真田丸43話「軍議」④其々の願い

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前回、幸村の献策の採用に関して答えは未だ出ず休憩を挟む事となりました。

軍議が一旦の休憩を挟むこととなり秀頼は自室へ引き上げます。そこに修理も付いて行きます。秀頼は「籠城か討って出るか。どちらももっともな気がして来た」と判断に迷います。それを聞いた修理は「最後にお決めになられるのは殿でございます」と秀頼の良いと思った策を取る様に改めて進言し、自分が意見することの出来ない事の苦しさを秀頼の判断に委ねようとします。秀頼は黙って頷くと思慮を重ねます。

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幸村は一人縁側に佇む勝永を見付けると「ありがとうございました」と策に乗ってくれた礼を述べます。勝永は「正直、言って俺は籠城だろうが何だろうが全く拘らん」と述べます。幸村は「では・・・」と自分の策に乗った理由を聞こうとすると「あんたは何の為にここへやって来た」と幸村へ向き直ると問い掛けます。幸村は「私ですか」と答えに詰まると「俺は己の力を試してみたかった。それだけだ。今の俺の腕が戦場でどれだけ通じるか、それを見極める。だからここに来た」と自分の目的を話し幸村を真正面に見据えると「あんたに乗ったのは恩を売る為だ。京に攻め込むと言ったな」そう言うと一歩二歩と幸村に迫ると「その役目。俺にやらせろ」そう言うと幸村の肩に手を置き「家康の首は俺が獲る」と宣言します。幸村は勝永の視線を受け止めながら「いいでしょう」と口元に嬉しさを浮べて答えます。それを聞いた勝永は満足気な笑みを浮べて幸村の肩を叩きます。
幸村は「それにしても・・・」と言って部屋の柱に背中を預けて座り目を瞑り体を休める又兵衛を振り返ると「後藤殿は、なぜ籠城に拘るのか」と聞きます。勝永は「あいつはあんたの意見に従うのが嫌なだけだ」と言い切って捨てます。
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次に幸村は縁側で目を瞑り瞑想する全登と庭に咲く花を愛でる盛親を見て「では、あちらの二人は」と意見を求めます。勝永は「よう知らぬ」と答えます。
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次に幸村は全登の隣に並んで腰掛けると「私には分からないのです」と語り掛けます。これに全登は目を開き、目の前で花を見る盛親も背後の二人の様子を伺います。幸村は「貴方は戦上手で知られた宇喜田秀家様のご家老。籠城が決して得策ではない事は重々に分って居られる筈」と言うと全登は目を瞬かせると微かに裏返った声で「私は切支丹です」と言って胸の十字架を見せます。「存じ上げております」と幸村が続きを促すと明後日の方を見て「この国に信徒を増やすのが私の願いです」と言います。幸村が「それがどう関わって来るのでしょう」と更に先を促すと、やはり幸村の方を向けないまま「軍議が始まる前に言われたのです。此度の戦は籠城と決まっている故、左衛門佐殿が他の策を出しても決して乗るなと、さすれば今後、切支丹の布教に関して便宜を図ると」全登が罪悪感を露にして話すと「誰に」と幸村は聞きます。全登は深呼吸をするように「大野修理殿に」と遂に名前を吐き出します。幸村が「そういうことでしたか」と反応すると「私には豊臣に付く謂れはない。私が大阪へ来た訳は、ただ一つ。徳川が切支丹禁教令を出したからです」そう言うと胸の十字架を握り締めて「私には其れが全て」そう言って立ち上がると縁側から庭に降りる立ち尽くします。幸村はその背中に「お気持ちは分りました」と怒るでもなく、軽蔑するでもなくそう言います。
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次に幸村は「長宗我部殿」と呼びかけます。盛親はしゃがんで背中を向けたまま話を聞きます。幸村は「貴方もやはり修理殿に言われたのですか」と聞きます。盛親は「あの男は儂に約束した。籠城に同意すれば願いを叶えると」と答えます。幸村は「貴方の願いは」と盛親の願いを聞きます。
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盛親は立ち上がると「長宗我部家の家を再興する事じゃ。多くの家臣の思いが儂の肩に掛かって居る」と願いを語ります。花を愛でる強面の男らしからぬ台詞です。恐らくは重臣の讒言を信じて兄を殺したことが切っ掛けとなり改易となったことは盛親の罪悪感として残り続けていたのではないでしょうか。それが盛親をお家再興の使命感に益々縛られることになっているのではないかと思えます。
