川口市は公害紛争処理法49条に違反しているのでは?

川口市役所 騒音

嘘みたいな本当の話なのですがイオングループのスーパーまいばすけっとからの騒音に悩まされて川口市役所に相談したところ、騒音値の測定等の対応を拒否された挙句に騒音元のスーパーまいばすけっとに対して法的に罰せられることは無いので騒音問題の解決すら求められていない状態です。

そこで川口市役所の環境保全課に改めて公害相談が断られたのは何故ですか?
と質問してみました。

次のような回答が返って来ました。
・相手方に騒音苦情があったことを伝え配慮を求めている
・相手方からは対策したと連絡があった
・騒音測定も行っていない
・環境保全課は可能な範囲で対応した
・これ以上の対応は出来ない
・だから相談は断っていない

この返信を確認して私は頭を抱えることになります。この流れで公害相談を断っていないと言える理由が全く理解出来なかったので私の考えを書いてみます。

先ず日本には公害紛争処理法というものがあります。

(苦情の処理)
第四十九条 地方公共団体は、関係行政機関と協力して公害に関する苦情の適切な処理に努めるものとする。
2 都道府県及び市町村(特別区を含む。)は、公害に関する苦情について、次に掲げる事務を行わせるため、公害苦情相談員を置くこと
ができる。
一 住民の相談に応ずること。
二 苦情の処理のために必要な調査、指導及び助言をすること。
三 前二号に掲げるもののほか、関係行政機関への通知その他苦情の処理のために必要な事務を行うこと。

公害紛争処理法 | e-Gov法令検索


公害苦情相談員は人口10万人以上の市には全て置かれています。
川口市の人口は57.81万人(2015年度時点)
従って川口市にも公害苦情相談員は置かれています。

川口市は環境保全課という組織として対応しています。
そうなると環境保全課の中には公害相談員が含まれているので、私に対応した人が川口市環境保全課の誰であれ公害相談員も内容は認識した上での対応です。

そして公害紛争処理法に基づいて公害相談員が行うべき業務を調べてみると、私の対応については全くその対応が為されていないと思ったので、その理由を書いてみます。

1、住民の相談に応ずるについて

まず相談の意味について調べてみました。
相談:どうするか決めるため話し合うこと、話し合い
少なくとも話し合った記憶はありません。私が川口市環境保全課の不備を指摘するのに対して環境保全課が言い訳に終始しているという構図です。
確かに私から騒音苦情が出ていることを騒音元のスーパーまいばすけっと西川口駅東店には伝えています。
川口市役所環境保全課曰く騒音元のまいばすけっとに対して今回の騒音問題を解決しなくても良いとは言ってないけど配慮するよう求めているとのことですが、これは言い換えると「騒音問題が発生しているがこれについて川口市環境保全課は何もしないから後はそっちで勝手にして下さいね」と自らの役割を放棄する宣言以外の何者でもないので相談ではないですね。

「相談」は行われていません。

2、苦情の処理のために必要な調査、指導及び助言をすること

これについては構成要件を【調査】【指導】【助言】の3つを構成要件として考えてみます。

「調査」について

川口市環境保全課が調査と称する感想

川口市役所環境保全課が騒音の調査と称して行ったのは、騒音の原因となっていると思われる室外機の前に立ち騒音がしている気がするという感想を述べることです。もちろん騒音値の計測も行われていません。
これが川口市環境保全課の言う調査です。

騒音計測を伴わない感想を述べるだけの調査の何が問題か?

問題が解決しないことです。
通常は騒音問題に限らず問題の調査結果が出ていれば、その数値を基準にして対策を実施します。
しかし川口市役所環境保全課は調査と称して騒音が発生していると思いますという感想を述べただけです。
どうなると思いますか?
何の効果も無い対策を実施したので今回の騒音問題は解決したと思います。
これで解決したことになってしまうのです。
例えば調査の一環として騒音値を測定したところ国の定めた騒音値である50dBを超える60dBの騒音が発生しているという調査結果が出ていれば、じゃあ騒音値が環境基準以下の数値になる対策を施す必要があると分かります。しかしそもそもの調査結果が感想なので、相手も解決したと思いますという感想で解決したことになります。
つまり騒音があると思うという感想は騒音が解決したと思うという感想で容易に打ち消されてしまいます。
且つ騒音元のスーパーは対策をしたと川口市役所に報告したそうですが、行われた対策によって騒音問題が解決したか騒音値の測定を伴った調査をしなければ確定させることが出来ません。

