2022年1月27日埼玉県ふじみ野市の民家で生前の母親を在宅で診療していた主治医の鈴木純一さん(44)を人質にして散弾銃を持った渡辺宏容疑者(66)が立て籠もり事件を起こします。
逮捕された後に容疑者は「母が死んでしまい、この先いいことがないと思った。医師やクリニックの人を殺して自殺しようと思った」と言ったそうですが、これを嘘だと思ったので、そう思った理由について書きます。
渡辺容疑者は以前から複数の病院でトラブルを起こしていました。それが通院から在宅医療に変わったところで問題を起こし続けることは明白で実際に問題を起こし続けていたのだと思います。
そんな人物からの要求に応じて焼香に訪問しての事件と聞くと被害者の鈴木さんの責任感がよほど強かったか、それか犯人の要求が執拗なものであったかのどちらかではないかと推測します。
個人的に世の中には関わらない方が良い人物と言うのは間違いなく存在しており、犯人はその類の人であったのだろうと思います。
そういった人物の要求を拒絶することは出来なかったのだろうかと思わずにはいられません。
医療に掛かって亡くなったなら正当な医療を施していたとしても遺族の感情的な面での矛先が医師へ向かう可能性というのは避け難く、ましてや容疑者のような人物であるな尚更です。
そして渡辺容疑者の噓についてです。
渡辺容疑者は母親の遺体に心臓マッサージをするよう言ったのを鈴木医師が断ると猟銃でその胸を撃ち即死させています。
その後、立てこもり警官からの連絡に対しては鈴木医師が生きていると伝え突入までの時間を稼いでいます。
自宅に立て籠もっていた際に警察からの連絡に対しては「人質は大丈夫だ。救出してもらいたい」等と話し警察突入までの時間を引き延ばしています。
警官とのやり取りは長く続き、やがて容疑者は疲れからか応答しなくなります。
1月28日午前8時ごろ、事件発生から11時間経過した後に警官が玄関ドアを壊し閃光弾を投げ入れ突入します。
そのとき容疑者はベッドと壁の隙間に身を隠していました。
散弾銃はベッドの上に置かれています。
以上の点から分かるのは渡辺容疑者に死ぬ気が無かったということです。
人質が即死しているにも関わらず、生きていると言っているのは警察の強行を止め置く為。
ベッドと壁の間に身を隠していた理由は警官突入時に姿の見えた自分が撃たれないようにする為。
隠れている直ぐ近くのベッドの上に猟銃を置いていたのは自分が凶器を持っていないと警察に分からせることで無傷のまま投降出来る可能性を高くする為。
更に言うなら警察に隙があるなら犯人はすぐ傍の銃を取っての逃走まで考えていたのではないでしょうか。
口では死にたいと言いながら、その行動は小賢しく徹底して生へ執着しています。
以上の点から渡辺容疑者の自殺云々について本心からの言葉であるか真偽の程は定かに出来ませんが少なくとも犯行時に死のうという考えが無かったことだけは間違いなさそうです。
ただ事件当時の容疑者の生への執着を見ると自殺しようと思った云々の話は逮捕後に量刑を少なくする為の方便に過ぎないのだろうと率直に思います。
渡辺容疑者にも絶望があったのだろうとは思いますが、その為に誰かが死ななければならない理由は一つもありません。罪の無い人間を道連れにしよう等と言う身勝手な思考がどういった課程で生み出され、なぜ実行に至ったのかという理由については興味の湧くところではあります。
また渡辺容疑者が死刑を回避出来たとしても、そういった思考の持ち主が刑務所内の規則に従った生活を送れるとは到底思えず、彼を待ち受けるのは更なる絶望でしかありません。
今回の事件では在宅診療に力を注ぐ有為な医師が殺害されたにも関わらず誰も救われていないという点にやるせなさを感じずにはいられませんでした。