個人経営でパン屋を開業するのは難しい

パンブラック企業の社窓から
パン

世の中にはブラック企業に勤務しながらお金を貯めてお店を開こうと考えている人もいると思うので今回は個人経営としてパン屋の開業を考えている人の夢を打ち砕いてみたいと思います。

過日ですが我が家の近くで新しくオープンした個人経営のパン屋が潰れました。
そのパン屋の入っていたテナントの店は直ぐに潰れます。
駅から徒歩5分掛からない位の場所で人通りもそこそこあります。実際に向かいにある居酒屋はそこそこ繁盛している様子なので立地は問題ないと思うのですがそのテナントに入った店は情け容赦なく潰れます。

パン屋の前に入っていたのは唐揚げを売りにした居酒屋でしたが半年も経たずに潰れていました。途中から店の外で唐揚げをテイクアウトで販売していたのですが、怖いものみたさで買ってみると意外にも味は良かったので私もそのうち店でビールの一杯でも飲んでみようか等と考えていたら、途中から資金が尽きてきたのか店の親父がずぼらだったのか分かりませんが作ってから時間の経過したものを売るようになり、いつしか噛みしめると絶妙な臭味が広がるものを販売するようになり、こりゃダメだ。と思っていたらやっぱり潰れました。それから暫くして今度はパン屋が入ったのでした。

そのパン屋の品は
値段は安い。
味はあんまり美味しくない。

といったお店でした。
潰れる一月前位になるとのり弁が販売されるようになっていたので、これは長くないだろうと思っていたら潰れました。しかものり弁も美味しくないんだ。

しかし考えてみると今の時代に個人でお店を経営するのは凄く難しいのだと思います。
例えばラーメン屋です。
今のラーメン屋はどこに入っても基本的に美味しいです。
逆に不味いラーメン屋が珍しい位です。
昔は不味いラーメン屋なんていくらでもありました。
生麺タイプのカップラーメンより不味い癖に値段だけは一丁前なんてのは珍しくなかったのを思い出すと時代は変わるものだと思います。
これは言い換えると当時は不味いラーメン屋でも営業を続けていける位お客さんが入っていたということです。当時は今ほどラーメン屋がそこら中にあった訳ではないので、どうしてもラーメンが食べたくなった時は多少は不味くても入ったんです。
私もラーメンをどうしても食べたい気分になった際には仕方ないかと思いながら月一位のペースで訪問しては、なぜこんな不味いラーメンにお金を出して食べているのだろう?と小首を傾げながら食べていたものです。
ちなみにラーメンの味は麺は茹で過ぎてふやけてコシが無く薄ボンヤリとした輪郭の無いスープ。食べられない程ではないが決して美味しくない。しかし麺がスープを吸ってボリュームだけはあるというものでした。
あの店まだあるかな?

話は現代に戻ってくるのですが、潰れたパン屋は努力していました。
通勤に通うサラリーマンの朝食需要を狙って朝早くから店の前でパンの路上販売も試みていました。
(一週間位でやめちゃったけど)
のり弁を売り始めたのだって何も考えないおっさん客辺りがパンだけじゃなくてご飯ものがあると良いと思うんだよ。とか言う無責任な発言を真に受けて作り始めたに違いないんです。

昔と比べて大して美味しくないパン屋が生き延びられない理由とは何だろう?と思うと、過去と比較して現代はコンビニという存在が大きいと思うのです。
先ほど例に挙げたラーメン屋だとコンビニへのニーズから外れた位置に有り、且つ競合が近くに存在していなかったというのが生存できた理由としては大きいと思います。
(従って先に挙げたラーメン屋が今も残っているかどうかは限りなく怪しいです)

潰れたパン屋は他のパン屋と比較すれば安かったですがコンビニで販売されるパンの金額と比較するとやや高く味は負けている。
今のコンビニパンは本当に美味しいです。
恐らく路上売りの敗因もそれです。
潰れたパン屋の不味くはないが美味しくもない割高なパンを買う理由が通勤途中のサラリーマンに無いのです。会社近くのコンビニで買った方が安くて美味しいんですから。

これで潰れたパン屋さんの徒歩5分圏内にコンビニ3件が存在していなかったら、今日はパンが食べたい気分だけど他に売ってる店もない。仕方ないからこの美味しくないパン屋で買うかとなる可能性もあったと思うのですが、これだけコンビニがあるとじゃあ近くのコンビニで買うかとなってしまうのです。

今は存在しない潰れたパン屋に欠けていたものは何だろう?と考えてみると、やはり美味しいパンを作る技術だったのではないかという身も蓋もない結論へと至ります。

存続しているパン屋で売っているパンはコンビニより値段が高いが、コンビニパンより美味しい所が殆どです。従って生存しているパン屋のパンはコンビニで買えません。
故に人はパン屋で買うのです。

値段面だけで見るならパン屋以外でもコンビニで扱っている同じ項目の商品を扱う個人経営の店が大量生産して流通させることの出来ているコンビニエンスストアに値段で勝つことは非常に難しいです。
そうなると大抵の場合は専門性で特化するしかない。
即ちコンビニで買えないものを売る必要があるのです。

現代に於いて個人経営で店を開こうと思った時には一度振り返って考えてみてください。
あなたの店で扱う商品はコンビニで買えないものですか?

それとコンビニで買うパンは美味しいけどどこか味気ない。やっぱり手作りの温もりのようなものはやっぱり必要なんだよ。という言葉を真に受けてはいけません。
例えば町で商店街を残したいか?というアンケートを取れば、高いパーセンテージで残したいと人は答えます。その後に商店街が残るかと言えば残らないケースが殆どです。安くて美味しい大型店で人が買うからです。

もし開業しようと思っても自分の作り出す商品がコンビニで買えないものだと思えないなら再考の余地ありです。

それでは今日はこの辺で