赤芝新田の資材置場公害問題について騒がれてから結構な時間が経ちますが全く解決していません。
川口市ではクルド人問題は主に治安問題としてクローズアップされていますが、それよりも彼らが経営する資材置場に関連した騒音や振動といった公害問題の方が大きい。且つそれが現状で放置している川口市政には失望しかありません。
先ず環境基本法で公害とは下記を指します。
「公害」は、環境基本法(2条3項)により、
事業活動その他の人の活動に伴って生ずる
相当範囲にわたる
大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって
人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること
総務省 公害等調整員会「公害とは?」
相当範囲についての明確な定義はありません。赤芝新田一帯に広がっているので十分です。
例えば川崎公害では被害者である住民が地域一帯の企業と国と市を訴えています。
公害と言える理由について細かくは下の記事で書きました。
結局、行政にいくら被害を訴えても解決しないということで困り果てた被害者の人達は陳情書を出す羽目に陥ります。
地方自治体としてこれほど恥ずべき事態は無いはずなのですが解決する兆しすらありません。
そして川口市の公害担当は環境部 環境保全課です。
資材置場は公害を起こしても川口市から取り締まられることがないので環境コストを掛けずに済むので儲かります。
故に国から人を呼んで事業を拡大させていくのです。
前置きが長くなりましたが川口資材置場公害問題の被害者達から出された陳情書の趣旨を見て川口行政の対応に対して思ったことを書いてみたいと思います。
- ( 陳情趣旨 )
- 赤芝地区自治会内における外国人の資材置き場に関して、これまで市が立ち入り調査を行ってきたが、 改善が見られない。
- 1 置き場周辺の市民は、 狭い道路に加え、 頻繁に往来する大型車両の通行の為、危険にさらされている。 この置き場における進入路は、道幅が狭く往来も危険であり、且、積載重量が重く、 舗装を傷めている。
- 2 早朝より、 夜遅くまで作業をしている為、高い囲いはあるものの地形上、置き場内での積み下ろし作業やコンクリートの破砕作業などの作業音が近隣に響いており、騒音被害を受けている。
- 3 これまでの立ち入り調査は、市職員の勤務時間に合わせた調査の為、早朝の積み下ろし、夜間作業においては、勤務時間内ではないため、行政は詳細把握が出来ていない。
- 4 市の改正条例では、令和4年7月1日以降の置き場設置においては届け出を成さねばならいとあるが、それ以前に設置されたものは、除外となる。
- 5 置き場内において、 産業廃棄物の保管やコンクリート殻の破砕行為は、中間処理施設の認可を受ける必要がある。この置き場は、認可は受けていない。
- 6 この置き場の土地所有者は、外国人で管理者も明確ではなく、 区割りして数社の解体業者に賃貸している。故に、管理責任も明確ではない。近隣住民と解決策を協議できるものがおらず、 行政による明確な指導と新たな条例策定と施行を求める。
( 陳情趣旨 )
赤芝地区自治会内における外国人の資材置き場に関して、これまで市が立ち入り調査を行ってきたが、 改善が見られない。
川口行政に思う事:
行っただけで公害が解決するなら誰も苦労はしません。
パトロールの際に6か国語で訳されたリーフレットを置いて来ているそうですが、全く解決しない現状を見ると意味が無いということです。
1 置き場周辺の市民は、 狭い道路に加え、 頻繁に往来する大型車両の通行の為、危険にさらされている。 この置き場における進入路は、道幅が狭く往来も危険であり、且、積載重量が重く、 舗装を傷めている。
川口市の対応について思う事:
>狭い道路
この狭い道を荷物満載のトラックがビュンビュン走っていて子供の通学路にもなっているとなると心配になるのは無理からぬことです。
赤芝新田の資材置場が置かれている場所。
信じ難いことに学校や老人ホームの直ぐ近くにもあります。
神根中学校の直ぐ近くに資材置場があります。
更にガードレールが車にぶつけられたか何かで凹んでいるのを見ると不安を煽ります。
2 早朝より、 夜遅くまで作業をしている為、高い囲いはあるものの地形上、置き場内での積み下ろし作業やコンクリートの破砕作業などの作業音が近隣に響いており、騒音被害を受けている。
川口市の対応について思う事:
資材置場の開始時刻は早いです。
従って被害を受けている住民は朝から叩き起こされることになります。
おそらくですが騒音の他にも積み荷の上げ下ろしによる振動や重機などのエンジン部から発生する低周波音による被害も出ているのではないでしょうか。
これらに対して赤芝新田が区域的に市街化調整区域である為に行政で何も出来ないという話は聞きます。
でも、赤芝新田は人が住む場所ですよね?
