上野動物園へ行ってみた

されるがままになっている猿 どうかしている
されるがままになっている猿


ある日の昼下がりです。
そうだ。京都に行こう!!と思い立ちましたが予算も休みも無いので取り止め・・・。

しかし、どっかに行きたいという気持ちは収まりません。いっそのこと台所にあるこの包丁で一思いに喉を一突きすれば天国に行ってくることが出来るかもしれない・・・。と思い付くも、それだと帰ってくることが出来ないのと、久しぶりに情熱の赴くままに充電しているデジカメで撮影することが出来ません。そうです。特に努力も何もしない癖に要求だけは一丁前の自分は悩みます。
仕方ないので近場で何かないか探した所ありました。うってつけの場所が、そう。上野動物園です。のんびりと暮らす畜生共なら赤裸々な姿を激写しても文句が出ることはありません。しかも上野動物園なら皆の憧れパンダさんもいるではありませんか。
早速、電車に揺られながら、この彷徨える魂を上野動物園のパンダさんが出迎えてくれるであろうことを夢見ます。
到着してみると、そこは本来であれば引きこもりかニートの類である自分。親に金さえあれば充実した引きこもりライフを送っているであろう自分。しかし学校を卒業して申し訳程度に就職先を決めたことを我が愛するママンに告げた所「あんた家にいくら入れるの?」とおめでとうよりも先に言ってきた母。今じゃ実家に居るよりも自分一人で暮らした方が搾取されることが無いという特殊な家族事情から仕方なく働いている自分。ぶっちゃけ「働いたら負けだと思う」と本気で言っていた自分。働いている時点で人生の敗北者である自分。そんな自分が外出しようと思う程ですから今日は頗る良い天気です。

青い空

知っているかい?青い空は死のメタファーなんだぜ・・・。フフッ・・・。

そんな悲しい笑いが上野動物園に到着して、中に入ろうとするのですが謎の人物が「ニュウジョウリョウキンヲハラッテクダサイ」と謎のメッセージを繰り返し述べながら入場させてくれません。おかしいです。私は日本国民として税金を払っているのだ。動物園は税金で運営されている筈である。なぜ、そんな私から更に入場料金を支払え等と宣うことが出来るのか教えてくれたまえ!!と抗議しようと思うのですが、普通に正論を述べられそうなので「ああ、はい・・・」等と曖昧な笑みを浮かべてお得意の泣き寝入りを決め込むことにして自販機で国家予算に迫る大金である600円を支払って入場します。
まぁ、これだけの大金を支払った訳ですからね。パンダの一頭や二頭は土産に持って帰ったとしても誰も文句は言わないでしょう。ゲートを通った先には腰に蓑か知らんが何か付けたお姉ちゃんが出迎えてくれて花で作った首飾りだか何だかを私の首に掛けてくれて踊り狂うのかと思ったのですが誰もいません。そこには場内見取り図が欲しけりゃ勝手に持って行けよ、この乞食共がと言わんがばかりに置いてあるだけです。それを誰も見ていないタイミングを見計らってポケットの中に捻じ込んでやることにします。
そして今日の目的はパンダを見ることです。野郎が戯れている姿を見て癒されたり、近くでよく見たらパンダの目って怖い。しかもあいつら基本的に目が笑っていないということに気が付いて恐れ慄かなくてはならないのです。
しかし、パンダを見る為には長蛇の列に並ばなければならず。到着時刻は14:30頃、16時頃には遠くからパンダの輪郭をチラッと見ることが出来て今日の上野動物園の訪問は終了です。となってしまう為に、泣いて馬謖を斬った孔子の気分で諦めることにします。

諦めた自分の目に先ず入ってきたのは、この金ぴかで趣味の悪い御殿です。
(因みにこの金ぴか御殿の正式名称は「サーラータイ」タイから贈られた大変ありがたい建物です。タイなだけに)

サーラータイ

サーラータイ

眺めるも10秒でこんな金ぴかなもん作る銭あったら儂にもっとええまんま喰わせんかいと思って来たのと、ぶっちゃけ飽きたので足の向くままに園内を彷徨い歩きます。すると何ということでしょう!!京都に行こうと思い立ち、あんたとの結婚は妥協だったのよ!!と言わんがばかりにやって来たにも関わらず、なんと京都チックな五重塔が出迎えてくれます。素晴らしい。やはりここに来たことは間違いではなかった。

