ブラック企業が行う営業会議

ワンマン経営 ブラック企業の社窓から


会議のイメージ図

「体育会系の縦社会では、往々にして『上の言うことは絶対』といった土壌ができあがっています。そうして尻を叩いて社員を酷使することで短期的な生産性は上がりますが、下の人間はリーダーや会社の業績を上げるためだけの“コマ”になってしまう可能性が高いのです」

そうした体質の組織が「ブラック企業」と指摘され社会問題化している、と鈴木氏。ただし、完全縦社会の体育会系組織は昔から日本に存在していたし、むしろその体質こそが日本企業の特徴でもあった。ところが、高度経済成長期やバブル景気が終わりを迎え、「成熟期」に入った日本ではすでに、体育会系組織は時代にそぐわなくなってきているのだ。
ダイヤモンドオンライン 

この記事を読み、以前に私が働いていた会社もこんな感じだったなぁと思いだしたので書きます。

そこでは朝に決まった事が夕方に覆される事も多くありました。

朝「これが決まったからからオマエラは、今日からこう動け」
夜「やっぱりこう動け」
次の日の朝「やはりこう動くように」

筆者(オイオイどうすりゃいいんだよ)

この様にコロコロと方針が変わります。
そして会社側ではこういった点を
「うちは動きが速い」と長所として捉えているのです。

社員たちはというと、どうせ方針が直ぐに変わるから俺だけ様子見をしようとして、結局は誰も動いていないというのがパターンでした。
(新入社員はそれを知らずに上の指示通りに動いて酷い目にあって学習する)

恐ろしいのは、これでもある時期までですが売り上げが上昇していた事です。
しかし、それも通用しなくなります。
理由はライバルの台頭でした。
現れた当初は大した存在ではなかったのですが年を追う毎に勢力は強くなり気付けば売り上げで抜かれる事態となりました。

さあ大変だ。という事で緊急会議が開かれます。
ちなみに会議とは名ばかりで社長と一部幹部のみにしか発言は許されていない催しとなります。

社長「今まで売り上げが上がっていたのが今年は下がってしまった。理由はライバルの○○社の勢力が伸びて来ている事だ。オマエらどうするんだ?」

専務「休みを削って売り上げを上げます」

社長「専務、よく言った。その通りだ。これで勝てるな」

筆者(いやいや、ライバルが強くなった理由とか考えようよ)

そして筆者の心の中のツッコミをよそに休日を返上する事となります。

売り上げは上がりませんでした。
再び会議が開催されます。

社長「まったく売り上げが上がらない。これはどういう事だ!!」

常務「下がる筈だった売り上げが休みを返上した事でカバー出来たのです」

社長「そうだな。しかし売り上げは下がったままだぞ」

専務「働く時間を長くしたいと思います」

筆者(白目)

と、いう事で朝は8時から夜の12時まで働く事になります。
ですが、そのライバルとの差は広がるばかりです。
上がらない売り上げ。
起こった出来事と言えば課長の嫁さんが怒って実家に帰った位です。

社員たちは次第に無表情になりボーっとしている時間が長くなっていきます。
元々、軍隊調の営業会社ですから社内で談笑なんぞしようものなら上司から「歯なんか見せてんじゃねぇ」と叱責されるのですが、この時期は誰も言われていません。みんな喋る屍ゾンビーズですから。
会社のカレンダーも月が替わって本来ならめくらなくてはならないのが社員全員月半ば位まで誰も気が付かない程です。

そんな状態なので売り上げは全く上がりません。むしろ下がりました。

再び会議が開かれます。
社長「売り上げが上がらない。仕方ないので支店を出す事にした。そこで売り上げれば上がるぞ」

専務「素晴らしい考えです」

筆者(根本の問題が解決していなくないか?)

当然ですが苦し紛れに出した支店で売り上げが上がる筈もなく経費が掛かるばかりです。
今度は支店の売り上げをどうするかの会議です。

社長「支店の売り上げが上がらず全体の売り上げが逆に下がったぞ」

常務「支店に配属されたメンバーを普段は本店で動く事にしましょう」

筆者(支店を出してる意味あるか?)

以下、同じような事をエンドレス。
遂には出来ない社員のクビ切りを始めます。
するとどうなるか?
会社が辞めて欲しくない出来る社員から辞めていきます。

出来ない社員はブラックだろうが何だろうが家族の為に会社にしがみ付かなくてはならないのですが出来る社員は行き場があります。

雰囲気が悪く業績が悪化すればクビ切りされるような薄情な会社よりかは、同じか寧ろ上の待遇で迎えてくれる会社があれば、そっちに行くのは道理という奴ですね。

筆者も見切りをつけて脱出している訳ですが、今となってみれば労働基準監督署にでも訴え出て残業代などを頂戴すれば良かった位の思い入れしかありません。

しかし冗談みたいな話ではあったのですが、話してみると似たような経験を持つ人が多くて驚きます。
私がいた会社がよくある会社に過ぎないとなると、そりゃあ日本の労働生産性が上がらんわなと思った次第です。

それでは今日はこの辺で