読書感想「カラマーゾフの兄弟」 ドストエフスキー (著),‎ 原 卓也 (翻訳)

やっと読み終わった。
言わずと知れたドストエフスキー最後の作品。

この作品の中には違う作品がいくつも出来てしまうような要素が入り込んでいて、長いのだけれど飽きの来ない作りになっている。
特に大審問官の章なんかはあれだけで大長編が書けてしまう程に密度が高い。
しかも、この作品、実は2部構成になっており、これが終わった後もまだ続くかもしれなかったのである。その前にドストエフスキーが亡くなってしまった為にそれは為されずに終わったわけですが、でも、それは言われなくては分からない位にこの三巻での完成度は高い。
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読書感想「大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア-序章」- J.D. サリンジャー (著),‎ J.D. Salinger (原著)

作者は「ライ麦ばたけでつかまえて」のサリンジャー,J.Dです。

この作品の登場人物は「ナイン・ストーリーズ」「フラニーとズーイ 」といったグラース家一連の物語の中の一作。
グラース家の長男、シーモアの話。
と、言ってもシーモアは最後まで出て来ません。

また理解の一助として彼等のグラース家家族の長である父のレスはユダヤ系です。
ユダヤ人というのは差別を受け続けています。意外にも建前を大事にするアメリカで彼等がどういった扱いを受けてきたのかを想像して読んでみるとまた違った見え方がするのではないかと思います。

サリンジャーという作家は日本で言うところの村上春樹のような立ち位置の作家なのではないかと思っています。それは広く多く読まれていても、とても個人的な作家だと読んだ者に感じさせるからです。
実際に村上春樹もサリンジャーの書いた「フラニーとズーイー」と「ライ麦畑でつかまえて」は「キャッチャー・イン・ザ・ライ 」というタイトルにして翻訳しています。その前の野崎 孝が翻訳したものも作品のクオリティを損ねるものではありません。或いは両方の訳を読み比べてみるのも一興かもしれませんね。
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