住民が勝手に家を建てて不法に家を建てて住んでいる訳ではありません。
行政に住宅を建ててここに住むという申請を行い許可を得た上で住んでいます。
川口市は市街化調整区域に住宅の建築許可を出しており、住宅が建築されるということは人が住むということです。
つまり川口市は住む環境を保全する義務があります。
赤芝新田のICから資材置場に向かっていく道路を見ると住宅が建ち並んでいます。
このように市街化調整区域といっても実態としては住居地域であれば同様の対応を取るべきです。
市街化調整区域に住む者は公害被害に遭っても救われない等という法令も条例も存在していないからです。
寧ろ公害被害を救済するにあたって地方自治体は尽力するべきであると定められており、もちろんこの中に市が買い調整区域は除く等という文言はありません。
(地方公共団体の責務)
地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
環境基本法 第七条
しかし未だ解決されておらず現状は変わっていない。
これは川口市 環境部 環境保全課の不作為以外の何者でもありません。
加えて小学校や老人ホームといった場所には騒音や振動等の観点から配慮が求められています。
調べてみると環境省から指定区域に改めるよう出されていました。
特別区及び市の市街地等に限定することなく住居が集合している地域、病院又は学校の周辺の地域その他騒音の防止を図る必要のある地域に拡大されたので、この趣旨に沿つてすみやかに次の点に留意のうえ、必要な地域については指定地域に改めるよう措置すること。
1 住居が集合している地域、病院又は学校の周辺の地域以外の地域であつて、騒音の防止を図る必要のある地域としては、図書館、老人ホーム、保育所等の静穏を必要とする施設の周辺の地域であつて、土地利用の状況等から判断して騒音の防止を図る必要があると認められる地域であること。
>すみやかに
因みに環境省からの通達は昭和46年09月20日です。
川口市では100年位ならすみやかに分類されるのでしょうか?
老人ホームや学校。それと住宅が集まっている地域でもあるので指定区域として変えるべきのように思えます。
他に川口市議会の答弁を見ていると資材置場についての質問が出された際には都市計画部長が主に答弁している点が気になります。
本来、公害を受け持つ環境部は添え物のように登場しています。
環境測定をすると騒音や振動、野焼きによる大気汚染や土壌汚染の存在が明らかになって否応なしに公害担当の環境部が受け持つことになる筈なのですが環境部 環境保全課が測定をしないという話も聞きます。
実は〇〇dB以上の音は騒音とするといったような明確な定義は存在しません。
但し環境省で騒音に対して基準値を設けており「環境基準の施行後直ちに達成され、又は維持されるよう努めるものとする」となっています。
騒音測定をすると環境基準を超えた客観的に騒音被害に遭っていると言える数値が明らかになってしまうので、測定しないことで個人の苦情として処理しているのではないかと邪推してしまいます。
3 これまでの立ち入り調査は、市職員の勤務時間に合わせた調査の為、早朝の積み下ろし、夜間作業においては、勤務時間内ではないため、行政は詳細把握が出来ていない。
川口市の対応について思う事:
一番ありえないと思いました。
川口市は夜間休日は公害を起こしても良いということです。
ここで少し環境保全課を弁護してみましょうか?
