山口県阿武町で24歳の男に誤入金された給付金4630万円の行方は?

お金 社会派気取り

山口県阿武町で463世帯に10万円ずつ支給される筈だった給付金4,630万円が24歳の男性一人に誤って振り込まれ、しかも男がこれの返還を拒否して世間を騒がせています。

阿武町自体は山口県の日本海に面したキウイフルーツが名産の小さな町です。この典型的な地方都市といった風情の場所で起きた一つのミスが全国を騒がせる事態となっています。

経緯を追ってみましょう。

2022年4月8日

男に4630万円が振り込まれます。

それに気付いた町側は男にネコババされちゃかなわんと男の家を訪問して謝罪して返還を求めます。
男はこの求めに一旦は合意。
ほっとした町側と男とで銀行に向かいますが、入り口で男は返却を突然拒否します。

男は恐らく車の中で口座に入った金をどうにか自分のものに出来ないかワンチャン掛けてみることを決めて「今日は星占いで貯金するが吉とか言ってたから手続きしない」等と抜かして拒否。(星占い云々は嘘で正確には「今日は手続きしない」)
男は自分の財布に一度入ると自分のものだから、もう舌も出したくないという気持ちにでもなったのか。
男はどうやら俺が稼いだ金を何で国に払わないといけないんだ!とか言って脱税するタイプの人だったみたいです。

2022年4月10日

男は町に弁護士と相談すると連絡を入れます。

ここで町はそれならばと安心してしまったんでしょうね。本来なら仮差し押さえ等をするべきだったと思うのですが、男は見事に町側の足を止めることに成功します。

※ 仮差押え:振り込んだ金額に対して訴訟を起こすと時間が掛かります。
その間も男はせっせと誤振込された金を隠す恐れがあります。
それを読んで予め相手の財産を確保する制度のことを言います。
でも町だって弁護士位には相談してると思うので、そういったアドバイスは受けなかったんですかね?

2022年4月14日日

町側は男の母親を連れて男の職場を訪れて、いい年してお母さんに怒って貰うという羞恥プレイを敢行。
うーん、二十歳過ぎてそれをやられるのはきつい!
男は「弁護士と話す」強弁してそれを跳ねのけたみたいですけど、逆ギレする気持ちも分からなくもありません。

この辺で終われば、男も終生からかいのネタにはされるだろうけど、田舎町の微笑ましい事件簿といった風情で終わりだったんだろうと思います。

町の居酒屋とかで仲間と飲んでても
仲間「こいつ4600万もネコババしようとしやがって」
男「もう返したから良いじゃんよ。でもなぁ、やっぱり俺の金にして海外とかに飛んどきゃよかったと思うんだよなぁ」
仲間「こいつ全く反省しとらんじゃんか」
一同「あはは!」

役場では新人と上司の二人で振り込み作業をしていて誤振込した職員は食事も喉を通らない状態と聞きます。
これも男が無事に返金していれば
新人「あの時はごはんも喉を通らなくてやせちゃった」
上司「本当なぁ。俺も生きた心地しなかったよ」
仲間「やせて良かったじゃないか。あはは!」

みたいな感じで町で起きそうになった珍事件として良い話のネタになって終わっていたと思うのです。

しかし実際の男は4月8日から2週間程掛けて、ほぼ毎日、銀行から金を引き出し続けて洒落で済む段階を時速100キロオーバーで走り抜けます。

2022年4月21日

町側が男宅を訪問します。

町側のセリフは想像です。
町側「いいかげんにお金を返してください」
男「もう金は動かした」
町側「じゃあ元に戻して下さいよ」
男「元には戻せない」
町側「あなたが動かしたんなら戻すことも出来るでしょ」
男「どうにもできない」
町側「どうにも出来ないってどういうことですか」
男「罪は償います」
想像するに以上のような押し問答の繰り返しに終始したようです。

2022年5月12日

町側は男に対して弁護士費用を含めて約5116万円の返還を求めて提訴しました。

2022年5月17日
男性の弁護士が振り込まれた金は全て海外のネットカジノで使ったと公表。

男「分かった。これは天が俺にくれたチャンスじゃ。
要は4600万円を返せば良いんだろ?。
つまり、これを元手に増やした分は俺のもんじゃ。
さぁ、揃え!スリーセブン!!」
海外カジノ「4600万円あざーっす!」

を本当にやっていたのか?

