「劇場版 魔法少女まどか マギカ[新編]叛逆の物語」感想というか見ていて思ったこと「決意」

星雲に包まれる夜 徒然日記

*「魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」を見ていることを前提として書いているため内容にネタバレが多く含まれているため注意願います。

今回は魔女化したほむらが救い出されて現実世界に戻るまでとなるのですが、いくら当初はまどかを救う為という願いから始まっているとは言え、それはまどかを終わりのない戦いへと誘う事となった事実は彼女を苦しめ続けます。そして、その境遇がまどかにとっても辛いものであるという事実は更に彼女を追い詰めます。その末に取られた自己犠牲とも言える行動が魔女化であると考えると彼女の背負ったものの重さが多少は想像できるのではないか等と思います。

前回、自らを魔法少女たちに打倒されることを欲して魔女化した暁美ほむらと魔法少女達が対峙する事となります。
現在の世界で初めて魔女を見て絶句する魔法少女達ですが、自分も魔女となった経験から、さやかが魔女とは行き場の無い感情の辿り着いた果ての姿であると伝えて皆を窘め、まどかへはさっき教えた通りにやれば良いと声を掛けます。この時点では円環の理ではなく魔法少女としてまどかはほむらと向き合うことになります。

さやかとベベは嘗て魔女であった姿を顕現させて戦います。
彼女達はそれについて「かつて希望を運び、いつか呪いを振り撒いた者達。そして今は円環の理に導かれ、この世の因果を外れた者達」と語っているので、どうやら魔女化した魔法少女は円環の理の一部となっているようです。

魔法少女たちの力は凄まじく戦いは彼女たちの優勢となって進み、魔女となったほむらの進む先に設置された断頭台も遂には破壊されます。その戦いの最中でべべはインキュベータ―の封印を見つけ出します。
これを見ていて思ったのですが、当初、暁美ほむらは魔法少女達に倒される事を前提として魔女化しており、その後の行動は意味の無い破壊だと思っていたのですが彼女が目指す場所は断頭台であり、魔法少女達が自分に同情して倒す為の手が緩む可能性を考えて二重に自分を消滅させる手を打っていたと考えるとその念の入れように驚かされます。

ほむらは魔女化して混濁した精神世界の中で体の輪郭すらも失い、罪の意識と己の無力感の中を漂っていたようです。その繰り返しの中で魔女化する寸前のまどかから請われて止めを刺し腕の中で息を引き取ろうとする姿を見ています。
「だめだよ、ほむらちゃん。一人ぼっちにならないでって言ったじゃない」
閉ざされた扉が再び開きまどかが語り掛けます。
そこから差し伸べられた腕は傷だらけです。
ほむらは気付きます。その腕が嘗て自分に止めを刺して欲しいと頼まれた時、手に取った傷だらけの腕と同じものであるということに。
「ごめんなさい。私が意気地なしだった。もう一度あなたと会いたいって、その気持ちを裏切る位なら。そうだ私はどんな罪だって背負える。どんな姿に成り果てたとしても、きっと平気だわ。あなたが傍に居てくれさえすれば」
彼女は今まで贖罪を示そうとしていたように思えます。
しかし魔法少女となった元々の想いは彼女を救う事を望んでのものであった事。
且つまどかの苦しみは未来永劫に続くという事。
彼女はまどかを救うと決意します。
その瞬間に意識の中で確かな実体として嘗ての自分の姿を取り戻します。

この時ほむらの目的はまどかへの贖罪から救済へシフトしたとも言えそうです。

実体を取り戻したほむらへまどかは問い掛けます。
「ほむらちゃん、怖くない?」
「もう私は躊躇ったりしない」
そう答えるほむらの持つ武器は盾から弓へと変わっています。
嘗てまどかを終わりの無い戦いへと知らずに導くこととなった世界で彼女は盾を使用し、それを知りながら事実を受け入れざるを得なかった世界で使用していた武器は弓。
二人の放つ矢は外部遮断フィールド内のインキュベーター達に文字通り矢の雨を降らせる事となり外部遮断フィールドの破壊に成功。結界から外の世界へと抜け出すことに成功します。

ほむらの行おうとしていた贖罪が行われたとしてもまどかは以後も円環の理であることに変わりはなく。その活動は以後も続くことになります。彼女の言葉にあった「そうだ私はどんな罪だって背負える。どんな姿に成り果てたとしても」という言葉は既にまどかを救うという具体的なプランのようなものが存在していることを窺わせます。
ここで少し振り返ってみるとまどかが円環の理となった現実世界でほむらはQべえにまどかが人として存在していた世界の話をしています。
インキュベーターは魔法少女達を利用することでエネルギーを回収しようとしています。そして魔法少女の魔女化を利用したエネルギーの回収法の効率が高いと分かればインキュベーターは魔法少女を魔女化させる方法を考えるのは必然です。そして魔女化するのを防ぐ為に円環の理が存在することを知れば、その排除か制御に乗り出そうとするであろうことは容易に想像出来ます。そのリスクに彼女が気付いていないとは到底、思えません。

そう考えると今回の一連の流れというのは、ほむらの計画通りに進んだ結果であるようにも思えます。

魔女の結界は崩れ舞台は現実世界へと戻ることになります。

それでは今回この辺で

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