ったのだ。殿もあの世でお喜びであろう」と何処か懐かしそうに空を見上げます。佐助も作兵衛の言葉に触発されたものがあるのか涙を見せまいと下を向きます。作兵衛は近くで槍の手入れをしている与八に「儂は大阪方へ付くぞ」と呼び掛けます。与八は面倒そうに「俺は」と聞き返すと「もちろん一緒じゃ」と言うと笑い声を上げます。与八は手にしていた槍を落として諦めます。作兵衛は「いやぁ、いまさら徳川の味方をするのは気が進まなかったのじゃ。嬉しいのう」と言うと今度は佐助の手を取り再び大きく笑います。しかし作兵衛は一つ遣り残した事がある。と出立を遅らせます。

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作兵衛はすえと十蔵を呼び出すと仮祝言を挙げるように頼みます。二人は驚きますが、重蔵は既成事実が更に進むと喜び引き受けますが、すえは「小父上殿はどこに行かれるのです」と聞きます。作兵衛は二人に口止めの了承を得た上で「源次郎様が呼んでおられる。儂は大阪へ行き、お前の父上の下で徳川と戦う」と決心を語ります。

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二人は仮祝言を挙げることとなります。
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三三九度の杯をやり取りする姿を作兵衛は目に涙を浮べて見守ります。
しかし同時に偶然通り掛った綱家がこの様子を目撃します。

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作兵衛は準備を整えると与八と共に遅れる佐助を待ちます。
佐助が現われると作兵衛は槍を抱えて出発しようと前を向くと背中に背負った木箱が与八の顔に当たりますが、そんな事は気にも留めません。が、前を向いた先には信之が立ちます。
「そういう事か。すえに仮祝言などを挙げさせ何をするつもりかと思っていたが」と信之が述べると作兵衛は「これより源次郎様の下へ参ります」と途中で言い淀みますが「許さぬ」と信之は言います。「源次郎様が待っておられるのです」と作兵衛は懇願しますが信之は「そなたは儂の家臣である事を忘れるな。儂の家臣であるという事は、即ち徳川の配下という事じゃ。黙って見逃す訳にはいかぬ」と作兵衛の出立を許しません。そして信之は刀を抜き放ちます。その姿に各々、荷物を降ろして戦闘の構えを取ります。
しかし作兵衛の槍の先は細かく震えています。信之は「今なら何も無かったことにしてやる」と説得しようとしますが「今更、徳川に与しとうはございません」と作兵衛は応じようとはしませんが「甘えるな」と信之は一喝すると続けて「それが戦国の世に生まれた者の宿命じゃ」と言います。作兵衛は懸命に「源次郎様が待っておられるのです」と言い返すと与八が気合の声を挙げながら信之に突進します。信之はこれを躱すと刀の柄で与八の顔を強かに打ちます。佐助は懐に手を入れて何事かを行おうとしますが作兵衛が「佐助、手を出すな」と言ってこれを止めます。佐助はそれを受け入れ、倒れる与八を介抱します。

信之は刀を脇に構えたままに作兵衛と向き合ったまま「儂に斬らせるな」と説得を試みますが作兵衛は無言で答えます。作兵衛の覚悟を見て取った信之は草鞋を脱ぎ捨てると刀を正眼に構え再び「儂に斬らせるな」と言いますが、作兵衛は堅く目を閉じると気合の声を挙げて突進して槍で突き掛かります。信之は刀でこれを二度三度と払い、そして下から払い上げると作兵衛の顔を薄く切ります。作兵衛は斬られた顔を抑え、掌に付いた血を見ると気合を入れて上段から切り下ろしますが、信之はこれも払い、刀の柄で脇を打ち付けて押し返し、数合切り合い遂には槍の柄を左手で押さえると右手で刀を振り下ろして真っ二つにします。
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驚いた表情を浮かべる作兵衛を再び切り付けようとしますが作兵衛はそれを躱し、最後に上段に上げた刀を握る右手を押さえますが、信之は作兵衛の腹を蹴り付けて引き剥がします。
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倒れて後ずさる作兵衛に刀をつきつけながら追い詰めると「儂は徳川に忠義を誓ったのじゃ。今更、曲げる訳にはいかん。源次郎のようにはなれんのじゃ」そう言うと刀を八相の構えで持つと、作兵衛は観念して目を閉じます。
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信之は「覚悟」と気合の声を挙げますが、その直後に刀を落としてしまいます。
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信之は痺れる腕を抑えてうずくまります。それを見た作兵衛は「ありがとうございます」と頭を下げます。「いや、違う」と信之は言いますが「いざ」と佐助が声を挙げると作兵衛と与八は荷物を背負い、その姿を見て信之は「いや、違う。待て」と懸命に声を掛けますが作兵衛は信之に頭を下げると門を開きます。その背中に信之は「作兵衛、待て」と声を掛けますが、作兵衛は外に出て行ってしまいます。最後に信之は「作兵衛~」と叫びますが、作兵衛は幸村の元へと出立してしまいました。

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真田昌幸は武田信玄の下で兵法を学びました。昌幸の書いた兵法書はあんな感じでしたが、その系譜は長き九度山生活の中で昌幸と幸村との会話の中で徐々に受け継がれているのではないかと思います。その為、幸村の用兵に於いても基本的な理想は「風林火山」と呼ばれる「疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し」というものを目指していた筈です。つまりは、兵士達は風の様に速く移動する。陣容は林のように静かに行い敵にその存在を気取られない。攻撃は火のように激しく、相手の挑発や奇策などにも山のように動じない。

そのような軍隊となるには実戦経験のある作兵衛のような伍の長が必要です。幸村の目指す理想は優れた伍長がいてこそ成り立つものです。
他にも信之の誘いを断り帰農した者や牢人として過ごす者も少なくなかったといいます。これらの者も幸村の隊に合流する事となります。

真田丸42話「味方」感想つづく
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