潰れる会社の共通点

父さんの会社が倒産 ブラック企業の社窓から

帝国データバンクの集計によれば、次のような傾向が見られる企業は「倒産リスクが高い」と考えられる。

社長の傾向
・数字に弱い
・言動が派手で、大きい話が大好きである
・人情味に厚い
・明確な経営理念やポリシーがない
・リーダーシップ、指導力に欠ける
・業界動向に疎く、商品知識に欠けている
・私生活において、よからぬ噂がある
・社長以外の実権者が存在する

社員の傾向
・挨拶、応対ができず、言葉遣いが乱れている
・服装が乱れている、あるいは職場にふさわしくない
・担当者が頻繁に代わる
・従業員の増減が激しい、あるいは退職者の補充が追いついていない状況が続いている
・自社の悪口や愚痴を言う社員が多い
・会社の雰囲気が悪い

「潰れる会社」の社長、社員にはこんな「共通点」があった

ブラック企業というのは大抵の場合において儲かっていない企業であるケースが多いです。そりゃそうです。儲かっているなら社員の給与を手厚く分配して休みもきちんと取れせることで存分にパフォーマンスを発揮して貰うことで業務も滞りなく進むので経営者も余計なストレスを抱え込まず心穏やかに過ごせる筈です。
(儲かっているブラック企業もありますし業界全体がブラックというものもありますが、そこについて今回は触れません)

ブラック企業を渡り歩いてきた経験を持つ筆者の経験と照らし合わせてみても所謂、転職ガチャでホワイトを引いた際には、中にいる人たちの心穏やかさに恐れ慄いたものです。
信じられますか?ホワイト企業には部下を怒鳴りつけるか嫌味を喰らわせるしか出来ない無能な上司、荒んだ目をして新人の教育を放り投げるか有能そうなら新人潰しをすることで自分の保身に努める寄生虫のような先輩も、そんなに多くはいないのです。

今回は帝国データバンクから倒産する企業の共通点をいくつか挙げているので、それらについて述べてみたいと思います。

社長の傾向

数字に弱い

冒頭から重たいのが出ましたね。
そりゃあそうです。社長が会社の数字をよく分かっていないって致命的ですよ。
よほど信頼できる番頭役の経理部長がいないと会社が存続するのは難しいと思います。
こういう経営者に限って当て勘で大型投資に踏み切って失敗したりするのですが、それはひとえに会社の数字に疎いというのが一番の要因だったりします。

言動が派手で、大きい話が大好きである

これはどうなんでしょうね?
会社のビジョンを示すことが出来るという意味ではあながちマイナスだけではない気もします。フィクションですが下町ロケットの佃社長なんかは下町の中小企業がロケット打ち上げに大きく関わるという派手で大きな話を社員にぶち上げることで社員の士気を上げて目的に邁進することで技術力が上がるというのはその好例だと思います。
筆者が巷でよく聞く、経営者が儲け話を信じて結構な金額を投資したら全く儲からなかったり、もしくは甘い見通しで我が社はこの事業で世界のリーディングカンパニーになるなんてことを言って新規事業を立ち上げてみたら全く見通し通りに話が進まず利益が上がらなくて立ち上げた翌年位に事業部が解散するというのは、この悪例なんだと思います。
会社のビジョンを示すというのは経営者の大事な役割だと思うのですが、そのビジョンが間違っていた場合のリスクはやはり大きなものになるようです。

人情味に厚い

これは裏表だと思います。人情味が厚くて社員からの信頼を集めることが出来るのであれば会社として発展していくことは充分に可能だと思います。
しかし人情に厚いのではなく、単に経営者が感情的で嫌いな人物に対しては有能であっても冷遇したりといった好き嫌いで仕事を進めているだけで、自称「人情味に厚い」人物であれば事業に支障を来たします。
例えば新規事業が軌道に乗って来たので自分が気に入っている子飼いの部下に手柄を立てさせる為にそれまで構想を持って進めて来た人物と入れ替えてみたら途端に事業が立ち行かなくなったというケースはよく聞く話です。
また、そうした好き嫌いで仕事を進める人物ほど自分のことを「自分は情に厚すぎる」と言っていることが多い気がします。