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そこへ勝永がやって来て幸村の隣に腰掛けると「結局、豊臣の奴等、俺たち牢人を頼りにしているくせに、俺たちに牛耳られることを恐れているんだ」と不信感を口にすると「そのようです」と幸村はそれを否定しません。勝永は「何としてもあんたの策を潰す腹だ」と修理側の意図を予想します。幸村は「しかし分からぬのは、修理殿がなぜ私の策をご存知だったのか」と疑問を口にした際に脳裏に蔵の中で茶々に策に付いて話した事に思い当たります。
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己の迂闊さに気付いた幸村は前に進み出て階段に腰掛けると庭を向いて背中を向けたままの全登と盛親に「お二人がどのような謂れで此処に来られたか、それは関わりありません。大事なのは豊臣が負けてしまえば、あなた方の望みは潰えるという事。切支丹の布教も長宗我部家の再興も戦に勝たねば全てが夢となるのです。先ずは勝つ事。籠城ではそれは叶いませぬ。この世に決して落ちぬ城などない。城は大きければ大きい程どこかに綻びが生じる、この戦に勝つ為には城から出る他ありませぬ」と理を以って諭します。

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一方の修理も同様に大蔵卿局と有楽斎に対して幸村の策について説得を行います。しかし大蔵卿局は「城から出るなど以ての外」と聞く耳を持ちません。修理は「京の家康を攻めるなら今しかありません」と重ねて説得を行おうとしますが大蔵卿局は「言うたではないですか、あの者達の思い通りにさせてはなりませぬ」と今回の軍議を主導権争いと捉えていることを露呈させます。これに修理が閉口していると、それに気付いた有楽斎が「長門守に気張って貰うしかありませんな」と選手交代を提案すると「頼みましたよ重成」と大蔵卿局は気乗りのしない顔をした重成に言い渡します。
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この時点で大蔵卿局は戦に勝てると考えており、その後の力関係に影響を及ぼさない為に今回の軍議は主導権争いの場と捉え、面子を保つ為の戦いと捉えている節があります。しかし、それに乗ってくる有楽斎は戦国時代を生き抜いて来た経験を重ねているだけに籠城戦が戦略として間違えていることに気付かないとは思えず、この点が徳川へ通じている裏切り者と呼ばれる所以でもあります。或いは姪である茶々の命を救うために籠城戦で手痛い敗北を喫っさせることで投降を促す積りでいるのか、その両方なのかは判断に迷うところです。
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茶々の所へは直ぐ下の妹である初が尋ねて来ています。茶々と初の二人は西洋菓子を食べながら話します。
浅井三姉妹のうち茶々と江は豊臣と徳川の敵味方に分かれ、その間に初が挟まれる格好ではありますが、浅井三姉妹は最後まで固い絆で結ばれていたと言われています。
そして初は後に豊臣と徳川の和議に尽力する事となります。
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茶々は最後に「この戦、必ず勝ちます」と笑みを浮べて述べますが、その言葉に初の表情は陰りを見せますがその理由を話せないままでした。
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軍議が再開されます。