調査する川口市職員だって人間なんです。
自宅でゆっくり寛いで早朝に叩き起こされたり夜間に寛げないなんてことなくビールでも飲んでゆっくりしている時間が必要です。
そんな時間を公害対応なんかで邪魔されてはいけないんです。
例え川口市民が被害に遭っていても知ったことではありません。
何かの寓話になりそうですね。
「公務員の生活環境を保全する為なら市民の生活環境が奪われても良い件」
すみません。ラノベ風のタイトルになってしまいました。
内容:主人公の持つ特殊スキルは鋼の心。
市民の陳情を鋼鉄の意思で無視出来るメンタルです。
休日の朝は優雅にコーヒーでも飲みながら
「あのクレーマー共、朝から叩き起こされてるんだろうな。
目覚ましいらずで早起き出来て良いじゃねえかw
ゲラゲラゲラ」
と救うべき人たちを踏み台にすれば公務員は幸せになれるという地方自治という概念が空虚なお題目に過ぎないと知らしめる寓話として使えると思うのですが如何でしょうか?
4 市の改正条例では、令和4年7月1日以降の置き場設置においては届け出を成さねばならいとあるが、それ以前に設置されたものは、除外となる。
川口市の対応について思う事:
川口資材置場公害事件が起きる。
これを起こしているのは言うまでもなく条例制定前からある資材置場です。
解決する為には、この既存の資材置場を取り締まる必要がありますよね?
川口市資材置場の設置等の規制に関する条例が令和4年7月1日に施行されました。
1,条例前からある資材置場は規制対象外。
2,500㎡以下も対象外。
1、についての理由は
「私有財産である既存の不適切な資材置場を事後的に規制の対象とすることは困難」
だから被害者の人たちは憲法で保障された生存権を脅かされている状態で我慢しろ。
川口市は生活環境を保全する義務を負っていないということになります。
2、についての理由は
「500㎡以上のものは面積ベースで全体の8割以上を占める」
川口市に資材置場の数で500㎡以上のものはいくつあるんですか?と質問したところ
「分かりません」
と返答されました。
これで本当に問題が解決されるのかと思ったのですが、全く解決されていない現状を見るとそういうことです。
そして条例制定のステップを見てみましょう。
1,条例案を考える
2,パブリックコメントを募集する
3,議会で承認する
4,市長が布告する
この条例を川口市議会議員で構成される川口市議会が承認。
川口市長である奥ノ木氏も条例に問題があるとした場合に拒否権がありますがこれを行使せずに布告して条例を制定。
川口市議会議員と行政の長である川口市長である奥ノ木氏は何を考えて条例を制定させたのか?
理解に苦しみます。
ただ付け足しておくと、この資材置場条例で公害問題は解決しません。
3.立入り防止及び生活環境悪化防止
資材置場の利用者以外の者の立入り及び騒音、振動又は粉じんの発生による周辺の生活環境の悪化の防止を図るために必要な措置を講じていること。措置の技術的基準は、高さ1.8メートル以上の板塀その他これに類する囲いを設置すること。ただし、周辺の状況により立入り及び周辺の生活環境の悪化の防止に支障がないと市長が認める場合は、この限りでない。
公害防止の役割として条例の規制に入っていたとしても
当該資材置場の周りを1.8mの塀で囲めば事業者は問題ないと川口市はしているのです。
ありえないです。
良いですか?
1.8mの板塀で完全に密閉されている筈もないので隙間も空いているでしょう。
その隙間を騒音は素通りします。
振動は塀があっても関係ありません。
野焼き等の大気汚染や土壌汚染に対しても意味はありません。
この条例は資材置場からの公害問題を解決させるとして制定されましたが、その実は資材置場からの公害を条例の規則に沿っているから問題ない。
環境保全課は測定をしないので例えば騒音被害を訴えてもクレーマー事案として処理出来そうです。
このように解決どころか資材置場が発生させている公害を正当化させる恐れすらあります。
何を目的としてこの条例が制定されたのでしょうか?