そして世知辛い話になると会社の事業の中で撤退をしなくてはならない状況であるにも関わらず社員のクビを切ることが出来ず、やがて会社全体が立行かなくなるという例は人情に厚いことで生じるリスクなのかもしれません。
筆者が見た例で、取引先の社長から新規事業を行うという話を聞いていた際に社長がこの事業は上手くいけば大きな利益を生む。という話と一緒に「失敗したら、その事業の従業員は全員切ればいいだけだしね」と平然と言っていたのを思い出しました。
個人的には大いに反感を覚えるのですが経営にこういったドライさが必要な面があるのも否めない所です。

明確な経営理念やポリシーがない

経営者が優柔不断な人である例が多そうです。不採算事業からの撤退や有望な事業領域への投資を行うなどの決断が出来なければ事業は成長しません。

会社が順調に発展する為には社員の力を合わせる必要があります。経営理念やポリシーはともするとバラバラになってしまう社員達の指針のような役割を果たします。そこに思いが至らない経営の将来というのは少人数で個人事業主が単に事務所を一緒に使用しているだけのような環境で完結出来るものでなければ暗いものとなります。それか行き当たりばったりで経営しているビジョンの存在しない証左でもあります。そういった企業が上手く成長出来るとは考え辛いです。

リーダーシップ、指導力に欠ける

なんで社長になれたのでしょうか?社長の息子とかですかね?
その場合は有能な幹部社員を育てられなかった先代社長に責任がありそうな気もします。
それかごますりが天才的に上手い社員を人情に厚い社長が感情に目が眩んで社長に据えたら指導力に欠けていたかのどちらかだと思うのですが、会社の組織がよほどしっかりしていないとこれも先行きは暗くなるでしょうね。

業界動向に疎く、商品知識に欠けている

自分の会社に引き籠っているタイプの社長なんでしょうか?社長となる資格要件を満たしていないように思うので問題外のように思えます。それとも「俺は決断をする為にいるんだ」と常々言っていて、聞いている社員が心の中で(その前にオマエは決断する為の知識を持ってないだろ)と突っ込まれているパターンが考えられます。
権限委譲を適切に行えていて且つそれに応えられる社員がいなければ潰れます。

私生活において、よからぬ噂がある

愛人を囲っている位なら良いとは思いますが(モラル的な問題を別として会社経営への影響としてだけ考えれば)これが危ないお薬になったり犯罪に手を染めるようになっていると非常に不味いですね。自分の会社の社長が逮捕されるなんてのは悪夢以外の何者でもありません。
因みに筆者が嘗て在籍していたブラック企業では社長の不倫相手が会社に乗り込んで来て一騒動という微笑ましい光景を目にしたことがあります。

社長以外の実権者が存在する

学生の頃にアルバイトしていたコンビニで店長の奥様が暇になるとふらっとやって来て仕事に口出しして来てオペレーションが滅茶苦茶になることが多かったのを思い出しました。
(因みにここも筆者が退職した数年後に潰れたのですが書いていて自分は死神なんじゃないかと思い始めてきました)
他に聞く話だと社長がどこかの飲み屋で知り合った訳の分からんコンサルを連れて来たり、もっと運が悪いとそれがヤクザであっという間に会社の実権を掌握されて乗っ取られるといった例が考えられますね。社会人になる前はそんなマンガみたいな話ないだろうと思っていたのですが、意外と聞く話です。会社の実権を社外の人間に渡さないのは鉄則です。他にも同じ会社の人間であっても責任の取れない者が経営に携わってはならないというのも同様ですね。
思うに経営の要点とは責任を取れるかどうかです。

社員の傾向

挨拶、応対ができず、言葉遣いが乱れている

社員が来客者にまともな挨拶も出来ないというのは、社内の統率が取れていないということの表れです。末期状態か組織の体をなすことが出来ていないとういことなんでしょうね。

