真田丸感想49話「前夜」①送り出す者の決意

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前回、大坂城内では和平派と主戦派の対立が激しさを増し、いよいよ徳川と豊臣の最期の時が近付いています。

江戸の真田屋敷では幸村を止める為に大阪へ向うと決めた信之は稲とおこうに「これより大坂へ行って参る」と告げます。稲は「そのようなお身体で殿が行かれてどうなされます」と止めますが「源次郎を説き伏せて来る。あれは死ぬ気だ」そう言いながら幸村の文を稲に手渡し、受け取った稲は文の内容を確かめます。信之はおこうに「直ぐに支度を整えてくれ」と頼みます。おこうが準備に向おうとすると稲は「死ぬ等とはどこにも書いておられませぬ」と再び信幸を思い止まらせようとします。信之は「儂には分るのだ。あれは死ぬ気で敵の本陣に突っ込み、大御所様の首を取るつもりだ」と述べます。それらのやり取りを背中で聞いていたおこうは稲の横に座りなおすと「行かせてあげて下さい。旦那様に悔いなき生き方をして頂くのが私達の務め」「分っておる」と稲が苛立ちを抑え切れず答えると、その剣幕に驚いたおこうは「ご無礼致しました」と詫びます。稲は一息入れると僅かな熱を帯びたままに「されど敵の大将に会うとなると、内通を疑われても仕方ありませぬ。下手をすれば打ち首。真田のお家を潰す事にもなりかねません」と注意すると「十分気を付ける」と信之は答えます。更に稲は「道中は真田の者である事はお隠し下さいますよう、家紋の付いたものは一切身に付けぬこと」と苦しそうに注文を出します。
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信之は「承知した」と答えます。「そして・・・」稲は続きの言葉を言い淀むと信之に近寄り「必ず。生きて帰って来て下さいませ」と涙を堪えながら最後の注文を出します。これに信之は「分った」と答えます。
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松は信之が出発する準備を手伝います。「真田の者と分かる物は持たせてはならぬと、きつく言われたましたが、この位なら大丈夫ですよね」松はそう言いながら名物の蕎麦や乾物を籠に詰め込みます。信之は「些か多すぎるかと」言って抗議しますが「源次郎に食べさせてやりたいの」という松の無邪気な言葉を聞くと「必ず届けます」と約束します。松は荷造りをしながら「いずれまた姉弟三人でお茶でも飲みながら昔話に花を咲かせましょう。大丈夫、きっとそんな日が来ます」と鼻の詰まった声で言うと信之も「そうなることを祈って居ります」と同意します。
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「松が言うのだから間違いありません」と必ずその日が来ると太鼓判を押します。その姿を見て信之は「たまに姉上がばば様と重なる時があります」と頼もしそうに言うと「はい」と耳に手を当てて聞こえないと松が答えます。
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信之は自分の言う言葉だけが聞こえにくいとりの姿を松に重ね、例え死んだとしても受け継がれるものがあるのだと知り、同時に懐かしさに目を細め小さく笑い「何でもありません」と答えると二人は顔を見合わせて笑い合います。
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信之は出発の準備を整えると見送るおこうに「後は頼んだ」と告げるとおこうは「大願成就のお守りでございます」そう言って信幸にお守りを手渡します。信之がそれを受け取ると意外な重みに振って中を確かめて見ると一文銭が六枚。おこうの意外な手回しの良さに信之が小さく笑うと「道中、ご無事で・・・」おこうは声を詰まらせながら精一杯の笑顔で送り出します。
2016-12-12-00-24-21信之を送り出すことは稲とおこうにとっても苦渋の決断であった筈です。
途中で稲が述べていた通り、信幸が幸村に会う所を徳川の者に見付かれば密通を疑われます。その為に稲は信之に真田家の家紋を身に付けないよう頼む程に念を入れています。これは遠目から信之が真田の者と分からないようにする為、信之が徳川に見付かり捕まった場合にも真田の者と分からないようにする為です。これで徳川に捕まった信之は誰とも知られぬ死体になることが出来ます。稲は信之が大坂に向うことを許し、生きて帰ることを望みました。これは家を守る為と信之に死なないで欲しいという気持ちの挟間で葛藤しながら、しかし信之が家を滅ぼす選択をする筈がないという事も分かった上で口にした祈りののようなものであったのではないでしょうか。おこうも同様にお守りの中に用意した六文線は信之の決断が死を賭したものであることを悟っているという事です。

真田丸49話「前夜」感想つづく
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