才能のありかた

祈り 徒然日記
どうか大した苦労もしてないのに大金が稼げて遊んで暮せる秘められた才能が見つかりますように

世の中と言うのは不公平なものだと思っているのですが、その一つに才能というものがあります。
小学校の頃を思い返してみれば、友達の篠田君はあんなに足が速いのに、なぜ自分はこんなに足が遅いんだろうと悔しがりました。
中学に入ってサッカー部に入部してみたら嫌味なアイツは絶対的なエースストライカーであり、善良で才能の全く無い自分は万年補欠です。しかもサッカー強豪校ではなく弱小校であるにも関わらずです。
更に高校の頃を思い返せば、友達にバンドやろうぜと声を掛けれられて試しに友達のギターを借りて弾いてみれば、そもそもCDから流れる楽曲の中で流れているギターの音どれか分からないという残念さです。
自分の人生は同じようなことばかり繰り返しているなぁ等と思います。

決して短くない人生を生きていて思うのですが、よく誰にでも一つ位は才能が与えれられていると聞くのですが、そんなものを与えれられた覚えはないという人は自分を含めて決して少なくはないと思うのですが皆さん如何でしょうか?

ただ同時に思うのですが才能を与える神からすれば「あいつ、世界一のサッカーの才能を与えたのに、いつまで経ってもサッカーしねえなぁ、おかしいなぁ。なんでブラジルのサンパウロに男に生まれたのに、カバディとか始めてんの?普通、一度くらいはサッカーに手?を出すよね?」となっている例だってあると思うのです。

このように才能を与えれられた稀有な人でも与えられた才能を活かすことの出来ていない残念な人というのも、やはり存在しているのではないかと思うのです。

例を思い出してみると、
高校生の頃に身長2メートルの大男がいました。教室の入り口を潜って入って来る姿を初めて見た際にはクラス全員が大いに驚いたものです。ただ、当の本人はカードゲームを愛する至ってまともな男でした。その体格。そして残念ながら俊敏ではない動きを考えると柔道なんかをやっていれば相当なものになったと思うのです。
体格というのも神から与えられた才能の一つです。
しかし前述の通り2メートル近い身長という神から与えられている当の本人はカードゲームを愛する内向的な人物だったので部活には入っていませんでした。と言うよりも体を動かすこと自体が嫌いだと言っていました。
そして周囲の期待をよそにカードで生きていくと豪語していた彼のカードゲームの強さを、よく彼と一緒にカードゲームに興じている別の友人に聞くと「ああ、あいつ?半端なく弱えよ」という言葉が返って来るので、彼は神から与えられた才能を全く活かしていないのです。

そして逆才能もあります。
彼のことはH君とでも呼びましょう。彼はお笑い芸人を目指していました。そして自分が知る限り彼ほどつまらない男を見たことがないという程に彼の放つ冗談はつまらないものでした。
当初、お笑いを目指すというH君のことを彼を知る誰もが止めました。しかし彼は自分ほど面白い人間はいないから大丈夫だと自信に溢れていました。
なぜ、あんなにつまらない人間がこれ程の自信を持つことが出来るのだろう?
言っちゃ難ですが、彼の自信には全くの根拠がありません。それどころか彼の放つギャグで笑った人間なんてまるっきり見たことがありません。寒くて逆に笑ってしまったすら無いのです。もしかしたら失笑はいくつかあったかもしれない程度です。
ある日、私は怖々と聞いてみることにしました。当時はダウンタウンが全盛期の頃でしたし、いま思い出しても当時のダウンタウンというのは面白かった。
そこを端緒として彼にお笑いを目指す切っ掛けを聞いてみようと思いH君に「ダウンタウン面白いよね」と言ってお笑いの話を振ってみたのですが、彼からは驚きの言葉が返ってきました。「え?あんなの何が面白いの?」
正直、耳を疑う言葉でした。しかも彼は真顔です。これがまだ笑顔だったら、こんなつまらない人間が面白いダウンタウンをつまらない呼ばわりするというギャグが成立して笑うことも出来るのですが真顔です。
(本当につまらない男です)
そこでよくよく聞いてみて判明したのは驚くべき事実でした。
彼は本当にダウンタウンがつまらないと思っていたのです。当時のダウンタウンはお笑いの頂点です。
その前提でダウンタウンを見た彼は思ったそうです。
お笑いの頂点がこんなつまらないなら、それよりも面白い自分は容易にお笑いの頂点を取れる筈だと、そうです。
以上の事実から浮かび上がるのは彼の笑いのツボが人と全く違う場所にあるということです。故に彼の放つ頗る寒いギャグは彼にとっては素晴らしく笑えるギャグだったのでした。

彼の放った素晴らしいギャグの一つを紹介します。
夏の暑い日の教室です。先生が授業の為に入って来ました。
H君はおもむろに立ち上がると「先生、今日は暑いですね」と聞きました。
先生は「おお、そうだな」と答えました。
以上です。
これがH君の中では最高のベストギャグだそうです。

統計的に言うなら、
平均値にいるのが我々としましょう。
並外れて面白い外れ値にいるのが松本人志、
並外れてつまらない外れ値にいるのがH君。

そんな彼も高校卒業前に、どうやら自分は面白くないという事実に何が切っ掛けだったのかは知りませんが気が付いたようで卒業後の進路は専門学校進学を選び今では堅実な人生を歩んでいるらしいので、本当に、心の底からつまらない男です。

今になって思い返してみると、彼がお笑い芸人を目指すと言っていたのは、もしかしたら途轍もなく壮大なH君が体を張った一発ギャグだったのではないだろうかと思ったりもするのですが考え過ぎですね。

このように才能のあるなし、もしくは神から与えられた才能を全く活かさない、それか、ある意味では人並み外れてつまらないという、それを活かす場所は全く存在しないという残念な才能を与えられたとしても大抵の人間というのはどうにか生きているようなので人生というのは案外にちょろいもんなのかもしれない等と思うのでした。

それではこの辺で