五重塔

五重塔

五重塔は動物園の敷地外にあるため一階づつ上り各階毎に居る番人達とバトルすることが出来ないのは残念ですが仕方ありません。それに五階に上り切った所で何か手に入ることは無く、そこには恐らく警備員、そして警察という国家権力の犬どもと終わり無き戦いが待つだけなのですから・・・。
いつから自分はこんな牙の抜かれたライオンのようになってしまったのだろうと考えますが、そもそもライオンであったことが無いことに気付き、目の前の池を見ると幸せの青い鳥ではなく白鳥が出迎えてくれます。

白鳥

野良の白鳥。よって愛想は無い。

目線下さーいと声を掛けますがガン無視されました。

傷心のまま近くの檻に向かうとリスがいましたが、このリスは動きが早すぎて自分のポンコツデジカメで姿を捉えることが出来ず。

次はプレーリードックです。ぼのぼのというマンガでは気の好い奴だけど、実際の奴らは意外と獰猛でお馴染みのプレーリードック君です。

プレーリードッグ

尻を向けて出迎えてくれるプレーリードッグ

人間様に向かってケツで出迎えてくれました。危うく人間としての尊厳を失いかけますが、他の連中は愛想を振りまいてくれたので良しとします。
そして驚きます。なんとプレーリードッグ君の奥にはバッファローさんが居るではありませんか!!

虚ろな目をしてさ迷うバッファローさん

虚ろな目をして決してさ迷うバッファローさん、筆者は何となくシンパシーを感じた

因みにバッファローさんはフラフラと何処かへ行ってしまいました。
まぁ、上野動物園に入ってから見てきた畜生共は所詮はげっ歯類や鳥類、バッファローも言ってみれば精々が焼肉の類です。しかし次は皆が大好きぞうさんのコーナーに向かいます。
象さんです。

盛大に小便をする象

盛大に小便をして出迎えてくれる象

なんという事でしょう。いきなりスカトロから始まるとは予想した斜め上の展開です。おまえ、ちょっと気を許し過ぎだろうと思いながら呆然と待つのですが、している時間が長い、小学校だったら後ろに並んでいる間に小休憩が終わってしまう位です。ですが、この待ち時間が良かった。冷静になって考えてみれば、これは嬉しょんという現象ではないかと気が付いたので優しい気持ちで事が終わるのを待ちます。

空虚な目をした像

空虚な目をした像

優しい目をして彼を見つめていて気付きます。
この空虚な目は嬉ションじゃない。自分が介護状態になって堪え切れずにお漏らしをしている所を例えば孫とか親族に見られると、こういう目をするのだろうか?等と考えていたら何だか悲しくなってきたので次は霊長類である猿山のコーナーに向かいます。
そうです。霊長類たる猿ならば私を歓迎してくれるか何かを自分に齎してくれるのではないだろうか?そういった淡い期待を持って臨みます。

されるがままになっている猿

されるがままになっている猿

なんか、もうどうでもいいから俺のことを好きにしてくれと言わんがばかりの格好を見せ付けられている間に人間として大切な何かを諦めそうになりました。かと思うと夫婦らしき二匹は仲良さげに毛繕いなんかをしているので、同じ生物の筈なのにこの違いは何なのだろうか?そして一人でそんな二つのカップル?らしき二匹を見ている自分は何なのだろうか?等とうっかり悟りを開きそうになります。何と言うか流石は霊長類。まぁ何と言うか世の中には罠が一杯です。これ以上ここに居たら自分はサル山から飛び降りて死にたくなってしまうのではないかという危惧を本気で覚え始めたので次のコーナーに宛てもなく向かうことにします。

ふらふらと近くにある檻に向かうと、ここもに猿がいました。しかし、ここの猿は檻の中に入っているという事と何となくしょぼくれた。いや悲哀の漂う姿を見せてくれるので何となく落ち着いて見ていられます。

後悔する猿

檻の中の猿「儂はなんであのとき好きと言えなかったんや・・・」わい「そういう後悔を呑み込んで男は成長していくんやで」

不覚にも癒されてしまうのですが、何ということでしょう。五分くらい見てたら飽きてしまいましたし、なんかしょぼくれた彼等を見ていたら今までの自分の人生を振り返って悲しい気分になってしまいそうな予感がして来たので次のコーナーへ向かうことにします。

