数々のブラック企業を渡り歩いた筆者ですが、大抵のブラック企業はワンマン社長が独断と偏見と勘で会社の方針を決めています。
そしてワンマン社長は自分に意見してくる人間が大嫌いです。
もしもワンマン社長の経営するブラック企業に勤めることになったか勤めている場合、そこで長生きをするコツは社長に逆らわないことです。
それが出来ず要領も良くないという人は社長から遠く離れた支社や部署に飛ばされるという幸運に恵まれなければ高い可能性で排除されます。心当たりのある人は転職か独立、自営業などで食える準備を怠らないことをお勧めします。
いきなりステーキの社長が「あのとき、私を止めてくれる人がいればなと、今になって思う。」と語って急激に増える店の出店と値上げを後悔しているという記事を見て今回は書いています。
簡単に状況を説明すると、いきなりステーキの社長である一瀬 邦夫氏は某番組の中で朝礼で社員たちに番号を叫ばせて点呼を取り、これが揃っていなければやり直しをさせるという部分が放映され、ブラック企業だと噂される事となりました。
実際、新卒入社3年での離職率は100%達成すると共に名実ともにブラック企業の称号を確とした感があります(『就職四季報 優良・中堅企業版2020年版』)
ついでに業績も芳しいものではありません。最盛期は500店舗あったものが257店に減少(2021年5月時点)
これを聞くと銀座に初めていきなりステーキがオープンした頃は筆者もランチタイムなら1000円でステーキが食べられるのは凄いと並びました。しかもその行列は隣の飲食店の前まで並び、隣の店の親父が「うちなら直ぐ入れますよ」等と並んでいる人に声を掛けてみるも誰も反応しないので心折れて奥に引っ込んで恨めしそうにしているのを見ていた頃のことを思い返すと隔世の感があります。
不振の原因として同じ商圏に出店して互いに食い合う格好になってしまったことと値上げが原因と聞くと確かに今じゃワイルドステーキも当時1000円だったのがいつの間にか1500円じゃ当時を知っている人間としては今さら行く気にはなれないなぁというのが率直な所だったりします。
そして値下げしたことで業績が上がったという話を聞くと、今更かよ!とツッコミを入れずにはいられません。
これはいきなりステーキを運営する株式会社ペッパーフードサービスで開かれた会議でも「業績が下がっている理由」についても何度となく話し合われている筈です。その中で一人でも「社長、業績が下がっている理由なんか適当に雑誌を開くかネットで検索すればいくらでも出てきますから、それ見てスープで顔でも洗って考えてみて下さいよ」と言う社員はいなかったのだろうかと思うのですが、スープで顔を洗うの件は別として同じようなことを心の中で全社員が思っていたでしょうし、その中の空気を読めないと言われる社員は実際に口にしているのではないかと推測します。
では、なぜ会社は変わらなかったのでしょうか?
おそらく社長が単に話を聞き入れなかったんだと思います。
従って「あのとき、私を止めてくれる人がいれば」と一瀬社長は悔いているようですが間違えています。正しくは「私は止めてくれる人をなぜ切ってしまったんだ」です。
冒頭でも書きましたが基本的にワンマン社長は自分に意見する人間が嫌いです。
且つ会社の人事権も握っているケースが殆どです。
するとどうなるでしょう?
自分に意見してくる人間は排除されるか遠ざけられていなくなり周りはイエスマンだけになります。
イエスマンは社長の声を絶対として動くので会社の方針はいつしか
「業績をどうやって上げるか?」から「値上げしてカニバリしている状態で利益をどう出すか?」のように間違った方針を前提とするように変わっていったのではないかと想像しています。
なんのことはありません。ワンマン経営の社長に誰も助言しない理由は社長自らが助言する人間を排除してきただけです。