「人喰いの大鷲トリコ」をマネージャーがプレイした方が良い理由

長い間、我が家で積みゲーとなっていた「人喰いの大鷲トリコ」をようやくプレイしました。

この作品は「ICO」や「ワンダと巨像」を手がけた上田文人が監督を行っています。プレイしてみて驚いたのは前作から正統進化したグラフィックの精巧さです。

そして、あの頃と変わらず舞台と登場人物たちは用意するが多くは語らず、空白はプレイヤーが勝手に想像する。ある種ボールの行方はボールに聞いてくれ的な突き放したスタンスは相変わらずです。
ですが、それを既に筆者の悲しい笑いは「ICO」をプレイすることで調教済みですので喜んで受け入れます。

今回は特に強い力を持つわけでもない少年が主人公です。
と、思ったのですが訂正させて貰います。
目も眩むような高さかをピョンピョン飛び跳ねて移動するわ、おまけに躊躇なくそこから天国へ続く大空へダイブしていくというその勇気だけでも尊敬に値します。
いや、本当に。
このゲームをやるのに向かない人は高所恐怖症の人だと思う程です。筆者は精巧に作られた画と相まって何度プレイしていて足が竦んだことか数え切れません。

そしてゲームを進めていて会社で後輩の指導や部下を持ち始めたマネージャーに是非ともやって欲しいと思いました。
会社で無駄に行われるマネージャー研修を受けてパワハラやセクハラを繰り返すんだったら2、3日程度、どっか部屋に籠ってこのゲームをプレイした方がよっぽど有能なマネージャーなれると思うのです。

このゲームは鎖に繋がれた大鷲のトリコと主人公の少年が出会うことからスタートします。
そして大鷲のトリコの協力なしでは先に進めません。
初めの頃はトリコが全く言うことを聞かない。早く先に進める為にはこの無能な獣の力が必要なんですが、所詮は畜生ですから全く言うことを聞きません。あまつさえ無駄に元来た道を戻って行ったり(これは言うまでもないことですが、その場合は彼が戻ってくるまで待たなくてはならない)そのうえ無駄に吠えたり休んでいたりといった具合に何度コントローラーをぶん投げて中古屋にこのクソゲーを叩き売ってやろうと思ったか数知れません。
しかしトリコは可愛いのです。そのクリクリしたつぶらな瞳が無ければ正直クリアまで耐えられなかったことは告白しておかなければなりません。
おまけに操作性が悪く主人公の少年は何度となく飛び降り自殺を繰り返します。この操作性の悪さが難易度の上昇に繋がるのってどうなの?といった悪い点を挙げるとキリのないゲームでもあります。

しかしです。考えてみるとトリコの動きは後輩や部下の教育を行ったり部下と一緒に仕事をする時と重なる部分が多いのです。
こちらの意図を汲まずに自分勝手なことをやったり、ここで力になって欲しいと言う時に全く見当違いなことをしていてクソの役にも立たないのと一緒なんです。
でもトリコの協力が無ければ先には進めません。仕事と一緒です。結局のところ一人では何も出来ないのです。
ですが、このトリコは主人公を必死に敵から守ってくれたり、鳥なので鳥よけっぽいオブジェに怯えて主人公に頼ってくれたりといった具合に気が付けば自分がいないとコイツはダメなんじゃないかとも思うようになるのです。気付けばトリコに対して抱いていた痒い所に全く手が届かない図体だけでかいデクノバー具合への怒りは、いつしか愛しさに変わっていることに驚きます。正直、あのクソ共にもそう思えたら良いのにと思う程です。

ここで少し話が戻るのですが、主人公の少年のポンコツ具合も相当なものです。何でおまえ目の前の足場にジャンプしたいのに何もない広い空へとダイブしちゃうんだよ。アレか?元いた世界は地獄か?地獄のような自分の世界に戻る位なら空に浮かぶ天国へ飛び立ちたいとか思ってんのか?ベストエンドはパトラッシュ・トリコと一緒に寝ちゃったら天使が迎えに来ちゃう的なアレか?的な正気を疑う行動も数多く取ってくれる主人公を見ていて、なんかトリコは可愛く思えるようになってきたから許せるけどオマエは可愛くないから許せん!!とマジ切れしたこと数多ではあるのですが、これも考えてみると仕事でも大抵の場合に一番のポンコツは自分だったよなぁ等と我が身を省みる良い切っ掛けになってくれたりもします。

このようにマネジメントに求められるであろう、他者は殆どの場合に於いて自分の思い通りには動いてくれないという事実を嫌と言う程に教えてくれる上に、でも、それを乗り越えると同様に殆どのことは上手く行くということも教えてくれるゲームです。

それでは今回この辺で