次に来たのはシロクマです。第一印象は何か小汚なっ。でした。あまり実物で目にすることが無いのでイメージとしては純白を想像していた作者です。

白熊

白熊

遠目から見る彼の姿の印象は何と言うか、軽く悟りを開いたような印象です。頭の中で「おまえら勝手にしろくま」とか考えているのでしょうか?本当の所は定かではありませんが、まぁ達観した顔をしていますよ。

殺人犯のようなエゾヒグマ

前科3犯、殺人未遂1件、殺人2件のような見た目のエゾヒグマ

そして次はエゾヒグマの元に向かいます。おそらく何も考えずに山の中で出会おうものなら問答無用で食べられてしまう凶暴さを持つ熊です。見た目も凶悪犯そのものの彼ですが、暫く眺めていると、まぁ餌も貰ってるし、何というか、暇だな。的な定年を迎えたは良いけど時間が余って仕方ないな的に目的もないまま近所をぶらぶらするお父さんのよう空気を漂わせていました。それか殺人を犯して独房に収監された殺人犯。
これも見ていてアンニュイな気分になり、適当に歩くと今度は同じ熊でも今度はニホンアナグマが見えてきます。体も小さいのでかわいいです。

ニホンアナグマ

男アナグマ「よせよ、人が見てるだろ・・・」ワイ「グギギ・・・」

こいつらも穴っぽこのような巣?らしき所からニュット顔を出して来ます。名前のイメージからして比較的、巣に籠りがちな人間で言うところのニートか引き籠りの類の動物なのかと思い親近感を感じていたのですが思わぬリア充ぶりを見せてくれました。穴の外で毛づくろいをしたり、恐らくはオスとメスの二匹でいちゃこらしたりしてました。何故、このような畜生共にも相手がいるというのに自分にはおらんのか?繰り返し自分の不遇を呪います。

あざらしのお父さん

あざらしのお父さん(無職)

そんなことを思いながら進むと今度は水場が見えて来ました。アザラシコーナーのようです。辿り着くと、そこには「ああ、何か生きてんのも面倒くせえなぁ」と言わんがばかりにアザラシが体を横たえていました。何だろう?この不思議に落ち着く感じ。妙な親近感を抱きながら彼等を見つめます。そして彼等の表情に癒されます。ダメ人間でも良いじゃない(みつお)的な癒しです。資格?スキルアップ?うるせえバカ!!夜になったら酒でも飲んで寝ろ!!と言わんがばかりの、ほら、電車に乗る時もビール片手に持って酔っ払いながら帰る的な、何と言うか、体面?マナー?気にすんな。資格のテキスト?そんなもん捨てろバカ!!でも、素手でビールの缶もってると温くなっちゃうからハンカチを手にして持てよ。という声が心に響き渡ります。保証しても良いですがアザラシコーナーの近くでビールが売っていたら間違いなく自分は買っていたと思います。
アザラシコーナーには他の動物コーナーと比較して割と長く居たと思うのですが何となくこの感覚はこの感覚でヤバいと気が付き次のコーナーへ向かいます。
次は何を見よう?そうだ!!
孤高なる虎でも見て我が孤独を癒すかと思い虎のコーナーへと向かうと何もいません。なんてこった。孤独なる虎を見ようと思って来たのにまさかの一人ぼっちです。案内板を見てみると、どうやら16:20を過ぎた頃になると虎は檻に帰ってしまうらしいです。そうです。奴ら夜行性のくせに夕方には自宅に帰って夜のパパはちょっと違うみたいな感じになるらしいのです。孤独なる者を見て癒そうと思ったら、いや、それオマエだけだから。という悲しい現実に気付かされてしまいました。
とは言え、自分も疲れて来たので今日はこの辺で帰ろうと思い出口に向かおうとした所まさかの迷子になり、最後にキバタンに挨拶してお家に帰りました。

キバタン先生

「おまえ早く帰って寝た方が良いぞ」と筆者の脳内に語りかけてくるきばたん先生

見ていたら何となく説教をされている気分になってくるのが不思議です。この何処となく偉そうというか先生のような雰囲気が堪りません。なので敬意を込めてキバタンではなくきばたん先生と呼びたいと思います。

帰りは焼き鳥屋で一杯やってから帰りました。