【子供相談室】寝取られ(NTR)って何?

寝取り どうかしている


親戚の集まりで甥っ子の相手をしていた時の事です。
今年6歳になる甥っ子が「寝取られ」って何?と問い掛けて来たのです。
「ねぇ、子供ってどうやったら出来るの?」ならコウノトリが運んで来るんだよ。詳しいことはお母さんに聞いてね。とかで適当に誤魔化そうと準備はしていたのですが、そこから二歩も三歩も先を行かれるとは思いませなんだ。しかし初めて赤ちゃんの彼を抱き上げてみたらブリブリとうんこを漏らしてくれた文字通りのクソガキが「寝取られ」について聞いて来るようになったのですから月日が経つのは早いものだと感慨深いものがあります。

まぁ簡単に彼の質問に答えるならエロ動画サイトでも開き「寝取られ」ものの動画でも見せれば良いのですが、そうして僅か6歳の甥っ子の性癖を歪めるのも面白いと一瞬は思いはしましたが、その事が親にばれるとまずいので取り止めます。しかし、彼はその事を知ってか知らずか重ねて「ねぇ寝取られって何?」と問い続けてきます。

そこで、そうだ困った時のwiki先生で調べてみます。そこでは自分の好きな異性が他の者と性的関係になる状況、またはその状況に性的興奮を覚える嗜好と書かれているのを見て、うーん、冷静に考えてみると他人事ながら寝取られって病んでいるなと思います。現実に見たことがないので分からないのすが寝取られ属性の人間は何が楽しいんだろうか?

しかし、このままでは甥っ子に何でも知っている面白くて優しい尊敬すべき人物である私が「寝取られも知らない」半分ニートの人間のクズになってしまいます。そこで考えます。そうだ。昔に村上春樹はメタファーという回廊を通じて語り掛けるのだ的なことを言っていたではないか。

そこで私は甥っ子に語り始めます。

まず君が農家に生まれて牛の世話をする事になったとしよう。

可愛い君の牛だ。
名前は「花子」にしようか。

花子の為に君は朝早く起きてたくさん世話をする。

大変だけど君が落ち込んだ時に牛は君を慰めてくれる。落ち込んで一人佇んでいた時にも何も言わずに君の隣に一緒に並んでくれたね。

だけど、花子は君のペットじゃない。
お父さんやお母さんが君に花子の世話をさせたのは、農家として何を行うべきなのかを知るため、牛への愛情を持つため、そして別れがあることを知るためだ。

そう。花子とは何れ分かれなくてはならない。
花子は大きくなったら売られて行く。
仕方ない。それが仕事なのだから。

その時は唐突に訪れる。花子もいつもと違う様子を察して君を見てブモーッブモーッと助けを求めるように鳴いていたね。君はそれを泣きながら見送った。

そして、君はある三流私大のバカそうな大学生のバーベキューをしている姿を目撃する事になる。

そこで焼かれて食べられるのは花子だ。そうだな、君は花子が気になって売られていった先に行って花子のことを聞いた時に「頭の悪そうな大学生達がバーベキューやるんだって言って買って行ったよ」何て教えて貰うんだ。きっと頭は悪いけど金だけは持ってるのが一人いたんだね。

君は大学生達から見えない所に隠れて、せめて花子がどうなるのかだけでも見守ることにしたんだ。大学生達は知らない他人だから声を掛けることも出来ない。君は黙って隠れて見ていることしか出来ないんだ。
でも、そこで食べられるのは花子だった肉だ。

始め、大学生達は旨そうに肉を食べるんだ。それを見て、君は美味しく食べてくれるなら良かったと思う。

その内に彼等は腹も膨れ出す。バカだから人数分の分量よりも多く肉を買ってしまったんだ。おまけにポテトやお菓子も食べるから尚更だ。

やがて大学生は「実はバイト先にいるマキコって女とやれそうなんだよねぇ」「マジで!その女カワイイの?」「ああ、カワイイ。って言うかマジエロい」「マジで!!凄ぇじゃん!!」と言う、大学生特有のクソみたいな話で盛り上がり始める。

しかもバカだから話に夢中になって「ヤベエ、肉焦がしちったよ」「マジで?黒焦げじゃん」「焦げたのどうしようかなぁ」「なんか焦げたとこ食べるとガンになるらしいぜ」「そうだな、捨てちゃうえよ」とか言い出すんだ。おまえ等が社会のガンであるにも関わらずだ。

彼等の愚行はこれだけに止まらない。仕舞いの方には「何だよぉ、肉あまってんじゃん」「俺もう腹一杯だよ」「食えよ、もったいないじゃん」「えー」とか言いながら。「そうだ。マヨネーズとか付けちゃおうぜ!!」「あ!そうだ。ケチャップとかワサビとかも付けちゃおうぜ」とか言いながら謎クッキングを始める。おまけにだ。彼等が貶めた花子を口にすると「やっぱり、不味いなぁ」「良いよ、捨てちゃおうぜ」「そうだなー」ゲラゲラゲラッって笑いながら花子を捨てるんだ。

分かったかな?こうやって君が大事にしているものをバカな大学生に雑に扱われたりすることを寝取られというんだよ。
と、教えてあげた甥っ子は暫く泣き止みませんでした。

因みに話の途中で甥っ子が涙を堪えているのを見て「友達とケンカして落ち込んでいる時、花子は隣に座って慰めてくれたね」(牛如き畜生がそんな気の利いた事するわきゃねえだろ)と思いながら言った辺りから泣き止まなくなりました。
話の終わり位には親戚たちが何だ何だと言いながら集まり始めたので「良いかい?君が食べ物や何かをバカな大学生のようにぞんざいに扱う事があるかもしれないけど、それら全て誰かが愛情を込めた大切なものである可能性があるんだ。だから全てのものは大事に扱わないと駄目だよ」的なことを言って指きりをして誤魔化したら良い事を言ったっぽい空気になったので私は怒られずに済みました。

めでたし、めでたし。

おしまい。