劇場版の前篇と後篇を見ていて思ったのは結局、この魔法少女まどか☆マギカの主人公は暁美ほむらであって、鹿目まどかというのは確かにタイトルにまでなっているけど主人公というよりかは象徴のような存在なのかもしれないと思っていたのが「 [新編]叛逆の物語」を見て確信に変わった悲しい笑いです。
*この先は「魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」を見ていることを前提として書いているため内容にネタバレが多く含まれているので注意願います。
新編の世界は複雑に見えるので先ずはその点と円環の理の関わりについて読み解いてみたいと思います。
先ず、魔法少女まどか☆マギカはいくつかの世界が存在します。
1つ目、まどかが人として存在していた世界(この中でほむらが時間遡行を行うことで作られた平行世界は除く)
2つ目、まどかが願いを叶え概念となったことで再構築され、まどかが存在しない世界
3つ目、魔女が作り上げた結界世界
4つ目、ほむらが2の世界を改竄した世界
1つ目の世界は、まどかが人としての生を送っていた世界です。
この世界ではほむらはまどかを救う為に魔法少女となり、まどかが魔法少女となることを阻止する為にほむらが時間を何度か遡ることで幾つかの平行世界が生まれ、結果として因果の糸が集まり最強の魔法少女となり最悪の魔女となることが宿命付けられる事となっていました。
魔法少女は希望によって生まれ、やがて絶望して魔女となります。
魔法少女が戦うのは嘗て魔法少女であった魔女です。
2つ目の世界は、まどかが「全ての魔女をこの世から消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女をこの手で」という願いを叶えたことで魔女となる運命から抜け出し、自らが魔法少女を救う概念である円環の理となって1つ目の世界が再構築された世界。
この世界で魔法少女が戦うのは呪いによって生まれた。魔獣です。
魔法少女はその役割を終えると円環の理によって導かれ消滅します。
3つ目の世界は、魔女が作り上げた結界内部の世界になり詳しくは後述します。
この世界で魔法少女が戦うのはナイトメアです。
4つ目の世界は、ほむらがまどかの一部を奪い取り再び作り変えられた世界。
この世界で生まれる呪いの処理はインキュベーターを利用している様子で魔法少女が存在するのかは不明です。
新編が主に展開されるのは3つ目の世界です。
ほむらが結界の存在に気付く
結界内部で暮らすほむらはやがて完全ではありませんが記憶を戻して行くことで結界の中にいることに気が付き、自分の住む見滝原という町から出られないことで結界内にいることを確信します。
この世界に本来であれば存在しない3つの存在があります。
1、 結果を作った魔女
2、 魔女のべべ
3、 魔女の記憶を持つさやか
結界を作ったのは誰か?
魔女が結界を作る本来の目的は外部から被害者を誘導して捕獲することです。
結界は広大ですが人間に危害を加えず、魔法少女達を閉じ込めているだけです。
今のところ誰も被害を受けておらず、その目的は現状維持のように見受けられています。
これにほむらは困惑します。
そして調べた結果として一つの事実に突き当たります。
まどかの存在を知るのは本人であるまどかと、まどかが人であった世界の記憶を持つほむらだけです。
依ってまどかの存在する世界を捏造出来るのはほむら当人だけです。
つまり結界を張った魔女は暁美ほむら自分自身であるということです。
3つ目の世界が作られた意味
これは当初インキュベーターの実験として始まりました。
インキュベーターが魔法少女達に協力するのはエネルギーを回収する為です。
2つ目の世界では人の呪いとして発現した魔獣が倒されることでインキュベーターはエネルギーを回収していました。
いつか2つ目の世界でほむらはQべえに魔女が存在していた頃の下記の話をして聞かせています。
・魔法少女は魔女化する
・希望から絶望へと変わる相転移エネルギーは大きなものである
・鹿目まどかという少女が円環の理となった
この話を基にしてインキュベーターは実験を行います。
ほむらの言う通り魔法少女を魔女化出来ればエネルギー回収の高効率化が図れる。
その為には円環の理を観測する必要がある。
自然発生的に魔法少女が消滅するのでなければ魔法少女が消滅寸前に外部からの影響を完全に遮断した中に置けば、円環の理からの影響を受けないため魔女化する。
実際に環境遮断フィールドの中で魔女化したほむらは結界を展開した。
その中では独自の法則に支配された閉鎖空間が展開された。
そして結界内部には誘導があれば犠牲者として入ることが出来る。
その中に世界と一切の関わりのない者が円環の理である鹿目まどかであると考えられます。
今まで円環の理は観測出来ませんでした。
しかし観測できれば干渉出来ます。
干渉出来れば制御も出来ます。
研究が進めばやがて円環の理を支配することも可能になる。
そうすれば魔法少女は再び魔女化するようになり、エネルギー回収の高効率化が達成される。
また、ほむらの結界世界を観測した結果として希望から絶望の相転移エネルギーは予想以上のものであることが判明しています。
インキュベーターの誤算
ほむらの結界世界に入った者の記憶は改竄されます。
記憶操作の結果として
ほむら:魔女であることを忘れました
まどか:円環の理であることを忘れました
結界内を観測することでQべえは鹿目まどかという世界と因果関係のない人間を見つけることは出来ましたが、それが円環の理である鹿目まどかなのか、それとも結界の中に作り上げられたほむらの仮想現実に過ぎないのか区別が出来ていない状態です。
その為にインキュベーターは結論を出すことが出来ず手を出すことも出来ずに結界内で展開される、言ってみれば魔法少女ごっこに付き合わされる羽目に陥っています。
そして本来であれば存在しない先述の二つについてもインキュベーターにとって誤算の要因となります。
・魔女のべべ
・魔女の記憶を持つさやか
この二人は
「かつて希望を運びいつか呪いを振り撒いた者達、今は円環の理に導かれこの世の因果を外れた者達」
つまり二人もまた円環の理の一部であったという事です。
当初、ほむらの話から鹿目まどかに的を絞っていたインキュベーターですが、期せずしてそれがミスリードとなることで監視から外れた状態で彼女達は行動することが出来ました。
彼女達の役割はまどかの「力」と「記憶」の運び役です。
まどかが最後まで自分の役割を思い出せないようであれば、二人の内のどちらかが失われた記憶を渡す手筈となっていたようです。
(さやかが説明する際に「力」を手渡すとは述べていないため「記憶」を手渡せば自動的に「力」も手渡されるのか、すでに「力」については渡されている状態なのかは不明)
以上が新編の世界と円環の理との関わりについての大まかな説明になります。
まだ説明をしていないまどかが概念化した世界をほむらが改竄した世界については別に語りたいと思います。
それでは今回この辺で
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