今日もファスト&スローを読んで思ったことを書いてみます。
現在が第4章の連想マシンを読んでいるのですが、やはり人というのは有形無形に関わらず様々な影響を受けながら生きているのだなぁと思います。
自室からの影響を考えてみると仕事が終わった後に大抵の人は家に帰ります(バイオレンスな彼氏が部屋に居着いて帰ってくれなかったり、家庭が上手くいっていないので家に帰れない気弱なお父さんといった人達は除く)そう考えると生活する上で多くの時間は自室で過ごすことになります。
そして自分の部屋は大家さんに怒られない程度には好きなように出来ます。例えば、好きなアーティストのポスターを貼ったり、家具などのデザインをゴシック調のもので揃えたりといったように自分の好みのものに変えていくことが可能です。それは自分の心を部屋に反映させる創作物という見方も出来るのではないかと考えます。そして、創作活動が自分の心の反映であれば、その創作物から自分が影響を受けるということも十分に考えられます。そして部屋が汚いということは自分の心が部屋と同様の状態である可能性も考えられますし、その影響を受けた自分の心が似たように荒廃する可能性が考えられます。
人は周囲のあらゆるものから影響を受けます。例えば単なる面倒臭がりで部屋を片づけていないだけでも、長く居る部屋の汚さから自分に影響を受けることが考えられます。そして汚いものから受ける影響が良いものであるとは考え辛いです。
レディ・マクベス効果
人は自分が悪事を行ったり悪いことを考えたりといったように罪悪感を感じる行為を行った場合に代償として体をきれいにしたいと望むようになるそうです。
海外で行われた実験
「W□□H」「S□□P」という虫食いの単語を完成させるように被験者に指示します。単語を完成させる直前で何か恥ずかしいことを考えるように指示された被験者は、
「WISH(望む)」「SOUP(スープ)」よりも
「WASH(洗う)」「SOAP(ソープ)」を選ぶ確率が高くなるそうです。
他にも被験者が人の背中を刺すことを考えただけで、電池、ジュース、チョコレートよりも、石鹸、消毒液、洗剤を買いたくなるといったこともあるそうです。
以上のように人は魂が汚れたと感じた際に無意識に汚れを落としたいと考えるようです。その為に汚れを関連した単語を思い浮かべていることが考えられます。つまりは無意識に罪悪感を払拭したい。しかし心を実際に洗うことは出来ないので体を洗うことで代償とする。これをレディマクベス効果というのだそうです。
他にも似たような実験として
被験者に架空の人物に電話かメールで嘘をつくように誘導します。
その後に何が欲しいか調べると、
電話で嘘をついた人は石鹸よりもうがい薬を選び、嘘を付いた喉をうがいによって洗い流すことを望み。
メールで嘘をついた者はうがい薬よりも石鹸を選び、人を騙すためにメールを打った手を洗い清めようと望むのだそうです。
先に述べたようにレディマクベス効果によって無意識に罪を洗い流したいと考える場合にも、より具体的に罪を犯して汚れの原因となった、箇所を洗い清めたいと望むようになるそうです。
こういった点から考えても汚れというのは多くの人の中で悪いものという共通認識が有り、罪悪感等を感じて心が汚れたと感じた際に、その気持ちを払拭する為に思い浮かべる比喩となる程度には定着しているようです。
関連して思うのですが、例えば自分が大事にするものが有るとします。新しいバット、貴重なギター、高い服。それらは時が経ち使用されたのに相応しい汚れを獲得するにしても掃除やクリーニング等の手入れをまめに受ける事で総じて可能な限りきれいにされている筈です。それは大事なものを大切に扱うという当たり前の行為だからです。
では、自分自身を大事にしていますか?と問われた場合、貴方はどう思いますか?
これは意外と答えに窮する問題であるように思います。
その問いに答える一つの指標として部屋がきれいであるのかどうかというのを判断基準に含めてみても良いかもしれません。
筆者自身を例に挙げてみれば、自分のキャパシティを越える仕事を行っていた時、所謂ブラック企業に勤めていてメンタルも体調もボロボロで実績も出せなかった時の自分の部屋は汚れていました。単純に仕事で忙しかったり、生来のずぼらである事を差し引いても酷いものでした。当時を思い返してみると自己評価は著しく低下していて、電車での飛び込み自殺で駅で足止めされれば自分も飛び込んでみるかなぁと考えて自殺者の方に対して同情でも嫌悪でもなく仲間意識に近いものを感じている始末でした。そんな状況ですから汚れた部屋というのは自分のセルフイメージに合致していたのか不快感も違和感も感じず、自分には汚い部屋がお似合いだ程度に受け入れていたのではないかと思います。
そんな状況から逃げるように転職した先は半分ブラック程度の環境で実績を出せるようになってくるのと連動するように汚い部屋に違和感を感じるようになって掃除をして徐々にですが、きれいになっていったように思います。これは自分の時間が作れるようになったこと以上に自己評価が高くなった事が大きな要因であったのだろうと思います。
自分の部屋が汚い場合それは自己評価の低下として現れていませんか?もしも自分なんかと自己評価が著しく下がっている時には先ず自分の部屋の掃除をしてみてはどうしょうか。それは貴方自身を大事にする行為だからです。きれいになった部屋はきっと貴方に良い影響を与えてくれると思いますよ。
それでは皆に幸あれ
参考図書