一昔前のヤクザの事務所事情

働かないおじさん 逆ギレする 徒然日記


ファミレスで食事をしていたら、たまたま隣のテーブルに座っていたおっさん二人が話している内容が聞こえてきました。

おっさんA「そういえば中学のとき一緒だった○○って知ってる?」
おっさんB「ああ知ってる知ってる。ヤンキーのあいつでしょ?」
おっさんA「そうそう。あいつ今更ヤクザになるらしいよ?」
おっさんB「あー、本当?このご時世に?大変だね」

このおっさん二人の見た目の感じからして年齢で言うなら30~40程度。
確かに暴対法から後のヤクザは大変だと噂に聞きます。
高齢のヤクザは生活保護で汲々としていると聞いているので、若い頃はヤクザとして好き勝手して人に迷惑を掛けて、年を取ったら恥ずかし気も無く国の税金の世話になっていると聞くと何だかなぁと思います。

今日は一昔前のヤクザについて少し書いてみます。
私自身は幸いにしてヤクザと言われる人たちと直接の関わりは無いため詳しくは知らないのですが嘗て友人の住んでいるマンションに遊びに行ったところ、やたらジャージを着た人に遭遇するなぁと思って友人に聞いてみると「ああ、ここ俺も住む前までは知らなかったんだけどさ。ヤクザの事務所がいくつか入ってるらしいんだよ」と言われて驚いた記憶があります。
言われてみれば大人になってからスポーツでもやろうかという時を除いてジャージで外をうろつく事ってあんまりありません。
しかもそこでは40過ぎたおっさんも若者もジャージを着てうろついています。
エレベーターに乗る時にもいい年したおっさんが自分よりも一回り二回り年下の若者の為に階数ボタンの前で陣取っている姿というのは、どこか物悲しい風景でもあります。

聞く所によるとジャージの人たちは部屋住みと呼ばれていて、ヤクザの見習いのです。
部屋住みは一つの組に2~3人程度、多くて5人程いるそうなのですが、結構な数のジャージを見たので複数の組がいくつか入っているというのも納得できました。
ヤクザの組がこんな近くに居てケンカにならないのか?等と思うのですが、そこは何か取り決めがされているのかもしれません。
個人的にはエレベーターでヤクザ同士がバッティングした時にどちらが先に階数ボタンを押すのかで揉めたりしないのかな?というのが気になる所でした。

他にも友人曰くそのマンションは付近の人からヤクザマンションと呼ばれる地元では知る人ぞ知るマンションだったのだそうです。
詳しい場所は控えますが23区内の都心のマンションだったので、よくこんな所に組事務所が入れたなと驚きました。
当時は組事務所と言うと監視カメラでセキュリティをガチガチに固めた高い塀で周囲を囲んだ豪邸で木製の大きな看板に○○組と墨書きがされたものが掲示されているイメージでした。

昔、ホテルに宿泊した際にも部屋の外の廊下で怒鳴りあう声が聞こえて一騒ぎがあり怖々とフロントに内線を掛けてみたら「ああ、それね。別に悪い人たちじゃないんで気にしないで下さい」と流されて終わりそうになって「いやいや、悪い人じゃないと言われても怖いじゃないですか」と精一杯抵抗してみたら「でも、その人たちヤクザなんですよ。ただ一般の人たちには迷惑は掛けないんで大丈夫ですから」と言われて引き下がりました。
下手に抗議して、ドアをノックされて開けてみたら強面のヤクザがいて「どうもすみませんでしたね」等と言われても怖くてこっちが文字通り恐縮するか、それともしたらドアを蹴られて「なんか文句あんなら直接言って来いこのやろー!」等となっては敵わないので、これは経過観察がベストだなとなったことを思い出します。
資金に乏しかったりと事務所を用意出来ない組は安ホテルを事務所代わりにするケースも多くありました。

他にも小学生の頃は組事務所があった場所は地域一帯で共有されていて○○町〇丁目にはヤクザの事務所があるから近付かないように等と言われていたものでした。
今もこういった情報共有はあるのかな?

忌み嫌われているヤクザですが所変われば何とやらという奴で場所によっては好感的に一体化している町もありました。
そこは地域の繁華街であったのですが地回りヤクザとでも言えば良いんですかね?
なんでもその町の店でバイトを始めると「暴れたり因縁付けてくる奴がいたら直ぐヤクザに来て貰うから言ってね」と言われてビビったという話を聞きました。
飲食店でよくある因縁付けとして
料理の汁がスーツに掛かった。
これから大事な商談があるのにどうしてくれるんだ。
損害賠償を請求する!
どうせ払えないだろうから新しいスーツを買う10万を寄越せ
以上のようなことを言って渡り歩くビジネスで食べていた人もいるので、そういう時に地元のヤクザが直ぐにやって来て輩を締め上げてくれるのは店側も有難かったようです。
町の溶け込み具合から見て毎月のみかじめ料も市場価格に見合ったものだったんでしょうね。

当時の警察は基本的には民事不介入と言って、こういったケースに介入してくれなかったので、それなら誰を頼るかと言うとお金を毎月支払えば助けてくれるヤクザ位しかいないという状況もありました。
更に女性が接待してくれるお店だと迷惑な客がいてもヤクザが対処して直ぐに解決してくれるので女性も安心できるしお客の側も安心して飲めて良かったのだとか。
そういう話を聞くと需要があるんだったら暴対法で取り締まられるヤクザとしてみかじめ料を取るとかでなくて、民間企業の警備会社として毎月警備料として貰った方が良いのでは?と思ったりもします。
私が知る限りヤクザの事務所探しというのは大抵の場合は大きな抵抗があって困難なものであることが多いのですが、その町では繁華街近くに堂々と好意的に存在していたようです。
これは数少ない例外だと思いますが、一般的なヤクザは組で表のフロント企業を立ち上げてその名前で事務所を借りて使うなどしていたのだろうと想像はするのですが、それも暴対法が施行されて現在となっては事務所を探す所かヤクザであり続けること自体が難しくなってしまっているのでヤクザという職業の人たちにとっては受難の時代なんだろうなと思います。

そう考えるとファミレスで話していたおっさん二人の同級生もヤクザになってやっぱり苦労するんだろうなぁ等と思ったので今日は書いてみました。

それでは今日はこの辺で。