読書感想「体は全部知っている」吉本ばなな(著)

人体模型 徒然日記


作者:吉本ばなな
発売:2002/12/6
出版:文藝春秋

短編集でタイトルには「体は」という文字が入っています。
それぞれの物語の内容としては感覚的な描写の多かったように思います。
おそらくは、感覚、感情といったこれらのものは全て頭の中だけで処理されているのではなく、その体調にも左右される。
これら感情や感覚を感じるプロセス。
もしくはそれら一連を含めて体の一部分であると言うことも出来ると思うのだけれど個人的な経験で言わせて貰えれば女性のストレートなようでいて時に矛盾していて複雑怪奇とも言える感性がそのまま描かれているといった印象も受けた。

正直、書いている私は男性なので女性を本当に理解出来ているのか?と聞かれれば表面的なことしか理解できていないだろうし分かった積りで女性側が合わせてくれているだけで実は何も分かっていないだけという気もするのだけれど。

女性の作家の作品を読むと、男と女はやはり違う生き物なんだなぁと思うことがあるのだけれど、これは特にそう感じることが多かった。
時に女性は「子宮でものを考える」と言われているのを聞いて何のこっちゃいな?と思っていたのだけど、
この作品を読んでいてもしかしてこういう事なのか?と何となく存在していることだけは分かったような気がします。

結局のところ人の精神と体は密接に繋がっていて、体が悪ければ精神面もリンクして悪化する。
そのため体が求める行動を取ることで精神面を救う事もある。
こういった体側からアプローチしている話が多かった気がします。

という話を同じく吉本ばななの好きな女性に話したらオマエは何も分かっていないと言われたので、やはり男と女の間には暗くて深い河があるというのは本当だなぁと思った次第です。