実写映画「ドラゴンボール・エボリューション(DRAGONBALL EVOLUTION)」を見て思ったこと

フェイク画像 ツッコミ

この映画が上映された頃の日本はアニメの地位が今よりもずっと低かった時代でした。
当時は「アニメ好きなんですよ」と公言する人間は変質者として扱われた時代です。
なので当時からアニメ好きを公言していた人は狂人です。
これは言い過ぎとしても公の場で言えば眉をしかめられたのは間違いないです。
そんな時に我らがドラゴンボールが実写で映画化されると聞いた時はたまげたものです。

まさか実際に見て二度たまげることになるとは思わなんだ・・・。
そんな映画。

映画ドラゴンボール製作への道のり

製作発表の経緯から香ばしい。
2004年 実写として製作されることが明らかになる。
2005年 音沙汰無し
2006年 そんな話もあったなぁ位の温度感に落ち着く
2007年後半 製作費1億ドルの超大作として製作中であることが明らかになる。
マジで?って言うかまだやってたの?
その後、更に製作費は1億ドルと言ったな?あれは嘘だ。
ということで実際の製作費は約4500万ドルと明かされる
_(┐「ε:)_ズコー

映画製作陣

プロデューサー:チャウ・シンチー(代表作「少林サッカー」当時は監督じゃねえんだって思った)
監督:ジェームズ・ウォン(代表作はジェットリーの出ている「ザ・ワン」になるかな?)
脚本:ジェームズ・ウォン、ベン・ラムシー
製作総指揮というか葬式あげられた気分だったんだろうなという人:鳥山明

意外と豪華でビックリ!
何と言うか当時の曖昧な記憶として「ドラゴンボール」の実写映画化の話は何度か立ち上がっては消えてを繰り返していたと思うので製作すると発表された後に音沙汰が無くなった時もまたか位のものでした。
もし本当に製作されたとしても個人的な期待感としてはハリウッド版「北斗の拳」位なのでなんかまたペチペチやんのかな?位の期待度。
後に舞台が「ユニテック高校」というスクールものであることが明かされたことで、ご祝儀代わりに劇場に行こうと思っていたのが、あ!これは劇場じゃなくて金曜洋画劇場で見れば良い奴だってなりました。

この限界まで下がった期待度を上回る(下?)の出来であったとことには正直、驚きを隠せません。
いつだって現実は想像を超える(ダメな意味でも)ということを知りました。

映画予告編での鳥山明

「脚本やキャラクター造りは原作者としては『え?』って感じはありますが、監督さんや俳優の皆さん、スタッフなど、現場は超優秀な人達ばかりです。ボクやファンの皆さんは別次元の『新ドラゴンボール』として鑑賞するのが正解かもしれません。もしかしたら現場のパワーで大傑作になっているかもしれませんよ! おおいに期待しています!!」

引用:「DRAGONBALL EVOLUTION」-wikipedia

勝手に超訳してみます。
「脚本やキャラクター作りは『は?』なんで?
設定は糞だけど。製作陣は自称優秀(笑)
あと鳥山明の描いた「ドラゴンボール」とは別物。
それと映画製作の途中で離脱したから良い出来かは知らん。
もしかしたらドラゴンボール(笑)位にはなっているかもしれないw

後にぶっちゃけた鳥山明

「脚本があまりにも世界観や特徴をとらえておらず、ありきたりで面白いとは思えない内容だった。注意や変更案を提示しても、製作側は妙な自信があるようであまり聞き入れてもらえず、出来上がったのも案の定な出来のドラゴンボールとは言えないような映画だった」

引用:「DRAGONBALL EVOLUTION」-wikipedia

更にぶっちゃけた鳥山明

『たぶんダメだろうな』と予想していたら本当にダメだった某国の実写映画と大違い」
引用:「DRAGONBALL EVOLUTION」-wikipedia

個人的には鳥山明って思ったより大人なんだなって思いました。
なんか途中で引き上げちゃいそうじゃないですか。
まぁ持ち上げて答えているインタビューもよく見たらボロクソに貶しているのはご愛敬と言うか皮肉ですな。

プロデューサーであるチャウ・シンチーは完全に逃げの一手。
プロモーション活動には「俺は関係ないから」と言わんがばかりに参加すらしていないありさまです。

結果めでたく映画サイトWatchMojo.com2000年代最悪の映画で第8位にランクイン!
(寧ろこれより酷い映画が7作もあったのか・・・)

何と言うか映画ドラゴンボールは製作陣にとってドラゴンホールとでも呼ぶべき落とし穴に嵌った気分だったのではないかと想像します・・・。

設定についてツッコミ

・悟空という名前なのに西洋人でいじめられっ子
(なんでやねん!)

・「氣」をキーっと語尾を伸ばして言う
(地味に嫌でした)

・でもヒロインは東洋人で肉食系女子
(舌なめずりして迫って来られたら外人でもひくと思うぞ?)

・亀仙人は中年のおっさん
( 君、弟子の悟飯より明らかに年下でしょ?)

・ヤムチャがチーマーのチンピラ
(しかもインドが混じるナマステ)

・かめはめ波は灯篭に火もつけられるし蘇生にも使える
(かめはめ波はそんなオロナインみたいに万能じゃねえよ!)

