筆者である悲しい笑いは猫が好きです。
しかし筆者は残念ながら猫から余り好かれません。
どれくらい好かれないかと言うと近所に公園があるのですが、そこには野性味溢れる野良猫達がいます。
その公園を歩いて見掛けた野良猫達を手懐けてやろうと近づくのですが一切、相手にして貰えません。
まぁ、近頃は物騒な時代ですから猫たちだってリスクマネジメントとして見知らぬ人間には近づかないという方策が必要なのかもしれない。
そう思って定期的に見掛ける猫にまめに声を掛けたりするようにして猫に自分を覚えて貰おうと思いました。
1か月後・・・。
私を見掛けたら猫が逃げていくようになりました。
その事実は私を随分と苦しめました。
ひょっとして私は猫から好かれない体質なのかもしれない。一生このまま猫から好かれない人生を歩まなくてはならないのかもしれない。それどころか私は無類の女好きでデブで禿げた上に臭いみたいな人物を女性が見るような目で猫から見られているのかもしれない。
しかし、そんなことで挫けていたら100回は自殺しなければなりません。
猫を手懐ける方法を考えます。
昔から猫はまるで女性のようだと言います。
先人曰く「猫と女は一緒、近づけば逃げ、近づかなければ寄って来る」
そんなことをどこかで聞いた気がするので故事に倣ってみることにします。
(同じ言葉ググってみたのですが該当の言葉は見当たらなかったので存在しない可能性有りです。その場合は悲しい笑いの名言として覚えておいて下さい)
例の公園で猫が見える位の位置に立って素知らぬ顔でいます。その態度は猫に対して「あれ?君いたの?」と言わんがばかりです。そうすれば奴さん「何だい?アンタもしかしてアタイに興味が無いって言うのかい?」そんな風になぜかあばづれ口調で焦って私に近づいてきてゴロニャンと一鳴き位はしてくれる筈です。
結果・・・。
今日は良い天気だなぁ何て言って猫の方を振り向いたら、もう何処かにいなくなっていました。
まぁ所詮は畜生ですから仕方ありません。
こういった高度な心理戦というのは人間にだけ通用するものだと諦めます。
しかし、このままでは野良猫に戯れることで孤独な心を癒して長生きすることすらもままならなくなってしまいます。
そこで考えました。
そうだ!!ギブアンドテイクの精神が欠けていたのかもしれない。
そうですよ。
無料でお触りしてモフらせて頂いた上に、そのお相手の猫からも自分が好かれる等というのは随分と虫の良い話です。仮に自分が猫だったとしたら、そんな都合の良い人間が自分に近づいて来たら即座に逃げ出すに違いありません。
馬鹿に関わるなという奴です。
同時に自分に問い掛けます。おまえは無償で猫にお触りして且つ相手からも愛を与えられると考える厚顔無恥な人間なのか?
否、私は断じてそのような恥知らずではない。
勝利を確信した私はエサで釣ることにしました。
猫と言えば魚です。某魚介類の名前を付ける呪いを受けた例の一家の物語を歌ったものでもお魚くわえたどら猫♪とあるので猫が大好きな魚を原料としてビーフジャーキーのように仕上げてキャンディのように包装してあるアレを餌にすることにします。
これをスーパーで酒のつまみの一つでも買うような顔をして体よく購入しました。
(アレの名前は「ツナピコ」「スーパーツナ」とか言うらしいです)
これで私は公園中の猫達から好かれるに違いありません。
例のアレを懐に忍ばせて公園へと向かいます。
しかし向かう道中で考えます。
もしかして私が行おうとしているのは金で愛を買う行為なのではないだろうか?
背に腹は代えられませんから、生きる糧を得る為には例え嫌いな相手からであっても腹が減って死にそうだという時には尻尾を振らざるを得ません。彼女(彼)達は生きていかなければならないのですから。
今から行おうとしているのは、その弱みに付け込もうとする卑劣な行為なのではないだろうか?
しかも奴らいくら可愛いとは言え畜生ですから尚更です。
正直、迷いました。
このまま踵を返してビールでも買って家に帰りツナピコをつまみにして別の手を考えた方が良いのではないだろうか?
そんなことを考えて公園について猫達を見つめます。
思いました。
ネコかわいい。
存分に撫で回した挙句の果てにモフッてやりたい。
奴らの鼻先でツナピコをぶら下げてやりましたよ!!
するとどうでしょう。
何と近づいて来て鼻を近づけるではありませんか!!
そして数秒後ネコは何処かに消えて行きました。
そうね。確かに酒のつまみとして愛されて来た商品ですから、猫には塩気が強すぎたかもしれません。危うく猫達の腎臓にダメージを与えてしまう所でした。もしもこれで猫がツナピコ中毒にでもなったら私は猫達にとっての麻薬密売人と一緒になる所です。
次はチーズで釣ることにしました。
もはや金で歓心を買うことに迷いはありません。
寧ろ既に金を稼ぐことも含めて貴様の魅力なのだと頭の中の敏腕弁護士の手によって無罪判決を勝ち取っています。
持って来たチーズを近くにいた白色の猫の近くでぶら下げてやります。
案の定ねこが近付いてきました。
今度はチーズの匂いを嗅ぐと迷うような仕草を見せます。
この様子に少し食べるには塊が大きすぎるものを出してしまったかと思い、食べやすいように小さくしてやります。それでも迷う様子を見せるので、自分もチーズを少し食べて毒ではないと分からせてやるのですが、それでも食べません。
知らん人が見ている前でものを食べないとは・・・。
さすが畜生の分際で今まで私の寵愛を拒んで来ただけのことはある。その慎み深さに感心してチーズを置いて私は少しその場を離れることにします。
少しして、その場に戻ると・・・。
茶色い色の猫がチーズを食べていました。
あの白い猫はお腹が一杯だったのかな?
まあ良い。
「やあやあ猫君。私がくれてやったチーズは美味いかね?ん?」
そう言いながら近づくと、茶色い猫は逃げて行きました。
まぁ、グチですよね。
それでは今回この辺で