終わりなきアライグマとの戦い


「やつらは確実に進化している」-トロント市民

日本では生態系を脅かす特定外来種生物だが、本場のカナダ東部トロントではもっと厄介な存在だ。愛らしい外見とは裏腹に家庭の生ごみを荒らす習性から、付いたあだ名は「urban Trash Panda(都会のごみパンダ)」市長が「戦争」と呼ぶ、人間との知恵比べが続いている
読売新聞
*今回の記事で使用している画像はページ下記のYoutubeからスクリーンショットして貼り付けています。

アライグマというと日本だと「あらいぐまラスカル」のイメージが浮かび、どちらかという愛らしいイメージではあるのですが、アライグマの本場カナダのトロントでは普通に彼らとの闘争が繰り広げられているらしいです。

切っ掛けは2002年のごみ収集方法の改正であったようです。youtubeの動画を見て判断する限りでは、この時に市は自宅の庭先に生ごみを入れる専用の容器に入れて出すようゴミ出しの方法を変えたました。

しかし、この改正に誰よりも喜んだのはアライグマ達でした。何せ餌がバケツの中に入れられるようになったのですから、彼・彼女達からすれば、何だ?貢ぎ物か?愚かな人間共も遂に我ら神聖なるアライグマ様の偉大さに気づいての貢ぎ物か?ならば受け取ってやろうではないか。

と思ったかどうかは知りませんが腹が減ったら家の表に出されているゴミ箱を荒らせば良いとなって餌に困る機会が減少したのは確かなようです。

そしてアライグマ達に付けられたあだ名が「Urban Trash Panda(都会のごみパンダ)」

2016年硬直していた事態が動き出します。
このアライグマ達の傍若無人に時のトロント市長ジョン・トーリが激怒。

「これは『ごみパンダ』との戦争なのだ」と事が起き出してから14年経って立ち上がります。
筆者からすると14年経ってから動き出すって遅くね?
普通に最初に配った容器の在庫と耐用年数を超えるのを待ってから動いたりしてない?という疑問が湧き上がるのを抑えられないのですが、私も大人なのでそこは見て見ぬ振りです。

2016年
従来のごみ容器に回転式のロックを取り付けます。
更に容量も50リットルから→100リットル収容へと増やしてゴミ箱の高さも1mと高くすることで倒し辛い作りのものにすることでアライグマ達どもの手出しを防ぐものとなりました。
これが全市民へと行き渡ります。

回してロックするタイプの

黒いハンドルを回してロックされるようになった

以前のゴミ箱

従来のゴミ箱

簡単に開けられる従来のゴミ箱

背が低くロックも付いていないので簡単に開けられる従来のゴミ箱

新しいゴミ箱

背が高くなりロックが付いた新しいゴミ箱

開かない新ゴミ箱

背伸びするアライグマが可愛いが開かないゴミ箱

2016年1月
ジョン・トーリ市長は勝利宣言を出します。
「ごみ収集日が頭痛の種だったのは過去の事。
奴らの宴はこれでおしまい」

おいおい本当かよ。勝利宣言まで随分と早いな。そんなに早く解決できるならもっと早くやっておけよと筆者は露ほども思わないのですが、ここで事件の幕は下りませんでした。

SNSです。
筆者がそこそこ力を入れているにも関わらず全く閲覧者を獲得することの出来ないTwitterだか個人情報を巻き散らかしているけど友達なんか一人もいないから問題ないぜ!!のFacebookなのか、それとも新しいエロ雑誌の名前?のInstagramかは知らないのですが「いや、あのゴミパンダ共に新しいゴミバケツのロックを普通に外されたぜ!!」の動画が上がり始めるのです。

手を掛けるアライグマ

手を掛けるアライグマ

開けるアライグマ

開かない筈の新ゴミ箱を開けるアライグマ

アライグマはゴミ箱を開けていますね・・・。
困りました。
このまま新ゴミ箱を攻略されたとなると行政側は、折角たかい金を出して開発させた新容器もゴミじゃねえか!!の批判を市民から受けることになってしまいます。おまけに行政の担当者はゴミ問題について市長が解決した体で発表させたのは良いけど問題解決してねえじゃねえか。というお叱りを市長から受けてしまいます。(この部分は邪推です)

