埼玉県川口市の住宅街に数年前から巨大な資材置き場が増え始めています。
そこからは騒音や振動が発生しており付近住民は困惑しているというニュースです。
おそらく住んでいる人たちは環境部から県の調停か公調委の裁定しかないと丸投げされていると思います。
埼玉県に調停について問い合わせれば埼玉県環境政策課からは業者が呼び出しに応じなければ何も出来ることがありません伝えられ、しかし公調委の裁定については取り上げられる可能性自体が低いと伝えられて頭を抱えているのではないかと思います(正直、埼玉県も非常に問題があるのですがこれは別に)。
しかも調停が行われても資材置場の事業者が次々変わるとなると無駄になる可能性が高いと八方塞がりの状況であることが想像できてしまい同情の感を禁じ得ません。
今回の問題は川口市の行政でしか解決出来ない問題です。しかし川口市の行政は解決できないままです。解決最大の妨げになっているのは川口市の行政の中でも環境部、その中でも特に生活環境保全課が問題になっているのではないかと思ったので、こでは騒音に焦点を当ててその理由を書いてみます。
資材置場の集まる場所はどこか?
場所を特定してみます。
動画の中で資材置場の場所が表示されていたので、それとGoogleマップと照らし合わせてみます。
どうやら現場は埼玉県川口市の環状線川口料金所付近の市街化調整区域である赤芝新田や石神の付近で間違いないようです。
インターチェンジも直ぐ近くなので高速道路で都内に出たりと移動に便利なんでしょうね。
そして場所を見て気が付いたのですが学校が付近に3校と特別養護老人ホームがあります。
・川口市立神根東中学校
・川口市立神根中学校
・川口市立戸塚西中学校
・特別養護老人ホーム 紫水苑
学校や特養があるとどうなのかと言うと付近50m以内は騒音の環境基準からマイナス5dBの数値を守らないといけません。
要は学校の側で出す騒音については通常以上に制限されていると思って貰えば良いです。
川口市の資材置場で起きている公害
先ず言っておきたいのが現在、資材置場で発生しているのは公害です。
「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
引用:「環境基本法 第二条 第三項」-e-Gov法令検索
この資材置場も事業活動で設置されているので公害と言えます。
その事業活動の中で騒音や振動が発生しており動画の中ではトルコ人経営(クルド人はトルコ人と名乗るので実際はクルド人と思われる)を名乗っていますが日本人だろうが、騒音や振動についての問題は川口市なら環境部の管轄です。
クルド人側は川口市役所が自分達に有利な証言をすると思っている?
資材置場の責任者とされる男性がインタビューに対して「言い分はないので市役所に聞いてくれ」の一点張りとなっておりインタビュアーの女性も訝しんでいます。
なぜでしょう?
騒音や振動といった公害を発生させている企業に対して川口市の行政はそれらの解決を求める立場です。謂わば資材置場と川口市の行政は対立する関係です。
普通に考えれば市役所に資材置場のことを聞けば「資材置場は違法な状態のため一刻も早く解決するべきだ」とでも答えるので資材置場側にとって不利になる筈だからです。
その市役所に資材置場が公害を発生させ続けている現状について聞いてくれと答えている。
これは市役所側がクルド人側にとって有利な証言をすると考えていなければ出て来ない発言です。
川口市役所環境部がクルド人側にとって有利な証言をする理由
川口市環境部は資材置場経営者に対して、発生している騒音や振動等について「付近住民から苦情は来ているが罰則は無い」と伝えているのだと思います。
もしも相手から解決する為にどうしたら良いのか?等と問われればトラックの騒音や振動の測定を川口市の環境保全課が行い発生している範囲を調べ更に改善策を考えるといった手間が発生し、更にそれにも従わなければ条例を制定する等しないといけないからです。新たな資材置場設置を規制する条例を川口市は制定しましたが、その意見聴取の中で環境部は資材置場を規制する条例を作ると彼等の財産を侵害してしまうと詭弁を弄し解決を妨げています。当たり前ですが悪事によって築かれた財産を守る必要等ありません。
クルド人が言うことを聞かない方が川口市環境保全課としては助かる
例えば川口市の行政が資材置場側に「川口市です。騒音や振動で困っている人がいます。しかし罰則が無いので解決しなくても法律で罰せられることは無いですよ」と伝えるとどうなるでしょう?
