就職面接

マッチが売れなくて、こまっちゃう -出井サイド

うっす、出井っす。

今は研修所に向かうバスの中にいるんすけど、
この会社に入る時の面接を思い出しました。

当時の自分はフリーターをしながら、
フラフラと生きていた自分なんすけど、
このままではいかん「い神崎っす!!」と、
ある日に一念発起したものの、
なかなか求人に応募しても書類選考自体が通らないという、
日々が続いてたっす。

しかし、そんな中で面接に通過できた数少ないというか
唯一通った会社がこの「ダ・バッカスフォール株式会社」だったっす。

正直、正社員として入れればどこでも良かったっす。

会社名で面接とか検索して出てくるサイトで、
面接の内容は癖があります」等と書かれていたので、
不安だったんすけど、
そのぶん力を入れて挑みました。
母ちゃんにも安心させてやらないといけないっすからね。
会社のホームページを隅々まで読み込むのはもちろん、
バイト先では後輩に缶コーヒーを奢って一回だけ
「リーダー一生付いていきます(笑)」って言わせて、
面接では
「バイト先ではリーダーと呼ばれ、
後輩にも慕われております」
と言えるようにするほど力を入れたっす。

面接自体は自分が言うのも何ですが、
上手く言えたと思うっす。

おかげで選考もいつの間にか最終面接なるものにまで進み、
なぜか営業部から今の経営企画課に変更されました。
そこでは代表と所属部署の課長との面接だという事だったっす。

自己紹介から始まり、
志望動機を聞かれて、
一次面接と同じこと聞くなよと心の中で思いながら、
受け答えしてたっす。

ただ最後の方の質問は聞いたことのないようなのが連続して、
大いにテンパったっす。

特に最後の質問は印象に残ってるっす。
「童話のマッチ売りの少女があると思うんだけど、
アレさ、少女はどうすればマッチを売れた思う?」

その時の受け答えは今でも夢でうなされる位に覚えてるっす。

「マッチの実演をして商品を見てもらいます」
「へぇ、それだと売り物のマッチが無くなっちゃわない?
それにマッチ一本つけて所で人は立ち止まるの?
第一に少女はマッチをつけて幻覚を見ているけど、
誰も立ち止まってないよね」
とか、

「それであればマッチの必要なタバコを吸う場所に
売りに行くっす、いえ行きます」
「それは良い考えだと思うけど、
どうやってその場所を探すの?」

「町の人に喫煙場所を聞くっすぅ」

「うん、でもさぁ、中世の人たちに喫煙所でタバコを吸う概念ってあったのかなぁ?
だってさ、日本でも昭和の頃はタバコなんて、
どこでも吸ってたんだよ。
電車の中でも吸っていた位だよ。
ましてや中世のヨーロッパで喫煙場所で吸うという概念はあったのかなぁ」

この時の馬場課長の顔がムカつく事ったらなかったっすね。

しかも更にこの親父は追い打ちを掛けて来るんすよ。
「出井君。どう?他には何か思いつかない?」

もう、この時は頭の中も真っ白になっていたっす。
それで思わず口から出たっすよ。

「いやぁ、もうマッチが売れなくて、
まっちゃいましたね」

「社長。マッチが売れなくて、こまっちゃうだそうです」
「うん、出井君。マッチが売れないと困っちゃうね。
(ウキャー、それ以上はずかしめるのは止めてくれっす~!!)
じゃあ馬場君。もう分かったから締めて」
「分かりました。それでは本日の面接は以上で終了となります」

この流れっすよ、
まず間違いなく落とされたと思ったっす。
よりによって駄洒落で締めですよ。

その日は酒に溺れたっすよ。
もう駄洒落は一生言うまいと心に誓って、
確か家に帰った時には自分の不甲斐なさに涙が止まらなくて、
そんな自分を見た家族が面接の事を何も聞かなかった位だったっすよ。

で、次の日に採用の連絡が来たっす。

後で出井課長に聞いたら、
「君の最後の駄洒落が社長を動かした!!」
って言ってたっす。

大丈夫っすか、この会社?

悲しい笑い(だじゃれ)に合掌