真田丸感想49話「前夜」④兄弟の絆

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前回、信之は幸村に会うために信尹と合流して豊臣の陣へ潜入します。

大坂城に入った信之と信尹は厨で幸村を待ちます。
やがて「お待たせ致した」と幸村が二人の前に現われます。幸村は「兄上・・・」と本来であれば居る筈のない信之の姿を見て驚きますが二人の前に卓を挟んで座ります。
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信尹は本来の目的通り、幸村を調略する為に「大御所様は、どうしてもお前が欲しいようだ」と言うと幸村は躊躇なく「有難迷惑でございます」と内容を詳しく聞くことなく断ります。信尹は「しかし、前とは事情が違う。かような城でどうすれば勝てる」と現実問題として現状の堀を埋められた丸裸の城で勝てる見込みがないという事実を突きつけます。信尹は更に「今の内にこちらに降るのも決して悪い手ではない。信濃一国ではどうかと大御所様は仰せだ」と言って家康の条件を提示します。後ろで控え話を聞いていた作兵衛は「なんと」そう言って条件に驚きます。
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これに幸村は「気前の良いことで」と驚きもせずに答えます。信尹は諦めず「兄上が終生、望んでいた信濃の国主になれるのだぞ」と昌幸が信玄に仕え、その領地であった信濃を手に入れるために血道を上げたものを幸村は手に入れることが出来るのだと改めて説得を行おうとすると作兵衛も「源次郎様」と幸村に再考を促します。幸村は作兵衛を僅かに振り返りますが、首を横に振って答えるのでした。
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幸村と信尹のやり取りを黙って見ていた信之は幸村が自分の予想通りの事を行おうとしているのだと確信を深めると信尹に「源次郎は死ぬ積もりなのです。しかも大御所様を道連れに」と幸村の考えを見抜くと「兄上、買い被りです。いくら私でも、それは」と信之の予想を否定しますが、信之は居住まいを正して幸村に向き直ると「徳川に刃向かいたいなら刃向かえば良い。平伏したくないなら、平伏すな。しかし、死んではならぬ」と生きることを考えよと頼みます。これに幸村も信之に向き直ると「捕まれと申されますか」と聞きます。信之は「そうじゃ」と答えます。豊臣を見捨てることが出来ないなら徳川に捕まれば良い。そうすることで幸村も豊臣に言い訳が立つ。現実家の信之らしい手であると思います。しかし信之の意図を一瞬で見抜く幸村は嘗て自分も生き残る為に同じ手を考え、打ち消したことがあったのではないでしょうか。信之は「今度もまた俺は必ずお前を助けてみせる。死に物狂いで江戸と駿府と京を駆け回り赦免を勝ち取って見せる」と命だけは必ず救って見せると言います。幸村は「そして、また十四年」と反論しますが「決してお前を死なせはせん。それが儂の使命だからだ」と決意を語ります。幸村は信之の姿を見て嬉しそうに兄を見ます。言うまでもなく信之の望みは幸村が受け入れられるものではありません。しかし兄の言葉が弟を想ってのものであることは命を賭して幸村に会い来ている信之の行動からも十分に読み取れます。
信之は「あの時、儂はお前と父上と三人で誓った。また、いつか晴れて酒を酌み交そうと。父上はもう居られぬが、儂はまだその約束を果たす積もりで居る」自ら死を選ばぬ限り必ず兄が弟のことを助けるのだと、これは約束であると語ります。信之は「それを言いに来た」と訪問の目的を告げると幸村は「では、今ここで酒を」ともう生きて会うことはないことはないと答えます。信之は「作兵衛、帰る」と言い席を立ちます。信之は「叔父上」と座ったままの信尹にも帰りを促します。これに信尹も黙って頷くと立ち上がります。
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信之が出て行こうとすると「兄上と酒を酌み交しとうございます」とこれが最後の機会と知る幸村が信之を引きとめようと願います。
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これに信之は背中を向けたまま何も答えずに歩みを進めようとしますが「兄上・・・」最後に幸村は哀願するように言います。
信之の足は止まりますが尚も背中を向けたまま目に涙を溜めながら「これは今生の別れではない」精一杯にそう言うと出て行きます。情に流されぬ兄の背中に敵味方に分かれようとも変わらぬものを幸村は見ます。
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信尹は幸村の前に片膝を突いて座ると幸村の頬に手を当て「生きたいように生きれば良い」そう言うと微かに微笑を浮かべ出て行きます。
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信之は幸村をどうにか死なすまいと考えていました。一方の幸村は死を覚悟しています。言うまでもなく両者の考えは行き違っています。信之は幸村の立場を慮りながら生き残るための手を考えました。それでも幸村の決意が揺らぐことはありませんでした。しかし信之が立ち去ろうとする間際に幸村は抑え切れない思いが口に出て来てしまう。兄はそれを振り切ってまでして弟が生きることを望む。互いの進む道は違えても互いを想う気持ちは揺るがないということが表れていた場面であると思いました。

真田丸49話「前夜」感想つづく
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