「そうか。じゃあ俺たちは何もしないよ。だって何も罰せられないんでしょう?」
「それは残念です(ニッコリ)」
以上で終わりです。
この茶番のメリットです。川口市環境部は公害相談をした市民に相手が言うことを聞かないし与える罰則も無いので何も出来ないと伝えれば何もしなくて良くなったからです。
これで川口市民とクルド人両者の溝は深まるでしょうが川口市環境部としては何もしなくて良くなったので解決したのと同義です。
最悪なのは「解決したいと思うのですが方法が分かりません」と答えられることです。
下記の条例にあるように環境保全課が解決する為の調査や方法を調べないといけなくなるからです。
(川口市役所は150㎡以上のものについては依頼があれば測定を行う可能性があるようです。しかし小規模なものが問題と言われているのにそこには測定せずに口で言うだけで何もしないとか・・・。このように必要な測定を行っていないので測定していないのと同じです。根拠条例は巻末に記載)
(小規模の事業者に対する支援)
「埼玉県生活環境保全条例」埼玉県法規集より引用
第九条 知事は、小規模の事業者が環境への負荷を低減し、及び公害を防止するために行う施設の整備等について、必要な財政的及び技術的な支援を行うよう努めるものとする。
想定外だったのはメディアに取り上げられてしまったことでしょうか。
但し条例も新たに設けられることになってしまいましたが、これは新規の資材置場を置くのが厳しくなったというものです(条例についても暇があったら別に書いてみたいと思います)
どうも川口市の行政の特徴として役に立たない対策を立てるのが正解としているように思える節があります。それは面倒な苦情を言って来た市民に対して復讐をしているようにも見えるのですが私の気の所為でしょうか?
環境保全課は環境測定を行っているのだろうか?
実は赤芝新田に住んでいる人から騒音と振動に困っていると相談を受けたことがあります。
曰く産廃指導課に相談した所そことは別に「環境保全課」が振動などの調査を受け持っているが調査を行ってくれない為に困っているのだそうです。
他にも個人間であっても騒音相談等については測定等の対応を行わなければならないのですが環境保全課はそういった対応は対象外と虚偽の説明をしているケースをいくつか見聞きしたので今回も同じことをしているのではないかと思ったのです。
公害の定義について
公害は事業活動によって生じる騒音や振動
「「公害」とは?」総務省HPより引用
「騒音」の定義:不快な音、好ましくない音
振動に係る苦情の主な例:工場の機械の音がうるさく、体調がすぐれない等
「振動」の定義:土地、建物等の上下縦横の揺れのこと
振動に係る苦情の主な例:工事現場のトラックの出入りや作業機械のせいで、家が揺れ、壁にひびが入る等
これら騒音と振動の定義の中に地域区分は含まれていません。
従って市街化調整区域であっても公害として相談されれば下の公害紛争処理法の観点からも川口市の環境部は解決する為に対応する責務が生じます。
(苦情の処理)
「公害紛争処理法 <」e-Gov法令検索より引用
第四十九条 地方公共団体は、関係行政機関と協力して公害に関する苦情の適切な処理に努めるものとする。
2 都道府県及び市町村(特別区を含む。)は、公害に関する苦情について、次に掲げる事務を行わせるため、公害苦情相談員を置くことができる。
一 住民の相談に応ずること。
二 苦情の処理のために必要な調査、指導及び助言をすること。
三 前二号に掲げるもののほか、関係行政機関への通知その他苦情の処理のために必要な事務を行うこと。
そして気になったのは騒音測定や振動の範囲を調べる等の環境測定が行われているかどうかです。
環境測定が必要な理由
もうテレビでも取り上げられたし今さら騒音の測定は必要ないんじゃない?という意見もあると思うのですが現在、発生している公害の被害について客観的に騒音や振動がどの程度の数字のものでどの程度の範囲に亘っているのか被害状況をはっきりさせておくためにも環境測定が必要です。
ここでは特に騒音に絞って書いていきたいと思います。
冒頭の方で述べた学校や特養が存在しているため騒音について特段の注意を払うというのも騒音値が計測されていなければー5dBという数値を達成させることが出来ているのか分かりませんよね?これも計測しないことで被害を確定出来ない。つまり環境部はその方が楽なんです。