その場で盛親は「我ら二人も左衛門佐殿の策に乗る事に致した」と宣言します。全登も「ここは城を出て戦うのが得策」と高らかに宣言します。これを又兵衛は背中を向けたまま聞き、有楽斎は考え込みます。修理は何も言わずに聞き、重成は「貴殿は城を出て伏見、京、大津へと兵を進め敵を分断させると仰せられた。敵を分断させるという事は即ち、味方も分断させるという事」と急所を突いた積りで指摘すると「左様」と幸村は静かに答えます。その様子に重成は動揺しながら「まとまりのない牢人達が最も力を発揮するのは、この大阪城で一丸となって敵とぶつかる時ではないでしょうか」と考えを述べると幸村はこれも「そうかもしれません」と言います。ここに「よくぞ言うた」と又兵衛が勢いに乗せようとしますが幸村は「しかし、だから籠城というのは些か気が早すぎはしませんか」と声高に言い話しに入らせることを阻止すると続けて「確かに大阪城は最強の砦。されど、今の我等には最強の砦であると同時に最後の砦でもある。我等にはここしかないのです。ここが落ちれば豊臣家は滅びます。ならば籠城は最後の策に取って置き、先ずは外に討って出るべきです。籠城はその後でも出来ます」と述べると重成は大蔵卿局等の籠城にさせるべきと言う命令と幸村の理に沿った策との間で板挟みとなります。幸村は最後に「木村殿。定石通りに考えていては勝てませぬぞ」と勝つ事が肝要であると一押しします。
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重成は目を閉じながら自己に問い掛けながら「今の言葉・・・」と言い、やがて目を開き「腑に落ちました」と策の受け入れを表明します。修理は「長門守」と呼び掛け役割を思い起こさせようとしますが重成は構わず「籠城は最後の一手に取って置きましょう。それまでは少しでも敵の力を奪うことを考えるべきです。先ずは秀忠の軍勢が来る前に京へ攻め入りましょう」と修理の説得を行おうとします。これに幸村は頷き、重成も頷き返します。「不承知」又兵衛が反対を表明します。流石に勝永も呆れたように「いつまで詰まらん意地を張る」と言いますが又兵衛は「煩い」とだけ答えると「あんたも修理殿に何か言われたのか」と聞くと「ばか言え」とこれも短く答えると幸村が「でしょうね」と横から入り「あなたは初めから私の策には乗らないと修理殿は踏んで居られた」と修理を見ると顔を逸らします。勝永は「事のついでに教えてくれ。あんたは何の為にここへ来たんだ」と聞きます。
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又兵衛は「何の関わりがある」と質問の意図を聞き返します。ここでも幸村が「分かるような気がします」と言うと又兵衛の方に体を向き直します。そして「死に場所を求めにやって来た。違いますか」と聞きます。この発言に又兵衛は目を見開き呼吸を荒くします。勝永は「死に場所」と訳が分からず聞き返すと「黒田家を飛び出したあと後藤殿は何処にも仕官が出来なかった。黒田の殿が手を回したからです。武士らしく生きることが出来なくなった貴方は、後は武士らしく死ぬしかない」と幸村が語ります。
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聞いた又兵衛は立ち上がると「後藤又兵衛だ。天下一の城を枕に討ち死にするしかねぇと思った。俺の死に場所はここしかねぇ。籠城だ。誰が何と言おうとな」と言い切ります。幸村は又兵衛を見据えます。それに又兵衛は小さな声で「なんだよ」と言います。幸村は「私は勝つ為にここへやって来た。死にたがっている者に用はありません。勝つ気が無いならこの城を出て行って貰おう」と言います。又兵衛は「本気で勝とうとしているのか」と聞くと「もちろん」と幸村は答えます。
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「おまえは大間抜けだ。勝てる訳がなかろう。俺達は日の本中を敵に回してる。口には出さねえが、みんな思ってる事だろ。そうだろ、みんな」と何処か先程と比べて迫力の無い怒りも焦りも感じられない助けを求める演説を行います。幸村は静かな声で「我等は別々の思いを持って、ここに集まって来ました。しかし、一つだけ通じ合っている事があります」そして他の面々の顔を見渡すと「皆、それぞれ望みを持っている。生きる望みを、だからこそ我等は強い」そうして秀頼に向き直った幸村は「私は本当に負ける気がしないのです」と言います。これに秀頼は頷きます。再び又兵衛に向き直った幸村は「我等は決して負けない」と言います。又兵衛は身じろぎすること無く幸村の言葉を聞きます。幸村は続けます。「ここに死に場所は無い。死にたいのなら徳川に付くべきだ」又兵衛は「その言葉。忘れねえぞ」と言います。幸村はその言葉に頷きます。又兵衛は楽しそうに笑い声を上げると座り込みながら「実はな、俺も、籠城は、まだ早いと思ってたんだ」と言って勝永に笑いながら言います。
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勝永は「よく言うのう」と呆れて答えますが、笑顔は五人衆に伝染します。