そこでお上に楯突く不届き者への対策が必要になります。

どうしたか?
行政の新ゴミ箱へ届けられる批判への対応は、問題は存在しないという方針の取られる事となったようです。

行政へ先ずはSNSでアライグマが新ゴミ箱を開ける動画を上げたところ俺も俺もと同調者が出たことで新ゴミ箱も以前と同じくゴミに違いない。と確信したグラム・ボイス氏は行政に文句を付けに行きます。
そこで行政側から得られた回答は、
「おまえが鍵かけ忘れたんじゃね?ボケるのも大概にしてくれよHAHAHA!(筆者の意訳です)」でした。
行政側はゴミ箱問題は既に解決しているという態度です。
しかし、やはり完全に無視することは出来なかったのかアライグマに新ゴミ箱を開けられたという寝ぼけた報告を統計したところ行政にあがったのは僅か24件であると発表します。
しかし、その発表についてトロント・スター紙からは、アライグマにゴミ箱を開けられて通報する暇な奴なんか殆どいないだろ。と指摘される始末です。
(上の画像を見る限りアライグマが新ゴミ箱を開けているのですが、中途半端な位置でロックが掛かり切っていない状態を掛け忘れとするか、しないかの定義付けによって結論は変わって来そうですね)

ここまで書いて気が付いたのですが、
当初は
ゴミを荒らすアライグマVS困る市民・行政
の構図にいつの間にか
問題が存在するとする市民VS問題は存在しないとする行政
の構図が新たに加わっているのです。

更に地元ヨーク大学のマクドナルド教授のインタビュー記事によると。
アライグマについて彼女の意見
・アライグマは餌も時間もたっぷりあるので研究熱心。
・執着心も強い

ここまで読むと敵のアライグマも相当な者だなぁと変に感心するのですが、途中で雲行きが変わります。

新型ごみ容器の開発の実験について
・開発中にロック解除に成功したアライグマは存在しない

そうです。私が変なおじさんです。あ、そーれ!!ではなく、この大学教授も新ゴミ箱を開発した一員なのです。なので、彼女が新ゴミ箱?ああ、あんなの普通に開けられるわよ。もっとお金出さないとダメよ。HAHAHA!!等とは間違っても言う筈がないのです。

おまけに我が「悲しい笑い」も当初は面白ニュースだなぁという軽い気分で取り上て書き始めているのですが、どうやら規模の大小に関わらず考えることは皆同じで他のニュース媒体も取り上げているため、このアライグマ戦争は結構な大事となっているのです。
この戦争に勝利宣言を出した手前、市長は簡単に勝利宣言を発表を撤回出来ないし、行政側も問題は存在しないという立場を取ってしまっている為、簡単には問題に取り組めない状況となっているのです。
悪いことや間違えたことは早い段階でさっさとごめんなさいをした方が傷が浅いというのは本当だなぁと思いつつも、行政の担当者はニュース番組で新ゴミ箱問題を取り上げられるたんびに胃が痛むか眠れない日々を過ごすことには自業自得とは言え同情を禁じ得ないのですが、あるいは外人特有の図々しさで「HAHAHA!たかがアライグマ如きで愚民共も暇だなぁ」と笑い飛ばしているのかは気になる所だったりします。

最後に地元ヨーク大学教授スーザンヌ教授のインタビューで最後に語っていた喧嘩を売っているとしか思えない言葉に突っ込んで締めたいと思います。
「裏を返せば、市民とアライグマの関係がいかに深いかということ。まさにトロント市は、『世界のアライグマの首都』だと胸を張るべきだわ」

そのセリフはお前が言っちゃダメな奴だろ!!

悲しい笑いは問題の穏便な解決を祈っております。