しかし騒音の測定自体が行われていないので、私もそれで解決したと思いますという感想を述べることで解決になってしまうのです。
そう考えると川口市役所は測定の必要な機会の2回を放棄しています。

1回目:騒音発生の苦情が入ったタイミング
2回目:相手が対策して騒音が解決したと報告したタイミング

本来であれば川口市役所はまいばすけっとからの何も意味もない対策を行って解決したという報告に対して調査(騒音測定)を行い全く改善していないと指摘するべきでした。
(対策後に私の居住地域に該当する騒音基準値である50dBを大きく超える約59.9dBの発生状態であることは私が騒音計で測定して確認。つまりまいばすけっとの対策によって騒音が全く改善されていないということです)

騒音環境基準

騒音環境基準

私の住む地域の類型は「C」
必要な「調査」は行われていません。

その後に市役所をつっついた所、当該室外機の前で騒音が発生しているというご感想は頂けました。

室外機が冷蔵庫のものということも聞き取りましたと言っていましたが室外機自体の問題なのか、それとも紐付けられている冷蔵庫が問題なのかも分かりません。

環境基準の施行後直ちに達成され、又は維持されるよう努めるものとする。

引用:「騒音に係る環境基準について」-環境省

「指導」について

騒音元のスーパーであるまいばすけっとは川口市環境保全課から騒音苦情が出ていると伝えられたことで室外機に意味の無い対策を実施してくれました。
これは川口市役所が指導したものでなくスーパーが自発的に行ったものです。

本来であれば、対策を行ったという報告の後に騒音値が全く変わっていないことを伝え、騒音元のイオングループのまいばすけっとに対して、川口市環境保全課はどうすれば問題が解決するか指導する必要があるのではないかと思います。

川口市環境保全課がまいばすけっとに指導できない理由

先述の通り指導する為には調査が必要です。
しかし川口市は調査と自称する感想を述べただけです。
指導する為には今回の例で言えば、室外機から騒音と低周波音が発生しておりその影響で振動も発生している可能性が高い。
ですが室外機に繋がっている冷蔵庫はいくつでどの程度の電力が必要になっていて室外機はその使用に耐えられる設計になっているのか?
室外機はメーカーの指示通りにきちんと設置されているのか?
室外機本体に異常は無いか?
解決する為に以上のような調査が行われていれば調査結果に基づいて指導することも可能ですが、その調査自体が行われていない状態なので指導することは出来ません。

「指導」は行われていません。

川口市環境保全課に改めて確認した所、調査結果という感想を基に騒音元のイオングループのまいばすけっとに可能な限りの対応で問題ない。従って解決しなくても良いとして相手に対応を求めたそうです。 これは指導でなく字面をなぞってアリバイ作りをしただけのお為ごかしです。

「助言」について

自らの役割を放棄する川口市環境保全課

驚くべきことですが、川口市役所は騒音元のスーパーまいばすけっとに対して「何もしなくても法的に罰せられることは無いので何もしなくて良いですよ」と受け取れる助言を行っています。
この助言によって騒音元のスーパーは私の改善要求に対して川口市のお墨付きを得たとして改善を拒否するようになりました。
実に効果的なアドバイスです。

但し、この助言によって騒音問題の解決はより遠のきました。

ここでの助言とは常識的に考えれば公害問題の解決を目指すために行われるべきものであると考えられるので、やはり助言も行われていないと見做せます。

「助言」は行われていません。

改めて川口市環境保全課に確認したところ 可能でないなら構わないが専門機関に相談してみてはどうかと助言したそうです。 これは助言でなく、これも感想を述べただけです。