ここで有楽斎が「さて、なかなか良いものを拝見致した」と一礼すると秀頼に向き直り「では、この辺でお開きに致しませぬか」と提案します。秀頼は周囲を見渡し一つ深呼吸をすると「では・・・」と言い掛けると有楽斎が「初めから申し上げて居る、籠城以外にはない」と言葉を続けます。
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幸村が「しかし、それでは話し合うた意味がございませぬ」と抗議すると有楽斎は「意味は・・・。有った。其々の思い胸に染みましたぞ」と芝居を見たような感想を述べます。
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これに又兵衛は「ふざけるな」と憤り有楽斎に詰め寄り肩の生地を掴みますが「お主等は所詮、金で雇われた牢人達じゃ。身の程をわきまえよ」と言います。「本音が出たな」と又兵衛が返すと「我等の指図に従い、敵と戦って居ればいいのだ」と有楽斎は本音を口にします。これに又兵衛は冷や水を差された様に力が抜けて座り込みます。その様子を他の者達は沈黙を持って見守っていると修理が「・・・有楽様。今の言葉は聞き捨てなりませぬ」と口にして沈黙を破ります。有楽斎は思わぬ所からの発言に驚き振り返り修理に「何だと」と言い黙らせようとします。修理は有楽斎の顔を見ないまま牢人衆を見渡しすと「ここに居るのは豊臣を守る為に集った者達で御座います。我等にとっては、あくまでも客人。非礼は許されません」そう言って有楽斎にゆっくりと振り返ります。「誰に向って言うて居る」と有楽斎が修理に立場をわきまえさせようとすると修理は「決めるのは右大臣、秀頼公で御座います」と激昂して圧倒します。有楽斎が怒りに身体を震わせていると修理は秀頼に向き直り「殿、ご裁断を」と決断を迫ります。秀頼は周囲を見渡すと「決めた。籠城はせぬ。討って出よう」と遂に決断します。秀頼の決断を受けて有楽斎は修理へ「この事、大蔵卿にお伝えする」と告げます。修理は「好きに為されませ」と返すと有楽斎は黙って立ち上がり出て行きます。それを見た幸村は修理に一礼します。
修理はすっきりとした表情を浮かべて「では、これより左衛門佐殿の策に沿って、急ぎ陣立てを決めて参りたいと存ずる」と流れを決めます。
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有楽斎は腹立ちを抑え切れぬままに廊下を渡っていると、それを見つけた大蔵卿局が「どうなりました」と軍議の結果を聞くと「息子殿に聞き為され」そう言い残して立ち去ってしまいます。
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その後、軍議を終えた五人衆は並び立ちます。又兵衛が「前途多難だな」と口を開くと隣に立つ幸村が「多難でない戦など有りませぬ」と答えます。この言葉に又兵衛は笑って返します。勝永は「分からぬのは、豊臣の連中は不利と分かっていて、何故あそまで籠城に拘る」と疑問を口にします。又兵衛は「匂うな」と何かしら明らかにされていない意図があるのだと察します。ここで幸村は「では、御免」と言うと先にその場を後にしようとします。立ち去ろうとするその背中に勝永は「あんたは何故ここに来た」と呼び掛けて聞いて居なかった質問の答えを求めます。
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これに「私・・・」と幸村は振り返ると「実は・・・」と一度目を伏せてから「私にも、よく分からないのです」と笑顔で答えると一礼をして自分の部屋へと戻ります。見送る勝永は口の端に笑顔を浮かべ、盛親はくぐもった笑い声を漏らし、全登は呆気に取られ、又兵衛は不敵な笑みを浮べます。
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しかし、その後、幸村の献策は引っ繰り返されます。
秀頼が淀君に軍議の報告を行った際に反対された為です。

籠城戦を行うことになった事を告げられた幸村は大阪城を見上げます。
堅固な要塞である大阪城は中に含まれる全てを等しく守ります。
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真田丸43話「軍議」感想おわり
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