週刊文春の旭川いじめ事件の続報として学校で臨時で開かれた保護者への説明会の様子を伝えているのですが、それを見て思うところがあったので書いてみます。
参考記事:
【全文公開(1)】「担任をかえてください」保護者は涙で訴えた 怒号飛び交う説明会《旭川14歳少女イジメ凍死》ー文春オンライン
【全文公開(2)】「爆破予告があったのは本当ですか?」不誠実な答弁を続ける校長に保護者が…《旭川14歳少女イジメ凍死》
【全文公開(3)】「あのおぞましいものを見て涙が出た」「児童ポルノだ」Y中学校は保護者の声に本当に向き合ったのか?《旭川14歳少女イジメ凍死》
簡単に概要を説明すると事実を求める保護者側に対して学校側が煮え切らない説明に終始したと言った印象なので、学校側の保身の為の茶番に付き合わされた100名もの保護者は本当にお疲れ様でした。
学校側の説明については読んでいる私も苛立ちを感じる程なので実際の現場にいた保護者は尚更だった筈です。途中で会場を抜ける人もいたようです。もし私が現場にいてもやはり途中で抜け出していたと思います。
説明会で感じる苛立ちの原因は何なのでしょうか。
保護者会の内容としては保護者側から出される質問に対しては学校側では校長が主に対応していますが質問に対して調査中であるとして明確な回答を返していません。会場の雰囲気は途中で教頭が話をする場面もありましたが、そこでは自分が法に反することはしていないと言って参加者を煽り出す始末なので推して知るべしといったところでしょうか。
今回の説明会が開かれた元々の経緯としても事件が大きくなったことで対応を迫られた学校側が開かざるを得なくなってのもので学校側は本来なら開催したくなかったというのが本音のようです。
説明会の入場に際しても入り口で教員が来場者の名前と保護者の名簿を照らし合わせて部外者を完全に取り除き、外ではパトカーが待機しているという厳戒態勢が敷かれています。
説明会に対しての両者の要望としては
保護者の要望:真偽の確認と生徒が被るであろう被害への対策を知りたい
学校側の要望:無難にやり過ごしたい
といった具合なので噛み合うはずがないのです。
ここで少し過去を振り返ってみます。
2005年に北海道で起きた滝川市小6いじめ自殺事件です。
北海道滝川市内の小学校に通っていた当時6年生の女児がいじめられたことで自殺。
この時は調査に入った滝川市教育委員会がいじめは無かったと結論。
女児が残した遺書に対しては手紙であるとしていました。
後に教育長は辞職し幹部職員2人も懲戒処分。
更に北海道教育委員会が今回の事件を切っ掛けとして実施しようとした実態調査に対して北海道教職員組合の執行部が調査に協力しないよう指導。
以上が簡単な経緯になるのですが、滝川村と旭川と場所の違いはあれど今回の事件と同様いじめは無かったものとして扱おうとしている点やそれを指摘する声に対して厚顔無恥な対応をして押し通そうとする点は共通していると思ったので挙げてみました。
参考記事:滝川市小6いじめ自殺事件ーWikipedia
また今回の事件の調査に入る筈であった教育委員会が第三者委員会の取りまとめ約として当時の校長と近い人物をリストアップして遺族から拒否されています。学校側がいじめの実態調査に対して人事面で介入することで真相を学校側に都合の良いように誘導することで保身を試みることを懸念してのものです。
そして前述の保護者への説明会は4/26。この時点で第三者委員会の人選について出された質問に学校側は答えられないと伝えているので、この人選が遺族に伝えられたのも説明会が終わった後であったと考えられます。
そう考えると第三者委員会の人選が、この時点では遺族からはねられるとは考えておらず、第三者委員会の調査を行ってもいじめが無かったか、それに近い結果を導き出せると学校側は考えていたのかもしれません。
教頭が説明会の際に自分は法を犯していないと聞いている側を煽るようなことを言ったのはなぜだろうと思っていたのですが、調査結果が自分たちに有利なものが出ると考えて謝る必要はないと考えたか、もしかしたら自分は悪くないという自己洗脳が終わってのものだったのかもしれない等と思いました。
参考記事:《遺族は「違和感しかない」》イジメ調査の第三者委員会リストに“問題人物” 旭川14歳女子凍死ー文春オンライン
学校の一番の問題点はいじめの存在を認めていないことです。
滝川村の事件は2005年に起きたものですが、これを反省点として同様の事件が起こらない仕組みや組織作りが行われることを多くの人が期待した筈です。しかし組織としての体質は変わることなく事件が起きた際に隠蔽する方法だけが巧妙化しているようにしか思えず。現状のままでは同様の事件が続いていくであろうことに暗澹たる気持ちを抱かずにはいられません。
今後も学校では大なり小なりいじめは起き続けます。しかし、それを学校が早期に発見して被害に遭っている生徒を保護し対処することが出来れば今回のように命が失われることまでは避けることが出来る筈です。それこそ以前の校長がインタビュー時に答えていた加害者である生徒を救うことだって出来るかもしれません。しかし現状のまま学校側がいじめ自体を無かった事として向き合わないままでは今後も命が無駄に失われ続けるだけです。
これは学校という組織に問題の現れに他ならず。問題があるならそれは正されなければならないというのが率直に思う所です。
最後に爽彩さんのご冥福をお祈り申し上げます。