私にはファッションというと浮ついた軟弱者のやること的な古臭いイメージがあったのですが、いつの頃からからそういうことを言うと周りからうわぁって顔をされるようになったので今ではファッション肯定派です。

実際問題として男はファッションなんか気にせず中身で勝負とか言っているおっさんは知らん人からすればいくら中身が素晴らしかろうが何だろうが悲しいかな見た目は単なるむさいおっさんでしかないのです。
お洒落に気を使うというのは自己を主張する為とも言われますが、悪目立ちするリスクを考えると余りはみ出し過ぎるのも考え物です。
その匙加減というのは中々に難しいようです。
しかし他者と自分が違う存在であるということは、やはりある程度は主張しないといけないのかもしれないと思ったので今日は書いてみます。


よく行くスーパーのレジに見た目は高校生から20そこそこ位で痩せた背の高いという共通した特徴を持つ外見の男性が二人います。
なぜか二人が同じ日に入ることは見たことがありません。

その二人は見た目が似ているのに能力などは似通らなかったようです。
一人は「どうせバイトだから・・・」的な空気を纏っています。
従ってレジを打つのも遅く、つり銭もキャッシュトレイに放り投げるように置くので頗る感じが悪く対応して貰うと大なり小なり不快感を感じさせてくれます。きっと彼は社会全体に対してか、それともバイト先のスーパーに大きな不満を抱えているんだろうと思います。
彼をそうですね。ダメ夫君と呼びましょう。

もう一人は、もの凄く丁寧な接客をしてくれます。丁寧にお辞儀をしてくれますしお釣りも音を立てないようにして置いていて気を遣っているであろうことが分かります。彼を見ていると日本の若者も捨てたものではないと思わされます。
こちらの彼を良夫君と呼びます。

これは完全な私の偏見ですがダメ夫君は遊ぶ金だけは欲しいのでしょう。
週に3~4日レジに入っています。

良夫君はきっと学業が忙しいのだと思います。
週に1~2日程入っています。

ダメ夫君は意外と長く続いているので他の常連客も彼のことを認識しているのか、レジでダメ夫君の所が空いていても他のレジに並ぶという光景を見て、おまえスーパーでそれをやられるって相当だぞと驚かされます。
ただ、ここはダメ夫君の良い所で「2番目に並んでいるお客様どうぞ」等と気の利いたセリフが出る筈も無く表情が変わることも無くただ立ち尽くすのみです。
私はその姿を見ると、いや、もしかしたら彼は悟りを開く修行をしているんじゃないかと思うことすらあるのです。
そこには、ただ虚無が広がっています。

ただ、かわいそうなのは良夫君です。
ぱっとした見た目でダメ夫君と良夫君は一緒に見えるので、良夫君もダメ夫君と同じように常連客から避けられているのです。

ダメ夫君はあれだけ露骨に常連客から避けられているのに気付いていても超越的な図太さを持っていて楽が出来て良いと思っているのか、これまた超越した感覚を持っていて気付いていないだけなのか分からないですが、常連客から毛虫の如く扱われてもその態度が変わることは全くありません。
人からの評価に汲々としている私から見たら超人ですよ。
私はときどき彼が羨ましいと思う程です。

おっといけません。良夫君の悲劇について書こうと思ったのに、ついつい彼の持つ強烈なグラビティに引き寄せられてしまいました。
話を戻しまして良夫君です。
彼の出勤日は少ないので少しレアなキャラです。
その為ますます他の常連客から見た目の似ているダメ夫君と間違えて避けられているのです。
しかもダメ夫君と良夫君の二人が同じ日に出勤が重なることも無いので良夫君は自分が避けられている理由がダメ夫君と見た目がキャラ被りしているだけだということに気付く由も無いのです。
そして良夫君は普通の感覚を持っているようで、これだけ避けられるのは自分の接客に問題があると考えているのか、入った当初よりも接客は更に丁寧になっているのです。
その移り変わりを見ていると「君の悩みは茶髪にでもしてダメ夫君との見た目キャラ被りを解消すれば一発で解消するよ」とでも言ってあげたい思うのですが、そんなことを言ったら不審がられるだけなので、心の中でいつも「君は全く悪くないけど頑張れ!」と応援しているのです。

しかしダメ夫君は金髪やモヒカン刈りにする等のもっと彼の内面を表すのに相応しい見た目があると思うのですが、見た目だけはヒョロイ真面目そうな見た目を貫いています。
そこで考えたのですが、ダメ夫君も良夫君の存在を知っているのかは分からないのですが、彼は見た目が良夫君と被っていることで良夫君が獲得しようと頑張ってお客さんから好かれる為に取っている行動で得られる筈だった好意を意図せずに受け取っている可能性があるのです。
タイミングによっちゃあお客さんから「あなたいつも頑張っていて偉いわね」位の労いは受けているのかもしれないのです。
ダメ夫君なのにですよ。
そうでなくても黒髪で真面目そうな見た目をしていて初対面であれば真面目な青年として周りは接してくれる筈なので、彼のような内から滲み出る凶暴さを持つ人間からすれば真面目な格好をしている方がメリットが大きいのかもしれません。それか単に見た目に気を配らない真面目系クズで意図せずにメリットを享受しているのでしょう。
そう考えるとダメ夫君が中身の分かる格好をしていると、ああ、やっぱりそういう人なのね。で誰も相手にせずバイトもクビになるか、そもそも雇って貰えないというリスクしかない訳ですから彼にとって今の格好をしているのは社会全体から見ればデメリットでしかありませんが彼にとってはメリットの方が大きいのです。

そしてダメ夫君に間違われるというずぶ濡れの衣を着込んだ良夫君はお客さんから「オマエはもっと真面目に働かねえとダメだぞ」的な説教をされている可能性すら考えられます。
下手したら「今日じゃないんだけど、このまえ来た時に釣銭を投げられたんだ。オマエの所は従業員にどういう教育してんだ。あそこでレジ打ってるヒョロイあいつだよ。アイツ!」等とクレームを入れられている可能性すらあるのです。
良夫君にとってダメ夫君と間違えられることで得られるメリットは皆無なので、理不尽ではありますが見た目を変えるべきは良夫君の方なのです。

もしかしたら良夫君は人に対してもっと好奇心を持つべきなのかもしれません。
あれだけ見た目が似ていればパートのおばちゃん辺りから「良夫君はダメ夫君て似てるわよね」等と言われている筈なのです。
その時に「ダメ夫君てどういう人なんですか?」くらい聞いておけば「ダメ夫君はダメな人よ」とか「本当に言うことを聞かないのよね。自分だけは正しいと思ってるのよね。きっと中身が腐ってるのよ」等という情報を仕入れられた筈なのです。そうすればダメ夫君と間違えられるのはヤバいと思って髪型だけでも変えるという判断がついたと思うのです。

何だか書いていて良夫君は見た目だけで何でこんな理不尽な仕打ちを受けなければならないのだろうと思えてきたのですが、やはり見た目によってただ乗りをする気がないなら、ある程度の自己主張って必要なんだなという結論へと至りました。

それでは今日はこの辺で

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投稿者: 悲しい笑い

新卒でいきなりブラック企業に入社してから数々のブラック企業を渡り歩いた途中でどさくさに紛れて営業マネージャーをやったり新規事業の立ち上げ等を行っていました。 投稿はその都度、興味の湧いたものを書いています。