・悟空に心が無い
ヒロインからパーティーに誘われる悟空。
しかしその日は悟空の誕生日。
悟飯は悟空のためにケーキを用意する。
それを軽く無視してパーティーに向かう悟空。
「わし、パーティ行かなあかんねん」的な軽さ。
(いや、お前、そこは事前に必要ないことを事前に連絡してやるとかさ!
 悟空だったら「じっちゃん悪いな他で誘われてっから、いまコレ全部食っちゃうわ」的な片づけ方をして行くような気がするんだよなぁ)

・恐怖!怖いもの知らずの不良
パーティに行ったら不良に絡まれる悟空。
喧嘩をしないと約束していると言って手を出さない悟空。
しかし敵の攻撃は超人的な動きで躱す。
躱した攻撃は他の不良に当たってやっつけたりします。
そんな身体能力の高い奴は怖くていじめらんねえよ。

・更なる恐怖!数を数えられないブルマ
悟空がドラゴンボールを盗んだと思って襲撃するブルマ。
ブルマのドラゴンボールは 5つ星。
悟空の持つドラゴンボールは 4つ星。
ドラゴンボールが7つあることを知らなかったブルマ。
でもドラゴンレーダーを持っているなら複数あるのは分かるよね?
おまえは数を数えられないのか!
それと全てのドラゴンボールに5つ星が付いていると考えていたなら他のでも良いよね?

他に映画でブルマのフルネームはブルマ・ブリーフと明かされますがこれは映画だけです。
(原作でブリーフは父親の名前。勝手にフュージョンさせんなや!
って言うか天才のブリーフと天才のブルマがフュージョンして頭悪くなってどうすんだよ!
あと映画の世界観だとブルマが名前でいじめられていたのではないか心配)

全体の感想

取り敢えず原作へのリスペクトが欠片もないことは間違いないです。
冒頭でも触れた通り、この映画が公開されて色々な人が後悔していた頃はアニメもマンガも今より地位が低かった。

そこにハリウッド監督ですからね。
鳥山明もチャウ・シンチーも製作スタッフは提言を聞かなかったとあるので単純に調子に乗っていた時期だったか心の底からバカにしていたのどちらかだったんだろうと思います。
やはり原作ファンでもあった身として見ていて思うのは「俺達はドラゴンボールを使ってドラゴンボールより面白いものを作れるぜ!」という傲慢が鼻につくと言うか臭くて仕方ないというのが嫌われた理由なんだろうなぁと思います。

しまいには原作とぜんぜん違うじゃねえか!という批判に製作陣が「おまえら向けじゃねえから」と開き直る始末。

関係者の試写会で不満が続出した際に、製作側は「この作品はドラゴンボールファンのためのものではなく、新しくドラゴンボールのファンになる人々に向けて作ったものだ」と反論していたが、今回のタイトルも「映画は原作と違う」ということを世界の原作ファンに示す意図があるのかもしれない。

引用:「 実写版「ドラゴンボール」は原作の“進化版”? 急遽タイトル変更か。」-ナリナリドットコム

個人的にはじゃあドラゴンボールじゃなくて良くね?って思いました。

製作陣が目指していたのは実力を隠した主人公が活躍するベスト・キッドだったのだろうか?
ただ庇う訳ではないですが、ドラゴンボールという概念を除いて映画単体として見れば何であんなヒロインが肉食系なの?が気になる程度で名画座で2本700円位で上映している内の1本たったら結構おもしろかったなぁと思える位の出来で自分でお金を払ってまでして見たいとは思うけどテレビでやってたら取り敢えず録画予約を入れて置く位ので出来ではあったと思うんですよ。
昔は違法コピーされたゲームを出来るマジコンという機械もありましたからね。
「ドラコンポール」とかにしてポールで敵をひく程ぶっ叩いてやっつけてどっちが遠くまで飛ばすのかを競うとかにしておけばB級おバカ映画として愛される道もあったのではないかと思うのですよ。

それと映画冒頭でなんか棒で叩き合っていて、そういえば如意棒ってあったなあと思い出させてくれたのは収穫でした。
でも如意棒は原作ドラゴンボールの初めの方でしか出て来ないので製作陣の連中、原作も最初の方しか読んでねえだろって思いました。

最後に

脚本家であるベン・ラムゼイのインタビューで締めたいと思います。

「ドラゴンボール・エボリューションは私にとって、とても大きな汚点となりました。
脚本家として携わった作品が世界中で罵られるのは辛い。
世界中から苦情のメールが届いて心が折れそうです。
私は何年も批判から気を逸らそうとしましたが、脚本を書いたのは私です。
ファンの皆さんをガッカリさせてしまった責任は他でもない自分にあります。
最善を尽くしましたが、結局この映画を失墜させてしまいました。
私はドラゴンボールのファンではなかったのに、支払われる大金に目がくらんでしまいました。
情熱も無いのに取り組んでも、良い作品どころか時には薄っぺらなゴミが出来てしまうことを学びました。
もし自分が愛し期待していた作品がガッカリなものになったら、どんな気持ちか私にも分かります。
全てのドラゴンボール・ファンの皆さん、心からお詫び致します」

引用:「映画「ドラゴンボール・エボリューション」の脚本家がファンに謝罪」-GIZMODE

なんと言うか平謝りですね。

それでは今日はこの辺で