ただ、そうなると弁護士費用とかどうしたの?とも思うので、金を振り込まれて弁護士に駆け込んでものにする方法を相談して今も男性の代理人として立っているとするなら、海外カジノの線はかなり怪しいと思います。

何れにせよ、
花田憲彦町長は「事実であれば許せない気持ち」
中野貴副町長は「そうですかとひきさがるわけにはいかない。金の流れや使途を解明し、取り戻せるよう全力を尽くす」

と各々に男を刑事告訴する方向で検討していることを語ります。

筆者も男は金を返金するべきだと思います。
なぜかと言えば男は失うものの方が大きいからです。

男の年齢は24才。
おっさんの筆者から言わせて貰えば若いというだけで羨ましい。
誰もが平等に持ち、誰もが手放さざるを得ない若さという資産を持っているなら、犯罪者としてでなく普通の若者として過ごす方が幸せに生きていけると思うのです。

そして経済の観点から考えてみましょう。
定年の65歳まで働くとします。
男は24歳なので41年間働く必要があります。
年収はならしていけば300万円位にはなるでしょう。
300万円×41年間=12,300万円
男は1億2千3百万円を稼げる見込みがあります。
つまり12300-4600=7,700万円
普通に暮らした方がネコババするより7700万円程度大きい所得を得られると考えられます。
そしてネコババした金額だけで生活出来るとも思えません。

ネコババした後に男も働き始めたら良いという考えもありますが、これだけ犯罪者として顔と名前の広まった人間がまともな職に就けるとは考え辛い。おまけに男は今回の騒動で仕事も既に辞めているそうなので、事件が収まった後にいざ働こうとしても雇用主に足元を見られて賃金額は著しく下がると考えると振り込んだ金額を自分のものにして逃げ切れるかどうかという賭けは結果的に負ける公算が高いと思うのです。

これがもし男が50過ぎだったら期待値としては
300×15=4,500
と拮抗してきて更に無職とかアルバイトならネコババする金額が上回るので理解出来るんですけどね。

その後、男は少しずつでも返金していきたいという意向を示したようです。
難しい局面です。
正直、男が後戻り出来る段階はとっくに過ぎているように思えます。
一部では実名も出ています。
男には弁護士が付いています。
そこから回収の算段を町側はどう付けるのかというのは引き続き注目したい所です。

個人的には男はまだ若者なので、観念して振り込まれた金額の返却の目途を付けて、ネコババしようとしてたけど結果的に弁護士費用の払い損で終わってしまったで世間もやっぱり悪いことは出来ないものなんだなと留飲も下がって、そのあと男は頑張って社会復帰して500万位掛けて皆が笑える鉄板ネタを手に入れたで終わって欲しいと思うのです。

2022年5月18日

なんてことを考えていたら男が逮捕されたという情報が飛び込んで来ました。
山口県警萩署が電子計算機使用詐欺の容疑で男を逮捕です。

今まで男は振り込まれた4,630万円について
「海外の複数のインターネットカジノで全部使った」
と説明していました。

男の口座の動き

誤振込が行われるまで
口座残高665円

誤振込が行われた4/8 
口座残高4,630,665円
デビット決済で67万8967円出金。

~4/19まで
口座から34回に分けて約4,633万円を出金。
口座残高6万8743円

男はスマホを使って国内にある複数の決済代行会社に振り込んでいたということなので隠す気満々だったのが窺えます。
国内の決済代行会社であれば男の身柄さえ押さえてしまえば、お金の動きはしっかり追跡することが出来そうなので回収できるものがあるならしっかりと回収して欲しいと思います。

容疑者は調べに「間違いない」と答えているのだそうです。

それでは今回この辺で