グラース家の長男、シーモアの話。
と、言ってもシーモアは最後まで出て来ません。
話の筋だけ言うと、シーモアの結婚式に呼ばれた弟のバディ、結婚式に行ってみるとシーモアは結婚式には表れず、しかも自殺してしまう。
ついでに言うとシーモアの自殺した理由と結婚式に表れなかった理由が語られる事はありません。
サリンジャーの書き続けている一貫としたテーマみたいなものはここでも変わる事なく描かれています。
それは疎外感、妥協していく事への拒否。
イノセントみたいなものが求められている事は全く変わることはありません。
この人の文章にある、疎外感、孤独といったものとはまた違う、一種の突き放したトーンはここに来て一層に冴え渡っているので、興味のある方は一度お試しあれ。