渋谷ホームレス女性殺害事件について

現場に供えられた花 社会派気取り

2020年11月16日午前5時頃一人の女性が殺害されました。
女性の名前は大林三佐子さん。年齢64歳。
現場は渋谷区幡ヶ谷にある幡ヶ谷原町バス停。
犯人は近所に住む男性。
動機は容疑者が前日の未明、被害者に「お金をあげるからどいてほしい」と頼んだが、応じて貰えず腹が立った、痛い思いをさせればいなくなると思った」というものでした。男は母親に連れられて出頭。母親は「あの事件は息子が起こしました」息子は「あんな大事になると思わなかった。お母さんごめんなさい」と言っています」と告げた。
報道を見る限り加害者から被害者への謝罪の言葉は見受けられません。
被害者の身元を特定できたのは、被害者の持つ名刺大のメモ帳にびっしりと書かれた親族への連絡先を辿ってのものです。そして彼女の持つ携帯電話は電源が入らなくなっていました。

現場となった幡ヶ谷原町バス停

現場となった幡ヶ谷原町バス停

11月29日に現場となったバス停を訪れてみると花が供えられていました。
その花にご近所の方が水をやっている姿が印象的でした。
場所は新宿近くの国道沿いとは言え、ビジネス街というよりかはいまだ個人商店の残る下町情緒の残る場所でした。バス停の椅子は小さなものが二つだけ並び、腰掛けてみると目の前のクリーニング店が目に入ります。
容疑者から移動するよう迫られ、それを拒んだ彼女の居場所はあまりにもささやかなものでした。

彼女はアナウンサーになりたいという夢を持って上京したといいます。
上京してからは結婚式の司会業を行っていた時期もあったそうですが、その後に派遣スタッフとして今年の2月まではスーパーで働き、その後にホームレスになったのではないかと思われます。
亡くなった際に警察が彼女の身元を調べようと所持していた免許証を調べたところ、それは既に失効しており記載されていた住所には既に居住しておらず、そのため警察が身元を特定するまでに3日ほどの時間を要しています。
現場となったバス停に彼女はいつも深夜にやって来るとそこで明け方まで過ごし、始発のバスが来る前までにはどこかへと移動していったそうです。
近所の住人が飲み物や衣服などの提供を申し入れたこともあるようですが、彼女は申し訳ないからと言って断ったといいます。
おそらくは携帯電話の充電が切れる直前に急いで書き写したであろう、名刺大のメモ書きはいつか連絡を取ろうと考えてのものであることは疑いようがなく、彼女が何を思いながら震える寒さとなっていたバス停で過ごしていたのかは知る由もありません。
いつかメモに書かれた先へ連絡することを夢見て電源の入らない携帯電話を握りしめていたのでしょうか?

昨年の12月、彼女が暫く連絡を取っていなかった弟へ贈ったクリスマスカードには「元気ですか」というメッセージが添えられていました。

この事件には多くの示唆が含まれているように感じました。読んで貰うことで胸の中をよぎる想いがあるのではないかと想像します。それが何なのかを考えてみて貰えれば幸いです。

最後に大林三佐子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。