おそらくですが、これでも川口市は問題を解決しようとしているとして時間を引っ張れるだけ引っ張り、次に漸く規制対象外の資材置場を条例の対象に入れる改正を果たしましたとする。
しかし、この条例は公害問題を解決するものではありません。
公害問題については県庁の定めた環境保全条例が問題だから仕方ないとして再び数年の時間を稼ぐ。
そうしている間に被害者が諦めて引っ越していなくなるのがベスト。
それとも政治マターで資材置場の事業主達を取り締まることの出来ない事情が存在しているのでしょうか?
何れにせよ、このように被害者である市民を騙すようなやり方には悪意さえ感じます。
5 置き場内において、 産業廃棄物の保管やコンクリート殻の破砕行為は、中間処理施設の認可を受ける必要がある。この置き場は、認可は受けていない。
川口市の対応について思う事:
許認可すら無視し始めていることに驚くべきなのか、許認可の確認すらしていない川口行政に驚くべきなのか・・・
6 この置き場の土地所有者は、外国人で管理者も明確ではなく、 区割りして数社の解体業者に賃貸している。故に、管理責任も明確ではない。近隣住民と解決策を協議できるものがおらず、 行政による明確な指導と新たな条例策定と施行を求める。
川口市の対応について思う事:
やはり川口市資材置場条例が何の役にも立っていないことがよく分かります。
しかし公害紛争処理法があります。
(苦情の処理)
第四十九条地方公共団体は、関係行政機関と協力して公害に関する苦情の適切な処理に努めるものとする。
2都道府県及び市町村(特別区を含む。)は、公害に関する苦情について、次に掲げる事務を行わせるため、公害苦情相談員を置くことができる。
一住民の相談に応ずること。
二苦情の処理のために必要な調査、指導及び助言をすること。
三前二号に掲げるもののほか、関係行政機関への通知その他苦情の処理のために必要な事務を行うこと。
>二苦情の処理のために必要な調査、指導及び助言をすること。
環境保全課は法令に違反して権利関係を調べて権利関係を明確にする義務を果たしていない。
本来、川口資材置場公害は、きちんと環境測定を行った上で原因を調査して解決していく必要があります。
そうして得た結果を条例に反映させていけば自ずと川口資材置場公害問題は解決していく筈です。
ところが川口市は十分な調査を行っていない。
その為にどうすれば解決するのか自体が分からない。
従って問題を解決する事の出来る条例を作ることが出来ない。
誰が見ても無駄だと分かるパトロールやリーフレットを配ったりといった行動に終始せざるを得ない理由でしょうね。
このような有り様で問題のある資材置場に対しても助言指導など行うのは不可能な筈です。
恐らくですが対応法については「専門の業者に解決を依頼してください」と丸投げ。
それで相手が何か言ってくれば「苦情者が出ているが罰則は無いので(笑)」
とでもしてお茶を濁しているのではないでしょうか?
別の被害者の方から情報提供で被害を受けている資材置場への対応を市に依頼しているそうなのですが全く解決されずに数年が経過しており、いつ解決するのか尋ねた所「もう今月4回も対応したんですよ」というようなことを言われたと嘆いていました。
そりゃ意味のないことをいくら繰り返しても解決する筈がありません?
しかし意味の無い行動にも税金から給与が支払われています。
それを無駄にしている自覚はあるんですか?と担当職員に質問してみたい所です。
そして川口市議会 令和6年3月定例会 一般質問の中で
川口市は「必要に応じ現地調査や発生源である事業者への助言、指導を行なっております」と回答しています。
この発言の問題点です。
県庁の定めた環境保全条例で公害問題を解決出来ないので川口資材置場条例は作られました。
その公害問題を解決することの出来ない条例に基づいて行動する。
つまり環境保全課を含めた環境部は川口資材置場公害問題を解決しないと議会で宣言したということです。
それでは今回この辺で