服装が乱れている、あるいは職場にふさわしくない

上の例と一緒ですね。寧ろそこに至る切っ掛けが何だったのかを知る必要があります。

担当者が頻繁に代わる

高い可能性で社員が会社の環境に耐えられずに退職することの多いブラック企業ですね。

従業員の増減が激しい、あるいは退職者の補充がおいついていない状況が続いている

一般社員のレベルでそれが発生しているなら、給与の遅配などが発生している可能性も高いので倒産間近です。それとも一般人では継続することの出来ない環境で新しく入った社員が直ぐに退職するような状況であれば、本来なら会社に残り賞与などで社員に分配される筈だったお金がジャブジャブと人材会社に流れ出ている状況です。何れにしてもそういった会社に在籍しているなら一刻も早い脱出をお勧めします。

自社の悪口や愚痴を言う社員が多い

自分が在籍している会社の悪口を部外者に漏らすほど社員の士気が下がっていて統率が取れていない状況なら末期状態です。それとも会社の悪評が外部に漏れることで何れ自分にも害が及ぶかもしれないという想像力が働かない社員が多いのか、何れにしても会社の未来は暗そうです。

会社の雰囲気が悪い

会社の先行き不安から雰囲気が暗いのか、それとも単に人間関係がギスギスしていて空気が悪いだけなのかによって判断は分かれそうな気がします。
因みに筆者が倒産した会社に在籍していた当時は、ホワイト企業だったものが訳あって急激に悪化したという事情が有り、残った社員は会社の死に水を取ろうと開き直っていたので社内の空気は意外と悪くなかったのですが、これは給与の遅配をしなくてはならない程、財務状況が悪化するのが見えた時点で社員にその旨の説明があったので腹を括れたのだと思います。
それと筆者の場合は会社が倒産して無くなっても失業保険が会社都合で早く貰えるのが分かっていたのと経営者から会社はきちんと清算するという説明を受けていたので未払い分の給与は国の未払賃金立替払制度で全額は無理ですが8割位は戻って来ることを知っていたので、寧ろ早く潰れてくれないかなぁ位の気持ちで心穏やかに過ごしていました。
(詳しくは省略しますが会社を倒産させるにも資金が掛かります。そのために会社を倒産させたいけど倒産させることが出来ないというケースは少なくありませんので上記の給与立替払制度の利用を考えている人は要注意です)
筆者の例は稀有な例かもしれませんが潰れる会社でも人間関係が良くて雰囲気が良い所もあります。逆に雰囲気が悪くても会社としては利益を出している企業もあります。

最後に

前述にある通り筆者はブラック企業に在籍していただけではなく潰れた会社にも在籍していたというサイト名「悲しい笑い」の通りに笑い飛ばそうと思って実際に思い返してみると寧ろ悲しくなってほんの少し泣いてしまうという経験を持ちます。
半泣きで思い出してみると潰れる会社というのは当たり前ですが儲かっていません。そうなると経営者は社員の負担を増やして人件費を減らそうと考えます。そのため会社というのは潰れかけると同時にブラック企業化してついでに給料も渋くなるという傾向があります。
既に挙がっている潰れる会社の共通点の例を見ても、マネジメントの問題から儲からない為に社員の負担が増やされることでブラック化していく。その為に在籍している社員に余裕が無くなり服装が乱れたり挨拶もしなくなる。併せて忠誠心も下がるので行き場のある優秀な社員は退職していきますし、行き場のない残った社員は会社の愚痴や悪口を外部に漏らすようになり会社全体の雰囲気も悪くなるという流れが考えられます。
不運にもそういった会社に入社してしまった人に同様の会社に在籍していたことのある筆者からアドバイスさせて貰うと、ブラック企業は卵が先かにわとりが先かは不明ですが、会社として利益を上げることの出来ていない企業が多いです。そして儲からない会社というのは、基本的に社員への恩恵も少ないものとなります。依って、不幸にも儲からない会社でブラックな職場に入ることになった場合は早い段階で見切りを付けて転職活動をしましょう。失業して切羽詰ってからの転職と、ブラックであっても職があって取り敢えず月給という収入がある状態での転職活動では心の余裕も違いますし転職の成功率も違ったものとなります。

以上、潰れる会社の共通点に対して思ったことを書いてみました。

それでは今回はこの辺で