他に騒音値の定義が為されていないため騒音被害は感覚公害とも言われており、例え1dBであっても相談すれば騒音として扱われます。
しかも何も知らない人に騒音で困っていると伝えると神経質な人として扱われる可能性が出て来ることから他人に話すのは躊躇われます。
これが騒音値を測定して客観的な数値があると話が変わってきます。
例えば環境省が定めた住居用地域の騒音値の基準を大きく超える60dB以上の数値が頻繁に発生していて困っている。
更に付近に学校があって騒音値には特段の注意が必要な場所であるにも関わらず資材置場の運営会社が何もしないと聞けば大変なことだと分かる筈です。
他に騒音値が環境基準値以下になっても何か聞こえていて困っているとなれば低周波音による被害の可能性も考えられます。これらの被害を把握する為にも騒音の測定は必須です。
依然として問題が解決しておらず、それに基づいた条例等が作られていない現状を見ると、やはり川口市環境保全課はこういった環境測定を何もしていないことが強く疑われます。
他にも川口市は騒音計の貸し出しを行っていますが、貸し出しの際には騒音計の騒音検査の期限が切れたものを渡され、その際にも「貸し出した騒音計の計測値は目安でしかないです(証拠にならない)」と念押しされるのだそうです。証拠能力のあるものが出てしまうと環境保全課がきちんと義務を果たさなければならなくなってしまうので仕方ありません。
そこで環境部の立場に立って簡単に対応を終わらせる方法を考えて見ました。川口市の環境保全課が相手をするのは現地に住む素人しかいません。そうなると環境基準や騒音値のことなんて分かる筈がないので調査結果として「職員が現地で騒音と振動の発生を確認しました」とでも適当なことを言っておけば解決です。もしも後で数十万円単位の資金を掛けて市民が業者に依頼して騒音や低周波音の発生が確認されて責任を問われたとしても環境保全課の方針として罰則の無い地域区分の計測は行っておりませんとでも言って煙に巻けば良いのです。
念のために付言しておきますが環境測定を行うことは生活環境保全課の義務ですから当然行うべきことです(寧ろ計測せずにどうやって解決することが出来るのでしょうか?)
最後に
以上のように今回の問題は川口市で発生している公害です。
公害ということは川口市が解決しなければならない問題です。これが為されていないということは川口市行政の問題であるということです。
更に深掘りすれば環境問題を起こしている資材置場を取締る環境部。中でも公害苦情相談員の置かれている生活環境保全課が環境計測等を放棄して機能不全を起こしていることが解決の大きな障壁となっているのは間違いないと思いました。
それでは今日はこの辺で
※埼玉県生活環境保全条例
(規制基準の遵守等)
引用:「埼玉県生活環境保全条例」-埼玉県法規集
第五十条 知事は、第一号から第三号までに掲げる工場若しくは事業場若しくは第四号に掲げる作業場等における事業活動又は指定土木建設作業において生ずるばい煙、気化した炭化水素類、粉じん、有害大気汚染物質、排出水、騒音、振動又は悪臭(以下この項において「ばい煙等」という。)の排出又は発生について、指定施設、当該工場若しくは事業場若しくは当該作業場等を設置している者、ばい煙等を排出し、若しくは発生する者又は指定土木建設作業を行っている者(以下この条において「工場等の設置者等」という。)が遵守すべき基準(以下この節、第九章及び別表第八において「規制基準」という。)を規則で定めるものとする。 一 指定施設を設置し、又は指定騒音作業を行う工場又は事業場 二 指定悪臭工場等 三 有害大気汚染物質又は排出水を排出する工場又は事業場で別表第五に掲げるもの 四 騒音又は振動を発生する作業場等で別表第六に掲げるもの
別表第六(第五⼗条、第五⼗九条関係) ⼀ 廃棄物、原材料その他の規則で定めるものを保管するために屋外に設けられた場所で、⾯積が⼀五〇平⽅メートル以上であるもの ⼆ ⾃動⾞駐⾞場(駐⾞場法(昭和三⼗⼆年法律第百六号)第⼆条第四号に規定する⾃動⾞の収容能⼒が⼆〇台以上のものに限る。) 三 トラックターミナル(⾃動⾞ターミナル法(昭和三⼗四年法律第百三⼗六号)第⼆ 条第六項に規定するトラックターミナルをいう。)
下の記事を参考にして貰えれば幸いです。
川口市が測定をしなくて良いとしてしている根拠については下の記事
逆に川口市が問題を解決なしくてはならない法的根拠についてが下の記事です。
(問題を放置している川口行政の方が驚きだったりはするのですが)