「子どもの声がうるさい」などと1軒の近隣住民から苦情が続いて利用者がほぼいなくなったとして、長野市は8日、市内の公園「青木島遊園地」を今年度末で廃止すると明らかにした。
引用:「子どもたちがうるさい」と長年苦情、利用者消えた公園廃止へ…近隣1軒が「利用5人程度に」要望-読売新聞オンライン
長野県長野市にある公園、青木島遊園地(長野県長野市青木島町大塚1309−1)が一軒からの騒音苦情を理由として廃止となりました。
公害等調整委員会のホームページを見ると実は騒音に何dB以上から等の明確な定義はされていません。
従って苦情を挙げた人が公園で遊ぶ子供の声がうるさいと感じれば、それはやはり騒音として行政は対応せざるを得ないという現実があります。
しかし同時に環境省で定めた騒音についての環境基準というものが設けられています。
住宅街にあるのでおそらくですが苦情者の自宅はAの55dB以下が住環境として相応しい騒音値となります。
しかし子供が騒いでこの基準を大幅に超えるようであれば、これはやはり使い方を考えるべきです。
参考に下記のサイトで子供の声がどの程度のものか紹介しているサイトがあったので、そこからデータを借用します。
75dBです。
これは工場が出している騒音値よりも大きな数字になります。
それを聞かせ続けられるというのはやはり苦しいものではないかと思います。
更に言うなら夜間には花火をする人間が入り込んで騒ぎ、バイクが入り込んでいるケースもあったと聞きます。
そうなると住人にとって子度が昼間遊びまわる声だけでなく夜間にも騒音に悩まされると聞くとやはり同情します。
一方の児童館についても同情します。
現場の公園は行政の区分で言うと都市公園でなく遊園なので管理は児童館とその利用者の保護者で行っていたようです。
それなのに子供は遊ばせることが出来ず、でも雑草を抜いたりは自分達で行わなければならず、当初は使用できていた子どもたちは近くの小学校の校庭を使用していたと言います。
児童館側は納得がいかないと思います。
ここで苦情を申し立てた人に批判が出る気持ちは分かります。
しかしここでは苦行を申し立てた側の気持ちを考えてみます。
公園が使用されていた頃は40-50人の子供が遊び、それを拡声器で指示していたというのは明らかにやり過ぎです。
この子供たちの声は騒音と考えると実際にどの程度の大きさの音になるのか調べてみたところ、調査してくれていたものがありました。
園児50人が園庭で遊んでいる時、集団の中心から距離10mにおいて、等価騒音レベルで70デシベル、上端値(L5)で75デシベル、瞬間的には最大値で86デシベル程度の音が出る可能性があるということである。
引用:「子どもの遊び声の大きさは一体どれくらい? その騒音レベルとは」yahooニュース
この騒音レベルの音の目安としては秩父市に丁度良い資料がありました
以上の図を見ると公園で児童たちが遊ぶと常に目覚ましのベルが鳴る位の声が響いてプラス拡声器の声が響くと考えると毎日家の前で学校の運動会が開かれているような状態。
正直、自分なら勘弁してほしいとやはり思います。
以上のように考えるとやはり廃止するのが妥当なのか?と思わないでもありません。
しかし、もっと上手くやる方法は無かったのかというのも同時に思います。
と言うのが子供の声は比較的高い声になります。
これが低周波音のような長波の音になると塀を築いたとしても普通に通過するのでお手上げなのですが高い声ということは短波です。
これは塀などを設けることで比較的容易に対策できる音でもあります。
更に感情のもつれもあったのではないかと想像します。
と言うのが件の青木島遊園地は2004年に開設されて2022年まで実に18年もの時間が経過しています。
これは時間を掛け過ぎです。
その間、誰も苦情者に謝罪すらしていないと言います。
そりゃ感情的にもなるわなというのが率直に思った所です。
こういった場合、普通に考えれば何か客観的な指標のようなものが必要になってきます。
それが騒音値の計測になってくると思うのですが長野市はこれをやっていません。
通常の地方自治体には騒音の苦情などを受け付ける環境保全課が置かれています。
おまけに長野市の人口は30万人を超えた中核都市になるので公害相談員も置かれています。
本来であれば環境保全課が出て来て騒音計測を行った上で客観的なデータを出した上で話し合いが行われるべきだったのではないかと思います。
児童館も客観的に騒音値が示されなければ対策のしようがありません。
例えば工事現場等に置かれている大型液晶で表示される騒音計などで子供たちの声がどの程度の大きさになっているか等を見ながら環境基準値を超えそうなら声を抑える等の試行錯誤も出来ません。また子供の声は高い声なので短波です。
塀などによっての対策も行い易い。
というのも児童館のすぐ隣にある保育園と小学校の校庭も相当うるさい筈なんですが、これに対しては苦情が出ていない(少なくとも報道上では)
保育園の距離は近いのでおそらく建物が塀の役割を果たして騒音を遮断しているのではないかと想像します。
これは素人考えではありますが騒音の専門家の力などを借りることで、もしかしたら対策することも出来たのではないかと思うのです。
これは公害に他ならないので環境基準を守った状態でも苦情が出るようであれば公害等調整委員か県の公害審査会で調停を受けて専門家を間に挟んで話し合うという所までは進んで良かったと思います。
(調停なら裁判と違って費用も多額にはならないので)
しかしこれが為されずに18年が経過したということは、児童館は件の公園は行政の分類上は公園でなく遊園なので整備などは児童が行っていました。当初は使用できるということで整備を請け負ったのに使用することが出来ないままです。児童館だって被害者です。
しかし騒音被害を受けている人だって、少し油断して再び以前のような状態になってはいけないとナーバスになっていた可能性も否定できません。
この点は本来であれば長野市の環境保全課による騒音計測を行ったうえで客観的な騒音値の計測を基にした冷静な話し合いが行われていないのでクレーマーとして扱うには根拠が足りないというのが思う所です。もしこれが環境基準内に収めているにも関わらず騒ぎ立てるということであれば批判されても仕方ないと思います。
結果として騒音苦情を出していた人も児童館の両方が被害者の状態になっています。
なので私の結論としては本来なら長野市の環境保全課が騒音被害者と児童館との間に立って騒音計測を行った上で仲介していくべきだった役割を放棄していた結果として誰も幸せにならなかっただけなんじゃないかと私は思うのです。
それでは今日はこの辺で