ルーマニア女子大生殺害事件について

ひび割れたガラス 社会派気取り

随分と前に起こった下記の事件になります。
覚えている人はいるでしょうか?

2012年8月17日、ルーマニアの首都ブカレスト郊外の道路脇で日本人と思われる若い女性の死体が発見され、アイセック・ジャパンを通じて日本語を教えるボランティア活動に参加するために、単独でルーマニアへ向かった学生であることが確認された。
アイセック・ジャパンは8月20日の午後6時過ぎに「遺族の意向を踏まえ、一切の説明を差し控える」とのコメントを発表し[7]、同日、公式サイトにも同内容の告知を掲載している
wikipedia

そこから3年ほどの月日が経過して、
改めて目にする機会があり、
当時と印象を異にする考えを持ったので、
ここに書いておきたいと思います。

まず概要を記載します。

被害者:聖心女子大学(英語英文学科)益野友利香さん(20)
容疑者:ニコラエ・ブラッド(25)
渡航目的:NPO法人「アイセック・ジャパン」の斡旋によって海外インターンシップとしてルーマニア南部クラヨバで日本語を教える為

2012/8/14 11:15

成田空港発

2012/8/15 20時過ぎ頃

ブカレスト空港に到着

タクシーに案内すると話し掛けてきた容疑者と被害者タクシーに同乗
その後、国道途中で下車。その脇の森林で被害者が強姦、殺害される

2012/8/17

ルーマニア・ブカレスト郊外の国道沿い被害者の遺体が発見される

2012/8/21

遺族と共に無言の帰国

2013/3/7 事件報道のその後

ブラッド・ニコラエが終身刑となる

※他にも真偽の程は別として諸説ありますので気になった方は調べてみてください。

今回の事件で斡旋を行ったアイセックに対しての批判が多く出ていましたが、この事件に関しては完全なる逃げの一手で何も対応していません。

当時と違った印象を持った理由ですが、
初め平和ボケした日本人の事件だなぁ位だったのですが、
これがNPO法人に斡旋を受けてのものであったという事を知ったのが大きいです。

湧いた疑問点とは下記2点です。

  1. なぜ危険である事を承知で旅立ったのか?
  2. なぜ危険なスケジュールをアイセックが取ったのか?

1.については、

彼女の責任感に負う所が大きく、
アイセックからの説得とまた出発時にもメンバーで見送りを行う事で
渡航を止めるという選択肢を奪われてしまったようです。

また、海外の渡航経験が有る事と英語を話せるという点での
自信が負の方向に働いてしまったのではないかと思っています。

2.これが一番の疑問点です。

夜間に危険地域に着くというスケジュールをなぜ組んだのか?
迎えの人間が来ないのも現地の人間なら、
そんな危険な所に来ないのは当然であるし、
現地の人間と調整を取っていて、
今回のスケジュールを伝えれば計画の変更をアドバイスして来るのではないかと思うんです。
また交通機関の都合で夜間以外に着くのが無理なら、
どこかで一泊する手筈を取る事が難しいとは到底思えない。
予算の都合に付いても最悪、本人が支払うという選択肢も取れたのではないかと思います。
被害者がスケジュールを組んだ人間に泣いて嫌だと伝えているという事だったので、この段階で対応策を取るという選択肢が抜け落ちたとも考えられない。

この事件の根底にあるものについてですが、
被害者はおそらく責任感の強い人だったのでしょう。
アイセックについては無責任であると捉えざるを得ない。

責任感の強い人間が無責任な人間の瑕疵を押し付けられた上に責任を取らされるという誰でも目にするありがちな構図が成り立っていたというのは大きな驚きでした。
加えて言うならアイセックが今回の事件についてインタビューを受けた際にはノーコメントを貫いています。
8月20日になってようやく公式サイトに以下の発表をしたのみです。

「本件に関して一切の説明を差し控えさせていただきます」
「海外経験の夢砕く ルーマニア邦人女子大生殺害」日本経済新聞

このように何ら説明責任を取ろうと果たしていません。

ただ、一番大きく驚いたのは、
冒頭に紹介したwikipediaのページ内にあるアイセックが自らのサイト内に出した「ルーマニア国内で邦人女性が亡くなったとの事件報道について」のリンクが切れていた事です。

アイセックは、第二次世界大戦後「二度とこのような惨事は起こしてはならない」として海外との交流によって平和を実現する為1948年に設立されました。
その中でインターンシップを提供し「平和で人々の可能性が最大限発揮された社会」を目指すと言います。

しかしアイセックが実際に取った行動は事件を無かったことにしようという意図的な風化を狙ってのものとしか思えません。果たして事件が起きた原因の解明も責任も取らず、ただ黙っていれば全ては解決すると学生に教え実践することがアイセックの目指す平和で人々の可能性が最大限発揮された社会に繋がっているのでしょうか?
現状を見るとアイセックという組織は何も反省していないのではないかという気持ちが湧き上がってきて仕方がありません。

アイセックはNPOであっても実態は学生の集まりであったという話もありますが代表は当時の早稲田大学の商学部教授が務めています。
教育者としてその行動が正しいと言えるのか?
大きな疑問です。

正直、私自身も余りの遣る瀬無さに現状を受け止め切れずにいます。

二度と同じ事件が起きる事があってはならないと思います。
何事も時が経過すると共に風化して行くのは避けようがありません。
しかし、この事件は余りにも多くの教訓を含んでいるように感じたので、
ここに書かせてもらいました。
稚拙な文章にお付き合いありがとうございます。

最後に、
被害者であった益野友利香さんの冥福を心よりお祈り申し上げます。

参考サイト
ルーマニア邦人殺害事件に現地報道の厳しい声 渡航にかかわったNPOに責任は──? -exciteニュース
(他にも様々なサイトを参考とさせて頂きました。ここでは本文中に挙げなかった主要なものを挙げさせて頂きます)

リンク切れ記事
NHKニュース
産経ニュース
(リンク切れを記載したのは、私の単なる考え過ぎだとは思うのですが、
公に近い所の情報が少ないというのが不気味に感じたので、
キャッシュが残っていて分かっただけですが記載しておきます。
しかしまとめサイト等の取り扱い数は多く、
この事実には心強さすらも感じました)