働かないおじさんの類型の一つ

働かないおじさん 逆ギレする 徒然日記

最近になってリモートワークが増えて来た影響で、社内にいる何をしているのかよく分らないおじさんが実は本当に何もしていなかったことが判明したという話を耳にすることが増えたように思います。

そういったおじさんを働かないおじさんと言うそうなのですが、そういったおじさんが社内にいることを許されている理由とは何なのでしょうか?

課長辺りに聞いてみれば「いや、あの人は俺にしか見えていない妖精か何かだと思っていたんだよ」といった答えが返ってくるのかもしれない等と考えていたところ一人のおじさんを思い出したので書いてみます。

私が以前に勤めていた会社はブラック企業でしたので当然の如く社員は馬車馬が如くこき使われていました。そんな中で一人だけ社内で何をしているのかよく分らないおじさんがいました。
Sさんというおじさんです。当然ですが社内にいる幻の妖精といった雰囲気は欠片もない、いつも不機嫌そうな表情で機会があれば、例えば課長が新人に説教をするのを聞くと自分に関係ないのに横から入ってきてキレ散らかしているような人でした。
彼はエンジニアでした。役職は付いていましたが会社に長年いれば誰でも自動的に付く役職です。
技術者としての腕は中堅所に入った技術者が自分の腕の未熟さを嘆く際に「俺もまだまだだけどSさんよりは出来ると思うんだけどなぁ」と陰で言われる位でしたので技術者としても大した人ではありません。
本人は出世に興味が無いとうそぶいてはいましたが本気で出世しようとしても当時の現状と大して変わらなかったのではないかと思います。
しかし彼は裏で馬鹿にされてはいましたが表立って軽んじられていたかと言えばそうでもありません。
なぜか?
Sさんは大した技術も持っていませんし顧客から好かれることもありません。また本人は指導力を発揮しているつもりのようですが先に述べた通り勝手にキレ散らかしているか面倒な仕事を後輩に押し付けているだけです。

従って同僚から好かれることはありません。
繰り返しになりますが彼はよくキレて怒鳴り散らしている人でした。
そのお蔭で管理者より社歴が上ということもあいまって腫れ物として丁重に扱われていました。
噂では会社の暗部を知っているからだとも言われていましたがその点については怪しい所です。

Sさんからよくぶち切れる要素を除いたら単に技術のない使えないおっさんでしかありません。そうなれば社内では当然の如く軽く雑に扱われていたと思われます。しかしSさんは丁重に扱われています。
Sさんが元々の厄介者だったのか、それとも後天的にキレ芸を身に付けたのかは不明ですが少なくとも彼はキレることで現在の立ち位置を獲得しているのは間違いないようです。

重要なことなので繰り返します。
仕事は出来ない。
人から好かれることはない。
会社に協力的ではない。
社歴と年齢だけは重ねている。
以上の要素を満たした人は通常は会社のお荷物でしかありません。であるにも関わらず彼は社内では腫れ物として少なくとも表面上は馬鹿にされることもなく厄介者として丁重に扱われているのです。
キレ散らかしている賜物です。

当然Sさんの消化する業務量は多くありません。
同僚たちが終電まで仕事をこなす中で一人だけ定時で悠々と帰ります。
仕事の割り振りとしては、難しい仕事はベテランが担います。簡単な仕事は新人があたります。普通の仕事は中堅どころが消化します。
Sさんが担当するのは新人以上中堅未満の微妙な仕事です。ただこの仕事も新人が中堅にランクアップする為には必要な仕事ですので優先的に割り振られるのは新人になります。

Sさんとは管理者もなるべく関わり合いになりたくないと思っているので注意することもありませんので忙しい社内で一人だけ余裕があります。というか割り振られている仕事も大して無いなかで何をして毎日を過ごしているのかは本人しか知りません。
ぶっちゃけいなくても問題ありません。それどころかSさんがいなくなると通常の業務量をこなしてくれる人が入ってくれるので有り難い位です。
他にもSさんの人柄から複数人で連携してあたる必要のある難しい仕事は滞ってしまうので実はSさんは現状のままどうでもいい仕事をこなしてくれる方が会社にとっても本人にとってもプラスなのです。

そもそも論として当時の現状に至った理由としては厄介者のSさんのことを管理者が今まで放って置いて隙あらば他の支社に飛ばして各地を転々としている所だけ見ると同情する余地もあるのではないかと思うのですが、いかんせん間違いを正すには時が経ち過ぎており、これを正すことが出来るのかと聞かれれば難しいのではないかと答えざるを得ません。


つらつらと述べましたが、世に言う働かないおじさんの類型の一つがSさんなのかもしれないと思ったので書いてみました。

それでは今日はこの辺で