以上のように川口市環境保全課は公害紛争処理法49条の「苦情の処理のために必要な調査、指導及び助言をすること」の構成要件を満たすことは出来ていません。

三 前二号に掲げるもののほか、関係行政機関への通知その他苦情の処理のために必要な事務を行うこと。について


川口市のあなたへの対応は終わりました。だから埼玉県庁へ調停の相談が出来るから後は勝手にやってくれとたらい回しにされそうになりました。それなら埼玉県庁に相談を受けて貰えるように話を通して下さいと伝えたところ埼玉県庁と川口市役所は別の組織だから連携は取れないと拒否されたので、やはりこれも行われていないと考えて良さそうです。

他にも今回の騒音問題に低周波音問題が含まれている可能性を指摘した際と騒音元のスーパーまいばすけっとが川口市役所に低周波音について相談した際にも川口市役所は低周波音の測定を行っていないと断っています。
環境省から地方行政に向けて「低周波音問題対応の手引き書」という資料まで出されているにも関わらずです。

環境省:低周波音問題対応の手引き書

川口市役所に低周波音問題についての道具が無ければ県庁か環境省に借りれば良いだけです。測定技術やノウハウが欠けているなら環境省か埼玉県庁もしくは民間で低周波音の計測を行っている企業に測定依頼や低周波音の測定方法等の協力を依頼するべきだったのではないかと思うのですが、どちらも行われれていません。

従って第三項の「関係行政機関への通知その他苦情の処理のために必要な事務を行うこと」も行われていません。

以上のように公害紛争処理法第四十九条を構成する第1項から第3項の何れも満たしていないので、川口市役所環境保全課は公害紛争処理法49条の公害相談にある「地方公共団体は、関係行政機関と協力して公害に関する苦情の適切な処理に努めるものとする」にある公害問題の解決に向けて努めていないと結論出来そうです。

ここまで書いて自分でもこんなことが本当に起きるのか?と段々と不安になって来ました。

そこで逆に川口市役所の正当性について考えてみます。

埼玉県生活環境条例を根拠として公害相談を拒絶する川口市役所

川口市は県の生活環境条例から罰則を与えることが出来ないとして公害相談の対応を拒んでいます。

しかし法令の優先順位は法律>条例です。

法令と条例の力関係から見ると条例よりも公害紛争処理法が優先されます。

更に言うなら地方自治法2条16からも地方公共団体である川口市環境保全課は法令を超えて処理することは出来ません。

地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
地方自治法 第二条16 | e-Gov法令検索

公害紛争処理法は上記で言うと法令にあたり条例よりも優先されます。

つまり川口市環境保全課の言う罰則を与える条例が無いからと言って法令の定めを変えることは出来ないということです。

そして下のブログで書きましたが、公害問題は公害対策基本法(現在は環境基本法に後継)が出来るまで 地方行政が企業と行政指導や条例を制定することで対応していました。そのため騒音規制法等は今まで制定されている条例とぶつかり合うのを防ぐために意図的に漏れがあります。

言い換えれば公害相談とは公害対策基本法が施行された後も地方自治体は今まで通り行政指導で先ずは被害者の相談を受けて、調査にって事実関係を明らかにして助言と指導を相手に行うことで自発的な解決を求め、 それでも改善しないようなら地域の実情に応じて条例を制定する等して規制することで対応しなさいというものです。

行政指導についても調べてみると

 行政指導とは、役所が、特定の人や事業者などに対して、ある行為を行うように(又は行わないように)具体的に求める行為(指導、勧告、助言など)をいいます。  

引用:「行政手続法Q&A」-総務省

このように行政は事業者に対して騒音問題に対して具体的に何をするべきかを伝える必要があるので何が原因なのかを調査して求める必要があります。

しかし川口市環境保全課は相手に対して解決を求めると強制になってしまう。これは罰則を与えるもの以外に相手が強制と受け取ることも含めて出来ないと問題解決を放棄すると宣言して何も出来ないとしています。

※川口市役所は条例に於いても対応する必要のあることが分かったので下の記事に書きました。
川口市役所が公害対応を拒む根拠としている条例について

とは言え、これを川口市役所にぶつけてもまた子供の屁理屈みたいな全く納得できない回答が返って来て何も解決しないんだろうなぁ・・・。
困りました。 

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